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温州みかんの季節には、オレンジ色に染まる段々畑が見られる愛媛県八幡浜。かつて「伊予の大阪」とよばれ海上交易で栄えたこの場所は、四国有数の「さかなの町」でもあります。そんな港町の歴史と今の暮らしが静かに重なっている八幡浜の魅力を紹介します。
町のどこよりも早く活気に包まれる場所があります。八幡浜の玄関口、八幡浜港にある「八幡浜市水産物地方卸売市場」です。2階見学通路から朝の競りは誰でも自由に見学でき、事前予約も不要。早起きができた日、私もさっそく足を運んでみました。
建物の2階から見下ろすと、ずらりと並ぶ魚の量は圧巻。漁業協同組合の方の威勢のいいかけ声とともに、次々と競り落とされていきます。最初はあまりに高速な掛け声に圧倒され、「お経」のようにしか聞こえませんでした。元従業員の方に尋ねると「なんぼ、なんぼ(いくらだ)」といっているのだそう。そんな活気ある市場ですが、最盛期に比べると漁獲量は10分の1以下にまで落ち込んでいると聞き、漁業が直面する厳しい現状も感じました。
競り落とされた魚は隣接する「どーや市場」にも並ぶため、誰でも新鮮な魚を購入できます。山育ちの私にとって、毎日のように多種多様な獲れたての海の幸を味わえる環境は羨ましい限りです。
■八幡浜市水産物地方卸売市場・競り
住所:愛媛県八幡浜市沖新田1585番地9
電話番号:0894-22-3111(市役所水産港湾課)
見学時間:6:00~17:00
※早朝がおすすめ。時期や水揚げ状況によって変動します。
アクセス:大洲・八幡浜自動車道「八幡浜インターチェンジ」から5分
URL:https://www.minatto.net/archives/5600詳しい競りの様子はこちらからご覧ください。
八幡浜漁業協同組合:https://jf-yawatahama.or.jp/
昔ながらのアーケード商店街を抜けた住宅街の一角に、ひっそりと残るのが「八幡浜第一防空壕」です。太平洋戦争開幕前に建てられたと聞き、驚きました。かつて「伊予の大阪」とよばれ、海上交易で栄えた八幡浜の歴史を感じさせる場所でもあります。
防空壕の入口には鍵がかけられているため、地元の有志である幸会(さいわいかい)の方に鍵を貸していただき見学しました。内部は少しひんやりとしており、電球が灯る空間は明るく、細部までよく見えます。80年前の建造物とは思えないほど綺麗な状態で残っていました。
建造当時、この防空壕は四国初の本格的なものとして新聞にも掲載されたそうです。幸会の方からは手作りの資料もいただき、地域の人々が防空壕や戦争の記憶を次の世代へ伝えようとしていることが伝わってきました。観光地の賑わいのすぐそばに、こうした歴史の遺産が静かに残されていることに、八幡浜の奥行きを感じます。
■八幡浜第一防空壕
住所:愛媛県八幡浜市松本町1丁目97−1
電話番号:みなと交流館0894-21-3710(9:00~17:00)※幸会に繋いでいただけます。
見学時間:内部見学可。事前に上記へ連絡しておくとスムーズです。
アクセス:大洲・八幡浜自動車道「八幡浜インターチェンジ」から5分、八幡浜市役所から徒歩10分
※近くに駐車場がないため、市役所から徒歩移動がおすすめです。
URL:https://www.minatto.net/archives/5563
八幡浜を散策したあとは、一日の疲れを癒せる銭湯へ。土木遺産に認定されている明治橋の近くにあるのが、昔ながらのお湯を薪でお湯を沸かすスタイルを続けている「大正湯+plus」です。外観からレトロな雰囲気がただよいワクワクします。滞在中に何度か訪れましたが、暖簾が変わることもあり通う楽しみもありました。
一歩足を踏み入れれば、番台や番号が振られた木製ロッカー、そして鮮やかなタイル張りの浴室がお出迎えしてくれます。壁一面に描かれた360度のペンキ画は、まるで映画の世界に迷い込んだような気分になりました。浴室に飾られたペンギンの置物や黄色いアヒルも可愛くて今でも覚えています。コンパクトながらサウナも完備されており、広々とした空間で薪焚きのお湯に浸かれば、芯から温まり疲れもしっかり癒せました。
■大正湯+plus
住所:愛媛県八幡浜市1132−13
電話番号:0894-21-2033
営業時間:最新情報は公式Instagramからご確認ください。
アクセス:大洲・八幡浜自動車道「八幡浜インターチェンジ」から5分URL:https://www.instagram.com/taishoyu?igsh=MTlicDc2bThzZTh2NA
朝の競りの掛け声、防空壕の静けさ、薪焚き湯の温もり。八幡浜滞在で見えたのは、港町の歴史と今も続く人々の暮らしでした。