キーワードで検索
フランス北東に位置し、ローマ時代から続く歴史と落ち着いた街並みが魅力の街・メッス。観光都市と比べると静かですが、歩けば歩くほど表情が変わり、じんわり心に残る街です。
前回はおすすめのレストラン、アートギャラリー、バーをご紹介しました。今回は地元で人気のカフェや郊外の静かなスポット、そして旅先ならではの“思いがけない出会い”を紹介します。
メッスの朝は、このお店から始めたい。そんなカフェが「FOX l Coffee-Shop & Torréfacteur」です。駅前にあり、朝から地元の常連客や旅行者で行列ができるほどの人気ですが、並ぶだけの価値はあります。
コーヒーは自家焙煎で香り高く、クロワッサンもベーグルサンドも、何を食べてもおいしい。店内は外から見るよりもずっと広く、席数も多いので快適に過ごせます。パソコンで仕事をしている人もちらほらいて、作業したい時にも使えます。
さらに嬉しいのは、日曜日も営業していること。フランスで日曜日に開いているのは貴重なので、ぜひ覚えておきたい一軒です。
■FOX l Coffee-Shop & Torréfacteur
住所:20 Rue Gambetta, 57000 Metz
電話番号:+33 3 72 39 11 89
アクセス:Metz-Ville駅から徒歩約3分
営業時間:月〜日 8:00〜18:00
URL:https://fox-coffee.com/
街歩きに疲れたら、旧市街にある「Chez Franceska」でひと休みするのがおすすめです。こじんまりとした可愛い店内で、気取らない優しい空気が漂っています。特にタルトの種類が豊富で、どれも大ぶりで食べごたえがあります。
コーヒーにもこだわっていて、ほどよい苦味と香りがタルトの甘さを引き立ててくれます。店内ではおしゃべりをしている老夫婦がいたり、本を読んでいる人がいたり、ゆったりとした時間が流れています。ひとりでも入りやすい雰囲気なので、ひとり旅の方にもおすすめです。
■Chez Franceska
住所:19 Rue Taison, 57000 Metz
電話番号:+33 6 95 63 17 57
営業時間:火〜土 10:00〜18:00(変動あり)
URL:https://chezfranceska.fr/
メッスから少し離れた街を散策してみたくなったら、足を運びたいのがスシー・シャゼル(Scy-Chazelles)。メッスからバスで約20~30分ほどで行ける、小さな町です。
そこは街の喧騒がすっと消え、住宅街と緑が入り混じる静かなエリア。また、EU統合の父として知られる政治家ロベール・シューマンが生涯を終えた家「Robert Schuman House」があります。
館内には彼が使っていた大きな図書館や、庭に面した明るい仕事部屋が残されていて、窓辺のデスクや本に囲まれた空間を眺めていると、彼の誠実で静かな日常がそのまま息づいているようでした。
「もし独身で、理想の家に暮らすならこんな感じなのかもしれない」と、思いを寄せずにはいられないほど落ち着いた場所です。
■Maison de Robert Schuman
住所:8-12 Rue Robert Schuman, 57160 Scy-Chazelles
電話番号:+33 3 87 60 63 09
アクセス:メッス中心部からバスで約20~30分
営業時間:水〜日 10:00〜12:30、13:30〜18:00
入館料:6€(企画展により変動)
URL:https://maison-robert-schuman.eu/
実はスシー・シャゼルへ向かった日、うっかりバスを間違えてしまいました。正反対の方向へ向かってしまったのです。帰りのTGVまであまり時間がない中、焦りながら降りたバス停の目の前に広がっていたのは、信じられないほど広く静かな原っぱでした。
見渡す限りの草原で、風の音だけが聞こえるような場所。急いでいるのに、足を止めて、見とれてしまいました。今までの人生で出会った中で、最も大きい原っぱだったからではありません。「人生って思い通りにいかないものだな」と、ふと気づいたからでもあります。
旅は思い通りにいかないことばかり。フランスに住んでいると、日常生活はもっと思い通りにいきません。それでも、だからこそ出会える景色や気づきがある――そんなことを改めて感じさせてくれたのです。
思いがけない出会いがある街、メッス。ストラスブールやルクセンブルグに立ち寄るついでに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。