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【フランス】サン・マロの隠れた癒しスポット。クレープと森で「ととのう」

綾部 まと

綾部 まと

フランス特派員

更新日
2025年10月28日
公開日
2025年11月12日

サン・マロといえば、フランス人の間でも人気の観光地。「サン・マロを訪れたことがない者は、フランスを訪れたとは言えない」と彼らが断言するほど、特別な場所です。

ブルターニュ地方北部の海沿いに位置し、17世紀には“海賊の町”として栄えた歴史を持ちます。いまも石造りの街並みや城壁が残り、潮風とともに歴史の香りが漂う場所。多くの人が海を目的に訪れますが、実はそれ以外にも心を癒す“もうひとつのサン・マロ”があります。

今回は、そんな町で見つけた静かな癒しのスポットを紹介します。

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焼きたての香りに誘われて。地元で愛されるクレープ屋「Ti Nevez」

旧市街の石畳を歩いていると、ふと香ばしいバターの匂いが漂ってきます。その先にあるのが、小さなクレープ屋「Ti Nevez(ティ・ヌヴェズ)」。観光客でにぎわう通りにあり、外観は控えめですが、中に入ると鉄板の上でクレープが焼かれる音が心地よく響きます。

注文を受けてから目の前で焼いてくれるスタイルで、バターを溶かす音やキャラメルが色づいていく様子を眺めることも可能。量もほどよく、価格も良心的で、観光の合間に立ち寄るのにちょうどいい“軽やかな満足感”をくれます。

おすすめは「ガレット Ti Nevez」。ハムと卵、チーズというシンプルな組み合わせながら、生地の香ばしさと具材の塩気が絶妙に調和しています。これは普通のガレットより上質なものを使っているので、値段は少しだけ上がりますが、食べて比べてみたら味の違いは歴然。ぜひこっちを選んでみて。

■店舗名:Ti Nevez(ティ・ヌヴェズ)
住所:7 Rue du Puits aux Braies, 35400 Saint-Malo, France
アクセス:旧市街中心部、サン・ヴァンサン門から徒歩3分
営業時間:火〜日 12:00〜14:00/19:00〜21:00(月曜定休)
URL:https://www.tinevez-saintmalo.fr/

海じゃない気分のときに訪れたい、森の公園「Parc de la Briantais」

サン・マロといえば「海」のイメージが強いけれど、波や風のざわめきから少し離れたくなる日もあります。そんな“海じゃない気分”のときにおすすめなのが、「Parc de la Briantais(ブリアンテ公園)。旧市街からバスで30分ほどで、海ではなく“森を感じたい”気分のときに訪れたい、静かで包容力のある場所です。

広い芝生の向こうには、古い邸宅がたたずみ、そこからはサン・マロ湾を見渡すことができます。海のきらめきを少し遠くに感じながら、今いる場所の静けさを楽しむ時間。人も少なく、犬を連れたり、ジョギングする地元の人たちの姿が見られます。

子どもたちに人気の遊具エリアでは、ブルターニュ地方の象徴「メンヒル(巨石)」をモチーフにした遊具が置かれており、この土地の文化をさりげなく感じることができます。海と森、どちらも隣り合わせにある――それがサン・マロという町の豊かさなのだと感じました。

■施設名:Parc de la Briantais(ブリアンテ公園)
住所:35400 Saint-Malo, France
アクセス:サン・マロ旧市街からバス3番「Briantais」下車すぐ
営業時間:常時開放
入園料:無料
URL:https://www.saint-malo.fr/vivre-a-saint-malo/environnement/espaces-verts/parc-de-la-briantais/

 

自然が心を静かに包み込む場所で

海で浄化されて、森でデトックスされて――日常の些事に押しつぶれさそうになった時に、サンマロはうってつけです。サンマロに来ると、不思議と「整う」のです。大体の場所ではいろんな感情が湧いてきて、いろんなことを考えるものだけれど、この町では心が“無”に近づいていくのを感じます。

ただ、大きな自然に抱かれて何も考えない。楽しいな、美しいな、幸せだな――そんな感情だけが静かに流れていく。一緒に来てくれた友人とも、家族とも、たくさんのことを話しました。ふだんは見せない表情や言葉がこぼれて、多かれ少なかれ、やっぱり女性ってどこかみんな一緒なんだな、と気づきました。

「言葉じゃなくて、態度が欲しい。自分だけを愛してほしい」――そんな思いは、もう生物的に当然の望みなのかもしれない。けれど、それに気づく頃には、たいていもう手遅れで、一番愛してほしかった人は、その愛をくれなかったりします。だから結局、孤独の中で自分をどうにか立て直していくしかない。そんな絶望を自然が傷ついた心をやさしく包み、静かに癒してくれるのです。

サンマロはフランスだけではなく、イギリスからもアクセスができます。ロンドンに住んでいる友人は「ポーツマスからフェリーで週末に訪れた」とのこと。ととのいたい方は、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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