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京都には海外観光客向けの和モダンな店が数多く並びますが、今回訪れた「京町家いづも 花のか」は、そうした店とは少し趣が異なります。
京都駅から徒歩約10分。通りにひっそりと佇むその姿は、気をつけていなければ通り過ぎてしまいそうなほど控えめです。
築およそ120年。かつて西本願寺の宿坊として使われていた京町家を活かした空間には、大正ロマンをテーマに、本物のアンティーク家具や調度品が丁寧に配されています。華やかさよりも、静けさの中に京都らしい奥行きを感じられる一軒です。
「京町家いづも 花のか」は、華やかな演出で人を惹きつけるタイプの町家カフェではありません。通りに溶け込むような佇まいが印象的で、暖簾をくぐる前からどこか落ち着いた空気をまとっています。
扉を開けた瞬間、外の喧騒がすっと遠のく感覚がありました。観光地でありながら、どこか私的な空間に招き入れられたような、やさしい静けさが広がります。
建物は築およそ120年。
かつて西本願寺の宿坊として使われていた歴史ある京町家です。
柱や梁、建具の一つひとつに刻まれた時間の痕跡が、この場所の確かな背景を静かに物語っています。単なる「古民家風」ではなく、実際に人の営みを支えてきた建物だからこそ、空間に自然な重みと落ち着きが感じられます。
室内は大正ロマンをテーマに整えられています。
アンティーク家具や照明、ガラス建具、装飾品の数々はどれも上質で、決して過剰にならないバランス感覚が印象的です。
空間を歩くだけで、視線の先々に小さな物語が現れます。天目茶碗、ランプ、打掛け、月見窓などが配され、二階には由緒ある鎧も。京町家としては珍しい広めの階段も見どころのひとつで、空間そのものを「眺め、味わう」楽しさがあります。
今回いただいたのは、冬限定の
「花音茶会 雪灯(せっとう) 冬の彩りアフタヌーンティー」。
価格は9,000円(税込)で、食事付きの贅沢な内容です。
白・紅・翠・琥珀をテーマに、冬の京都を思わせる九種の甘味が木箱に美しく収められています。抹茶、苺、求肥、キャラメル、林檎など、和と洋が自然に溶け合い、甘さは控えめ。素材の香りと余韻を大切にした味わいです。
・抹茶のムース
・苺大福風ムース
・抹茶のマカロン
・黒胡麻とホワイトチョコのムース
・ほうじ茶ティグレ
・苺のショートケーキ
・モンブランタルト
・杏仁と果実のヴェリーヌ
・キャラメルと林檎のムース
中でも印象に残ったのは、キャラメルと林檎のムース。すべてオーナーの自家製で、丁寧な仕事ぶりが感じられます。
アフタヌーンティーでありながら、食事としての満足度も高いのが特徴です。
メイン料理は以下から一品選べます。
・近江牛すき焼き
・和牛ステーキ
・京野菜の天ぷら
このほか、日替わりのおばんざい三種、白飯、お吸い物付き。すき焼きの上質な近江牛は、甘味の余韻を邪魔することなく、食事の締めとしても心に残る味わいでした。
「京町家いづも 花のか」では、カフェ営業に加え、レンタルスペースや着物レンタル、京都ロケーション撮影にも対応しています。インバウンドからの支持が高いのも納得です。
単なる飲食店にとどまらず、京町家という空間を多角的に活かした取り組みが、この場所の魅力をより深いものにしています。
観光で初めて京都を訪れる人にも、何度も京都を歩いてきた日本人にも
「京町家いづも 花のか」は、どちらの心にも静かに残る場所です。
流行に寄りかからず、歴史と感性を丁寧に積み重ねてきた京町家、
ここで過ごす時間そのものが、京都という街の奥行きをそっと教えてくれます。
住所:京都市下京区東中筋通北小路上る紅葉町364
TEL:075-352-6060
営業時間:11:00~22:00
定休日 :木曜日※その他不定休あり、詳細はInstagram参照
URL: Instagram ・ 京都の町屋カフェ・和カフェでスイーツを楽しむなら|京町屋花のか
アクセス:電車:JR各線京都駅より徒歩約10分
支払方法:現金のみ(クレジット・電子マネー不可)