古さと新しさが融合した郷愁タウン「台南」の歩き方!
1年を通して温暖で、台湾屈指の美食タウンとして知られている台南(タイナン)。約1000軒の廟や旧跡が点在し、縁結びのパワースポットとしても有名です。歴史的建造物をリノベーションしたおしゃれなショップやゲストハウスのほか、も急増中。古いタイルや鉄格子をあしらった昔ながらの住宅が多く、冒険心をくすぐります。中心部から少し足を延ばせば、マンゴーのふるさと玉井(ユィジン)や台湾最古の塩田・井仔腳瓦盤鹽田(ジンズージャオワーパンヤンティエン)なども。新幹線を使えば台北からの日帰りも可能ですが、できれば1泊以上宿泊してのんびり過すのがおすすめです。
台南エリアの特徴
場所・概要
台湾南西部に位置する台南は、人口約188万人の都市。清朝時代は首都だったことから“”台湾の京都”と例えられることがあります。昔ながらの町並みが多く残り、台北ではあまり見かけないローカルグルメとの出合いもたくさん。6月から8月頃までは地元産のマンゴーが登場し、台北よりリーズナブルな価格で味わえます。7〜10月は台風シーズンなので注意しましょう。
台南観光の特徴
清朝、日本統治時代から残る貴重な名所旧跡が点在します。小吃(シャオチー)と呼ばれる手軽に楽しめるローカルグルメ店が多く、食べ歩きにぴったり。台南市内の交通は、バスを中心に、タクシー、レンタサイクルが便利です。台南メトロの工事が計画されていますが、2028年以降の運行開始になる見込み。主要観光スポットを巡るなら、日本語オーディオガイド付きの観光バス(Tainan Sightseeing Bus)もおすすめです。
台南のおすすめ観光スポット
赤嵌樓(チーカンロウ)
1652年にオランダ人によって創設され、当時はプロビデンシャ城と呼ばれていました。1661年に鄭成功がオランダを攻略したあと、この城を首府に制定。その後、日本統治時代に台南市長である羽鳥又男によって改築工事が進められました。園内には国家指定古蹟ほか歴史紹介などの資料が展示されおり、台南観光で欠かせないスポットのひとつです。
台南孔子廟(タイナンコンズーミャオ)
1665年に鄭成功の息子・鄭経によって建てられた台湾最古の孔子廟です。孔子は学問の神様として祀られており、日本統治時代には台南公学校が設置されました。現在でも武道場などが残されており見学可能。毎年9月28日には秋の祭典が開催されます。
大天后宮(ダーティエンホウゴン)
1664年建立。本尊は、家内安全や無病息災にご利益がある媽祖ですが、台湾最古の月下老人(ユエシアラオレン)も祀っています。月下老人は、ご縁のある男女を結びつける赤い糸を持つ神とされており、特に台南の大天后宮、祀典武廟(チューディエンウーミャオ)、大觀音亭(ダーグアンインティン)、重慶寺(ヂョンチンスー)は「四大月老」と呼ばれ崇められています。
四草綠色隧道(スーツァオリュウスースイダオ)
台江國家公園(タイジャングオジアゴンユエン)の敷地内にある湿地帯。有料のボートツアーでは、ライフジャケットと笠を着用し、トンネルのように続くマングローブの中を小型船でゆっくり進みます。木々の合間から差し込む光や静かな水の音は、癒やし効果抜群。運がよければトビハゼやシオマネキなどの生態観察も楽しめます。写真撮影がしやすい最前列に座るのがおすすめ。
神農街(シェンノンジエ)
100年ほど前、神農街、信義街(シンイージエ)、新美街(シンメイジエ)の三大地区は、物流の要とされたエリアでした。神農街は運河沿いの商店街としてにぎわい、近年は古い建物をリノベーションし再利用したショップやカフェ、バーが集まるスポットとして若い世代を中心に人気です。夜は提灯に明かりが灯り幻想的な雰囲気に!
國華街(グオホアジエ)
地元住民が集まるローカルグルメ・ストリート。おすすめの店は、野菜がたっぷり入った台湾式春巻き“金得春捲”(ジンダチュンジュエン)、豚タンなどを蒸しパンでサンドした“阿松割包”(アーソングーバオ)、牛肉スープの“永樂牛肉湯”(ヨンラーニウロウタン)、行列ができるビーフン専門店“邱家小捲米粉”(チウジアシャオジュエンミーフェン)など。
- 住所
- 台南市中西區國華街
林百貨(リンバイフオ)
1932年に台湾南部初のデパートとして創業。一時期休業していたものの、2014年にリニューアルオープンしました。創業者は日本の実業家・林方一氏。店内には、林百貨オリジナルのパイナップルケーキやドライフルーツのほか、伝統菓子の萬川號(ワンチュワンハオ)や帆布バッグの合成帆布(ホーチョンファンブー)など台南の老舗とのコラボ商品も多数あります。
台湾各地から集められたグルメみやげ、雑貨、ファッション、茶器茶葉なども揃います。レトロなエレベーターや産業の守護神を祀っていた神社、第二次世界大戦時に受けた被弾の痕跡など細部にも注目しましょう。
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台南市美術館2館(タイナンシーメイシューグアンアーグアン)
2019年にオープンした美術館。おもに国内外のアーティストによる現代アートの展示が行われています。建物は、建築家・石昭永氏とプリツカー賞を受賞した坂茂建築設計事務所との共同設計によるもの。ここから徒歩約5分の場所に、趣が異なる1館があるので、あわせて立ち寄ってみてください。
台南の美食を満喫しよう!
