• Facebook でシェア
  • X でシェア
  • LINE でシェア

【ベルギー】アントワープ『フランダースの犬』の聖母大聖堂、最終話は12月が舞台

守隨 亨延

守隨 亨延

フランス特派員

更新日
2025年12月6日
公開日
2025年12月6日
©︎Yukinobu Shuzui

日本では幅広い世代に知名度のある『フランダースの犬』。1975年にアニメ「世界名作劇場」で放送された人気作品で、ベルギーのアントワープを舞台にした少年ネロと老犬パトラッシュの物語です。物語の最後は12月が舞台。それと同じ時期に、物語の要となるアントワープの聖母大聖堂を訪れてみました。

AD

ネロとパトラッシュが旅立った場所

©︎Yukinobu Shuzui

アニメ『フランダースの犬』の最終話を覚えている方も多いのではないでしょうか。

画家ルーベンスに憧れ、自身も画家を目指していた貧しい少年ネロは、満を持して絵画コンクールに応募しましたが落選。ところが、審査員の一人がネロの才能を見抜き、ルーベンスのような画家になる可能性があると、ネロを引き取りにきました。

しかし時はすでに遅く、コンクールの落選を知らされ、また祖父を亡くし、風車小屋の放火犯の疑いもかけられるなど人生に絶望していたネロは、聖母大聖堂にあるルーベンスの傑作「キリストの昇架」「キリストの降架」を見ながら、寒い12月の大聖堂内で犬のパトラッシュと共に、凍えながら息を引き取るという最後です。

そのアニメ版『フランダースの犬』を見て育った日本人にとって、身近に感じられるのがこの聖母大聖堂です。

  • ©︎Yukinobu Shuzui キリストの昇架
  • ©︎Yukinobu Shuzui キリストの降架

私が訪れた時は、すでに町中はクリスマスの装飾で飾られ、この時期のヨーロッパ特有の暗くて寒いながらも輝いている雰囲気に包まれていました。イギリスの作家ウィーダにより『フランダースの犬』が書かれた19世紀後半と今とでは、アントワープにおける社会の様子は大きく変わっているとは思いますが、同じ時期に現地を訪れると感慨も深いです。

聖母大聖堂の見どころ

©︎Yukinobu Shuzui 聖母被昇天

さて、その聖母大聖堂の見どころは、そのゴシック建築です。聖母大聖堂は、ベルギーでもっとも大きなゴシック教会であり、「ベルギーとフランスの鐘楼群」として世界遺産にも登録されています。

内部は、物語でも中心的な役割を果たしているルーベンスの「キリストの昇架」「キリストの降架」、そしてこれら大聖堂内左右に配置された2作品の中央に位置する「聖母被昇天」が、礼拝者を迎えてくれます。近年、改装を行ったためか以前に訪れた時より大聖堂内はより綺麗になり、乳白色で明るく荘厳に感じました。

©︎Yukinobu Shuzui 大聖堂前のネロとパトラッシュのモニュメント

大聖堂の前には、ネロとパトラッシュが安らかに眠るモニュメントもあります。また大聖堂は商店が集積するマルクト広場のすぐ隣にあり、町歩きも楽しい地区です。

■聖母大聖堂(Onze-Lieve-Vrouwekathedraal)
住所:Groenplaats 21 2000
URL:https://www.dekathedraal.be/

あわせて訪れたいアントワープ中央駅

©︎Yukinobu Shuzui アントワープ中央駅の内部

アントワープには、聖母大聖堂の他にもルーベンスの家、王立美術館など見どころは多いです。いずれも時間があればじっくり立ち寄りたいスポットばかりですが、それほど時間が取れないならアントワープ中央駅はどうでしょうか。「世界で最も美しい駅」と呼ばれることもある駅です。

同駅はベルギーの建築家ルイ・デラサンセリによりデザインされ、10年の歳月をかけて1905年に完成しました。ネオ・バロック様式の駅舎には、まるで教会のような精密な意匠が施されています。駅構内には、かつて王族の待合室として使われていたスペースが「ロイヤル・カフェ」という飲食店になっており、ここでお茶をしながら駅の雰囲気をゆっくりと感じることもできます。

©︎Yukinobu Shuzui アントワープ中央駅の外観

アントワープ中央駅は、フランスのパリ北駅から高速列車ユーロスターで約2時間で到着します。フランス旅行と組み合わせてみても楽しめる町です。

■アントワープ中央駅(Station Antwerpen-Centraal)
住所:Koningin Astridplein 2018
URL:https://visit.antwerpen.be/info/centraal-station

トップへ戻る

TOP