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Blwyddyn Newydd Dda!ブリズィン・ニュウィズ・ザ!
ウェールズ語で「新年おめでとう」を意味するこの言葉が、ウェールズ人の新年の挨拶です。
前回の記事では、ウェールズの冬の伝統行事「マリ・ルイド(Mari Lwyd)」を紹介しましたが、実はウェールズにはもうひとつ、あまり知られていない“正月行事”があります。それが、『ヘン・ガラン(Hen Galan)』。直訳すると「古い新年」、いわゆる“旧正月”です。
今回は、今も一部地域で受け継がれているヘン・ガランについて、その由来と風習、そして現在の様子を紹介します。
ヘン・ガラン(Hen Galan)とはウェールズ語で「古い新年(Old New Year)」を意味する言葉。
これは18世紀に英国がユリウス暦からグレゴリオ暦へ移行した際、その新暦に反対したウェールズの一部の地域が旧暦の新年にあたる1月13日を本来の正月として祝い続けたことで生まれた文化です。それがいつしか「ヘン・ガラン」と呼ばれるようになりました。
現在、ウェールズでも1月1日が正式な祝日ですが、北ウェールズや南西部のペンブロクシャー、特にクム・グワウン(Cwm Gwaun)村とグワウン渓谷周辺の村々で、ヘン・ガランが地域の文化行事として、今なお受け継がれています。
伝統的なヘン・ガランでは、子どもたちが主役となって、近所の家々を訪ね歩きます。
そして、新年に相応しいウェールズ民謡を歌い、その家族の健康と幸福を願います。
もちろん、寒い中、村を歩き回る子どもたちにはコインやお菓子など、ささやかなお礼も用意されていて、これを「カレニグ(Calennig)」と呼び、ウェールズ語で「新年の贈り物」を意味します。
日本の「お年玉」や「門付け」を思わせるこの習慣には、子どもたちの成長を祝うと同時に、地域全体で新年を迎えるという意味が込められているようです。
ヘン・ガランを象徴する存在が「アヴァル・ガラン(Afal Galan)」と呼ばれるリンゴのお守り。
赤いリンゴにクローブを刺して、リボンやヒイラギで飾ったこのリンゴは、“健康・繁栄・新しい1年の始まり”を象徴するとされてきました。
残念ながら、今ではあまり目にする機会はありませんが、ウェールズの民族文化を語るうえで欠かせない存在です。
現在のヘン・ガランは、大規模な観光イベントとして開催されることは少なく、そのほとんどが地域のパブやコミュニティ、文化団体による小規模な集まりとして行われています。
また、マリ・ルイドが登場する夜のイベントとして祝われることも多く、歌や音楽とともに「ウェールズの新年」を分かち合います。
あまり観光向けではありませんが、ウェールズ語はもちろん、その土地の暮らしに近いかたちで伝統に触れることができるのがヘン・ガランの魅力です。
そんなヘン・ガランは旧暦の新年にあたる1月13日前後に行われるので、今からでも参加できる機会はあります!
参考までに2026年に開催予定の地域と日程をいくつか紹介します。
1月9日(金)
・カーディフ(Cardiff):Taith Y Fari Lwyd ※Dawnswyr Twrch Trwyth 主催の無料イベント(寄付歓迎)
1月10日(土)
・アングルシー島ビューマリス:David Hughes Community Centre ※子供向けの無料ワークショップ(下記フライヤー参照)
1月10日(土)-11日(日)
・コンウィ(Conwy):Ty Aberconwy ※アバコンウィハウスでのワークショップやパレード(下記フライヤー参照)
1月13日(火)
・クム・グワウン(Cwm Gwaun):老舗パブ「Dyffryn Arms」を中心に村の伝統祭事として開催
・スランガヌィド(Llangynwyd) : Corner House Inn ※MENTER BRO主催(上記フライヤー参照)
1月16日(金)
・ポントアルダウェ(Pontardawe):ポントアルダウェ・アート・センター ※チケット予約制
1月17日(土)
・ポンティプリッズ(Pontypridd):Clwb Y Bont ※チケット予約制 (上記フライヤー参照)
なお、私自身も今年はいずれかのヘン・ガランに参加予定。地域の一員として迎える「もうひとつの新年」を体験してみたいと思っています。
皆さんも旅のタイミングが合えば、ぜひ冬のウェールズへ足を運んでみてください。
(内容や日程は毎年、異なるため、現地の観光局サイトや博物館の公式ホームページ等を事前にご確認ください)