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私の住む奈良には、日本一の走行距離を誇る路線バスが走っています。日本一大きな村といわれる十津川村、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」エリアを駆け抜け、知る人ぞ知る温泉地もたくさんあるこの路線。
北部の奈良公園や寺社仏閣などの観光地と地図で見れば同じ県なのに、同じ奈良県とは思えないほど、景色も空気も大きく変わっていきます。
今回は、日本一長い路線バスでゆったり旅を楽しみながら立ち寄れる、おすすめスポットをご紹介します。
その路線バスとは、奈良・近鉄大和八木駅から和歌山・新宮駅までを結ぶ、奈良交通の八木新宮線です。
新宮まで169.3㎞、停留所の数は168。全区間の所要時間は、ノンストップでも約6時間半から7時間ほどで、日本一長い路線バスの旅を体感できます。生活の足としても旅のルートとしても機能している、特別な路線です。
地図で見ると1本の線なのですが、実際は山、谷、川、集落…と景色が目まぐるしく変わりながら進み、紀伊半島を縦断していきます。
「168バスハイク乗車券(6150円)」というチケットを使うと、途中下車が可能です。2日間有効なので、例えば十津川温泉等で1泊した後でも引き続き乗車可能。新宮駅方面からの設定もあります。(逆方向へ戻ることはできません)
このチケットは、奈良交通社の窓口やWebで購入可能。近鉄大和八木駅から乗車の場合は、八木案内所で購入できます。
予約制ではなく、1日3便のみの運行なので、途中下車する場合は事前に時刻を確認しておくと安心です。
■奈良交通
https://www.narakotsu.co.jp/temporary/yagi-shingu/
まずおすすめしたいのは、十津川村にかかる谷瀬の吊り橋。
全長約297m、高さ約54mを誇る、日本最大級の長さを誇る生活用吊り橋です。
1954年に架けられた橋で、観光用ではなく、現在も地域の生活道として使われているという点が大きな特徴です。
実際渡ってみると、足を踏み出すたびに橋が大きく揺れ、橋を渡る人が多くなると揺れが大きくなります。
さらに風が強いと横揺れが大きくなり、足がすくみます。
中央付近では視界が一気に開け、十津川(熊野川)の清流と山々に囲まれた、紀伊半島らしいダイナミックな景色が広がります。空中散歩しているような感覚は、ここならではの体験です。
観光用ではなく、今も地域の生活道として使われている橋だからこそ、ここでしか味わえないリアルな体験ができるスポットです。
路線バスは約20分ほどこの吊り橋で停車するので、スリルを味わいたい方はぜひチャレンジしてみてください。
■谷瀬の吊り橋
住所:〒637-1103 吉野郡十津川村上野地65-2
TEL:0746-63-0200(十津川観光協会 ※木曜定休)
アクセス:八木新宮特急バス「上野地」下車、徒歩すぐ
ゆったりバスの旅を味わうために、少し先の十津川温泉で一泊するのもおすすめです。源泉かけ流しの温泉があるので、疲れた身体を休めることができます。日帰り入浴ができる施設もあります。
バスに乗ってさらに先へ進むと、ユネスコの世界遺産に登録されている熊野古道・小辺路(こへち)があります。熊野古道・小辺路は、高野山と熊野三山を結ぶ参詣道で、奈良県十津川村を通る山岳ルートとして知られています。
バスを降りて、はてなしの道と呼ばれる石畳の古道と山道を約1時間半~2時間ほど登ると、果無(はてなし)集落に到着します。
果無集落は、奈良県十津川村の山腹に点在する小さな集落で、熊野古道のひとつである小辺路の途中にあります。石畳の古道を歩きながら、ふと顔を上げたときにひらける山の尾根と空の広さを感じながら、静かな山の時間を体感できます。
果無集落は「にほんの里100選」にも選ばれ、通称「天空の郷」と呼ばれています。
世界遺産でありながら、今も人々が実際に暮らしている生活の場でもあります。石畳の参詣道は集落の中を通り、山の斜面に沿って家々が点在しています。
里山の人々の暮らしを感じる静かな空気が、この場所には漂っています。
■熊野古道・小辺路
アクセス:八木新宮特急バス「ホテル昴」下車、果無集落へは徒歩で約1時間半から2時間ほど
新宮へと続くこの路線沿いには、まだまだ見どころやその土地ならではの郷土料理が点在しています。
春休みやゴールデンウィークなどの長期休暇に、途中下車を楽しみながら、日本一長い路線バスに揺られるゆったりとした旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。