集品蝦仁飯(ジーピンシアレンファン)
台湾南部の沿海地方でとれた火焼蝦(フオシャオシア)と呼ばれる小エビを使っています。味付けは醤油や鰹節でだしを取っており、台湾米との相性抜群。お好みで目玉焼きや鶏肉を追加しても美味。食事時になるとにぎわいますが、テイクアウトの人も多く回転は早いです。
- 住所
- 台南市中西區海安路一段107號
阿村第二代牛肉湯(アーツンディアーダイニウロウタン)
台南では朝ごはんメニューとして親しまれている牛肉スープ。創業約50年のこちらは、新鮮な台南産の牛肉(生肉)に、牛骨や野菜で煮込んだスープをかけています。常連客に人気がある牛肉炒飯(ニウロウチャオファン)はしっかりした味つけで食べ応えあり。台南市内には牛肉スープの店がたくさんあるので、自分好みを探してみてください!
- 住所
- 台南市中西區保安路41號
阿憨鹹粥(アーハンシエンヂョウ)
台湾でポピュラーな虱目魚(スームーユィ台湾語でサバヒー)は、別名ミルクフィッシュと呼ばれる白身魚で、タンパク質やDHA、EPAが豊富で栄養満点。1949年創業のここは虱目魚肚粥が名物で、スープは化学調味料を加えず、塩、虱目魚の骨、牡蠣でだしを取っています。常連客は揚げパン・油條(ヨウティアオ)を浸して食べるのだそう。
同記安平豆花(トンジーアンピンドウホア)
豆花とは豆乳で作られる豆腐のような素朴系スイーツ。ここは創業40年以上の伝統製法を守り続ける豆花専門店で、厳選した有機大豆と水で作られています。豆花は、プレーンのほか竹炭&黒豆味の竹炭黑豆花(ヂュウタンヘイドウホア)、ミルク味の鮮奶豆花(シエンナイドウホア)があり、トッピングは小豆、タピオカ、緑豆、レモンから選べます。
- 住所
- 台南市安平區安北路433號
泰成水果店(タイチョンシュイグオディエン)
1935年に創業した家族経営のフルーツ店。ここではアップルマンゴーなど台南近郊で取れた季節のフルーツが楽しめます。メロンの上に自家製シャーベットがのった哈蜜瓜瓜冰は、SNSで火がつき大人気メニューに。旬のフルーツがどっさり盛り付けられたフルーツ盛りもおすすめです。
- 住所
- 台南市中西區正興街80號
花園夜市(フアユエンイエシー)
台北は毎日営業する夜市が多いですが、台南は夜市によって営業日が異なります。数日滞在するならいくつか回ってみましょう。なかでもハズせないのは台南最大級のこちら。台南ならではのグルメはもちろん、ショッピングやゲームも楽しめます。
台南おすすめコース
赤崁擔仔麵→赤嵌樓→大天后宮→泰成水果店→台南市美術館2館→林百貨
宿泊する場合は、夜はホテルに荷物を置いて夜市へ繰り出したり、早起きをして朝ごはんを食べたり。余裕がある場合はちょっと足を延ばして郊外へお出かけしましょう。
まとめ
ローカル旅は、台北からの鉄道時間も楽しみのひとつ。南部に近づくにつれ、南国の植物が増えたり、田園風景が広がり懐かしい気持ちになったりします。
小さ過ぎず大き過ぎない台南には、レトロかわいい路地をはじめローカルグルメや歴史的な観光スポットがギュッと凝縮。台湾リピーターはもちろん、初めての台湾という人にもおすすめの町です。台北では味わえないのんびりとした台南時間に癒やされます。
TEXT: トラベル・キッチン 大西稚恵
PHOTO: 上原浩作、竹田武史、大西稚恵、iStock
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※当記事は、2021年5月24日現在のものです。※台南では、2021年6月28日まで新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言で、観光スポットや飲食店は臨時休業中となります。
〈地球の歩き方編集室よりお願い〉
2021年5月24日現在、観光目的の海外渡航は難しい状況です。『地球の歩き方 ニュース&レポート』では、近い将来に旅したい場所として世界の観光記事を発信しています。渡航についての最新情報は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
旅したい場所の情報を入手して準備をととのえ、新型コロナウイルス収束後はぜひお出かけください。安心して旅に出られる日が一日も早く来ることを心より願っています。
筆者
地球の歩き方書籍編集部
1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。
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