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千葉県は成田空港があるため、周辺地域でも海外との交流が盛んです。その成田空港からほど近い多古町で、ボリビアを中心とした南米音楽のお祭りがあることを知っていますか? 今回は多古町観光まちづくり機構の協力のもと、「ラテンミュージックフェスタ in TAKO 2026」を取材してきました。
筆者が暮らしている多古町は、成田空港の東側に位置するのどかな田舎町です。そんな場所で、4年前から「ラテンミュージックフェスタ」が開催されています。
企画したのは、地域おこし協力隊として移住してきた鈴木咲希さん。彼女は2年間ボリビアの日本大使館に勤務し、コロナ禍をきっかけに帰国。その後、多古町へやってきて国際交流の企画を立ち上げました。
「『どうしてボリビアなの? 南米なの?』とよく聞かれるのですが、私がここへ来て、ボリビアの音楽を聴きたかったから。単純な理由ですね!」
初回はコロナ禍の影響もあり、ボリビア音楽のみを扱う小規模な開催だったそうです。しかし回を重ねるごとに「南米との国際交流」として枠が広がり、参加する国やジャンルも増えてきました。
最初の演目は「Bolivia Dance Company」と「東京リャマ計画」によるフォルクローレ・コラボです。フォルクローレとは、アンデス地域(ペルー、ボリビア、アルゼンチンなどの山岳地域)の伝統的な民俗音楽のこと。ケーナやサンポーニャといった笛、弦楽器のチャランゴ、打楽器のボンボなどが用いられます。
ボリビアのダンスは、アンデス地域独特のカラフルな衣装と羽飾りが特徴で、とても陽気。後半では「ディアブロ(悪魔)」の仮面をつけた踊り子も登場し、激しいパフォーマンスを見せてくれました。ダンス講師であるセノビア・ママニさんの煌びやかな衣装にも目を奪われます。
続いては、企画者・鈴木さんの母校である神田外語大学から、フラメンコ舞踊部「Las☆Bakandas」による情熱的なフラメンコショーが披露されました。
フラメンコの本場はスペインですが、「ラテン・ミュージック」というくくりの中では、その情熱的な調べを感じられます。カラフルな衣装「マンサニージャ」の翻るフリルや、すべらかな腕の動き、そして力強い脚のタップがフラメンコの特徴です。
昼過ぎからは会場を練り歩くシクリアーダが行われました。これは笛のサンポーニャの合奏のことなのですが、今回は希望者たちがサンポーニャを吹きながら、会場内を練り歩くパレードとなっていました。JALの職員さんたちもパレードに加わり、会場をぐるりと2周していました。撮影していた筆者もいつの間にかパレードのなかに飲み込まれていました。
筆者がボリビアのラ・パスを訪れたときも、同じようなパレードに遭遇しました。ボリビアの独立記念日のある週は、先ほどのBolivia Dance Companyさんのような派手な衣装やディアボロの仮装をして街を練り歩くのです。その光景が蘇ってきました。
中南米で用いられるハープであるアルパの演奏者、池山由香さんと、彼女の先生でもあるルイス・サルトールさんの演奏。
風が強いのでアルパの弦が風で音を出してしまうのもライブならでは。本来は池山さん一人での演奏の予定だったのですが、急遽ルイスさんが参加することになったそうです。それでもしっかり曲に合わせてギターを奏でる腕前はすごい。
東京科学大学のジャズビッグバンドはラテンの息吹を感じるジャズアレンジを演奏してくれました。みんなが陽気なシャツで、裸足だったのが印象的。
この2月、ブラジルに行かなくても本格的なサンバを見ることができました! このド派手な衣装はサンバならでは。ブラジルのサンバは今回のフェスタのなかでも抜きんでて陽気で激しく、セクシーでした。
盛り上がってくると客席にも繰り出してきてしまうのも、枠に囚われないサンバの熱気。観客も一緒に踊っていました。
演奏のトリはコロンビア音楽。これまでのラテンの情熱的で陽気な雰囲気がありつつも、どこからしっとりとしたリズムが印象的でした。
クンビア楽器と呼ばれるコロンビアの伝統楽器が珍しいところ。ガイタというフルートに似た笛や、タンボールという打楽器、そして丸くて大きなマラカスが音楽を彩っていました。
「どうしてみなさん、踊らないの?」というボーカルの声に観客が前に出てきて思い思いに踊り始めました。これもらてん・ミュージックのいいところ。恥ずかしさなどなくして、一緒に踊っていました。
COLOMBIA EN CARNAVAL コロンビア・エン・カーニバル
会場には食べ物を売るキッチンカーや雑貨屋も出店していました。パラグアイの刺繍やメキシコの雑貨。アルゼンチンやパラグアイでよく飲まれているマテ茶。ボリビアのワインにコーヒー。中南米を感じられる食べ物もたくさん出ていました。
イベントを行っていくうちにつながりが生まれて、コロンビアのバンドや鈴木さんの母校である神田外語大学のサークルや学生ボランティアが協力してくれるなど、縁が広がっていったそうです。
「イベントをやるのであれば、本当は成田空港の近くなど交通の便がいいところのほうがいいのかもしれません。でも私は多古町が好きで、ここでイベントをやりたいと思って進めてきました。イベントをやるうちに、多古町以外の地域や県外からも来てくださる方が増えました。すこしでもイベントを通して南米の魅力、多古町のことを知ってもらえたらうれしいです」
鈴木さんはにこやかにそう語っていました。多古町に響いた南米の情熱的な音楽は、天気にも恵まれてより陽気なイベントになったと感じました。