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10月6日は中秋節。日本に住む皆さんには、「中秋の名月」の“中秋”と説明した方がわかりやすいかもしれません。旧暦の8月15日にあたるこの日は、祝日でこそありませんが、ベトナムでは重要な年中行事のひとつとなっています。この時期にしか見ることができない秋の風物詩をご紹介します。
ベトナムで中秋節の食べ物と言えば、月餅です。ハノイ最大の観光地、旧市街やその付近のお菓子屋さんの店頭に並ぶのはもちろん、スーパーや大手コーヒーチェーン店や人が多く集まる場所には、この時期限定の月餅屋台が並びます。店頭にあるご贈答用の箱が目立つため、脇目も振らず通り過ぎてしまう…なんてことはせず、せっかくなのでお店を覗いてみて下さい。もちろん、1個単位で購入することも可能です。
私たち日本人は「月餅」とひと括りにしてしまいがちですが、ベトナムの月餅は、実に種類が豊富。最近では、抹茶味やアボガドコーヒー味、チーズ味など、新しい味の月餅も次々に登場しています。
どれにしようか迷ったら、まずは伝統的な月餅はいかがでしょうか? Bánh nướng(バインヌオン/焼き月餅)とBánh dẻo(バインゼオ/ 白いお餅月餅)は月餅の定番。バインヌオンは焼いて皮が茶色になったもので、中身はナッツやドライフルーツなど様々ですが、満月を模した塩漬け卵黄が特徴です。バインゼオは表面が真っ白で柔らかく、中には緑豆や蓮の実餡が入っているのが一般的です。
最近は少し小さめのサイズの月餅もありますが、一度で食べるには少し多く感じるかもしれませんので、複数人でシェアするのがよいでしょう。
旧市街のハンマー通りは、冠婚葬祭用の飾りや誕生日やクリスマスなどのイベントで使用するグッズを扱うお店が並んでいます。イベントに合わせ商品が変わるため、来るたびに置いてあるものが違い、いつ来ても楽しい場所ですが、中秋節前のこの時期は旧正月と並び、1年で最も映えるスポットのひとつです。
セロハン製のランタンは、小さいものは30000VND(約180円)で購入できます。手頃な値段と、昭和レトロを感じさせる素朴なデザインと手作り感のある商品は、この時期ならではのお土産としてもよいでしょう。
ハンマー通りの一角、店の軒先を借りて、北部の伝統的な工芸品を制作、販売しているハウさんにお会いしました。せっかくなので、ご紹介しましょう。
ハウさんはこの道20年、米粉を使ったミニチュアを作る職人さんです。この日並んでいたのは、中秋節の飾りや、月餅、獅子舞や中秋節に飾られる果物の盛り合わせなど。普段はこのあたりでお見かけすることがないハウさん。それもそのはず。販売は中秋節とテト(旧正月)の時期だけだそう。毎年新作も販売するそうですが、今年の1番人気は、鳥の竹笛。竹籠に並べられた鳥たちの表情がなんともユーモラス。あまりのかわいさに私も思わず購入してしまいました。
以前、香川・高松のお祭りに呼ばれたこともあるそうで、日本のテレビにも取材してもらったことがあるよ、と得意げに当時の写真も見せてくれたハウさん。また竹笛を買ったお礼にと、鳥の竹笛を使って演奏も披露してくれました。
ベトナムの中秋節、いかがでしたでしょうか?その年の流行のデザインがあったりと、毎年少しずつ違うので、ベトナムに住んでいる人たちにとっても、楽しみにしている行事のひとつです。季節限定のイベントですので、是非この時期ならではの街歩きを楽しんでみて下さい。