9月21日閉館前の「ホテルオークラ札幌」で、最後の北海道味めぐり!
大通公園のすぐそばにある「ホテルオークラ札幌」は、2021年9月21日を最終営業日に閉館することが決まっています。
これまで北海道に密着した企画を発信し、札幌とも縁が深い「ホテルオークラ札幌」が閉館してしまうのはとても寂しく、また、"ホテルオークラ"がない札幌も、道産子としては残念です。
そんな思いを胸にしつつ、閉館前の「ホテルオークラ札幌」を紹介します。
"オークラ"と札幌
大通公園から西の方角を見ると目に入る「大倉山ジャンプ競技場」をご存じでしょうか。
いまからそう遠くはない頃、札幌市民や近郊の道産子は、このスキージャンプ台を"大倉シャンツェ"と親しみを込めて呼んでいました。
この大倉シャンツェを札幌市に寄贈したのがホテルオークラの創業者、大倉喜七郎氏です。
当時は札幌にホテルオークラはありませんでしたが、のちに札幌オリンピックの会場にもなった「大倉シャンツェ」を私財を投じて建設したところから、ホテルオークラと札幌のご縁が生まれていたのですね。
シャンツェが完成したとき、大倉喜七郎氏の功績を称えて「大倉シャンツェ」と命名し、それ以前は名もなき山だった"大倉山"がそう呼ばれるようになったのもシャンツェ建設が機だったと聞いたことがあります。
その後、ジャンプ台の名称は「大倉シャンツェ」から「大倉山ジャンプ競技場」に変わりましたが、現在も大倉山ジャンプ競技場では「大倉喜七郎男爵顕彰碑」を見ることができます。
(大倉シャンツェのほか、指示標識など大倉山シャンツェと表記がある場合がありますが、ようこそsapporoの表記に準じます。)
「ホテルオークラ札幌」に居ながらにして巡る北海道
「ホテルオークラ札幌」では、北海道の14のエリア(振興局)を順にピックアップし、各エリア特産の食材を使ったメニューを提供するレストランフェア「北海道を食べよう」を2013年3月から毎月開催してきました。
北海道各エリアを代表する特産品から知る人ぞ知る珍味まで、数多くの食材をホテルオークラ札幌の料理を通して紹介するフェアです。
2011年2月からスタートした「北海道を食べよう」レストランフェアは、同フェアを始めるきっかけとなった2010年の"広尾町「十勝港」秋の味覚フェア"、"サロベツ豊富フェア"を含め12年間にわたるロングランのグルメフェアです。
そして2021年9月、同フェア最後のテーマは、このフェアを始めるきっかけとなった「広尾町」を含む帯広市から広尾町までの「南十勝」。
写真↑は、現在、ホテル地下1階で開催している"十勝シーニックバイウェイ南十勝夢街道"と、これまでホテルオークラ札幌が実施してきた"レストランフェア"12年分のパネル展です。
ホテルオークラ札幌フェアウェル・イベント「南十勝夢街道フェア」
ホテルオークラ札幌では、食材の宝庫、十勝エリアのなかでも海に面した町がある「南十勝」の豊かな食材バリエーションをふんだんに使ったメニューで、2021年9月20日まで「帯広~広尾 南十勝夢街道フェア」を開催しています。そのなかで、「レストラン コンチネンタル」の「コンチネンタルランチ~帯広-広尾 南十勝夢街道から~」(全7品/3000円)を紹介します。
前菜は「広尾前浜産エゾバイツブと十勝産紫花豆のマリネ 中札内村産枝豆とクリームチーズのソース」。
かわいらしいし、美しいし、思わず見とれてしまう前菜を前に「札幌に居ながらにして北海道のグルメ旅をするのもこれで最後」と思うと思わずため息が......。
そしてツブと紫花豆はマリネの効果か、クリームチーズのソースととてもよく合っていて驚きます。
紫花豆の食感もやわらかすぎず、硬すぎず、いつもは煮豆しか思い浮かばなかった紫花豆がこんなふうにおいしくいただけるとは、目からウロコでもありました。
「十勝の海と大地の恵みスープ」
具だくさんで味わい深い(滋味深い)スープです。
夏の暑さで疲れ気味の体に海と大地の滋養が体に染み渡るようなスープは、広尾前浜産鮭・タラ・帯広産とかちマッシュ・十勝産シイタケ・じゃがいもがゴロゴロ入っています。
メインディッシュは「中札内村産白樺ポークヒレ肉のソテー 帯広産とかちマッシュ入りローズマリー風味のキノコソース」。
白樺ポークのやわらかなおいしさはもちろんですが、とかちマッシュを贅沢に使ったソースは旨味が凝縮されていて絶品です。
個人的に特に好きなとかちマッシュがたっぷりで、より気分が上がりました。
パンまたはライスのどちらかを選ぶことができます。
バゲットパンは帯広の老舗人気店「ますやパン」。
帯広に行くと必ずといっていいほど買いに行く久しぶりの"ますやパン"、いつものおいしさです。
白樺ポークヒレ肉ソテーのソースとも相性がぴったり。
あっという間に来てしまったデザートの時間です。
「中札内産スイートコーンピューレ入りガレット バニラアイスクリームとキャラメルソースと共に」
ガレットがスイートコーン風味でコーンの甘さも感じるやさしい味です。
バニラアイスクリーム、ナッツとキャラメルソースが交互に食べていると、あっという間に完食しました。
チーズ味のパイがアクセントになって、これが本当においしいのです(デザートにはコーヒーか紅茶が付きます)。
コロナ禍で、しばらく南十勝にも行っていませんが、あらためて南十勝の味や旅のできごとを思い出しながら、今、旅しているかのように南十勝の味を楽しみました。
なお、レストランフェアメニューは、このほか「オークラランチ」(全6品/1890円)、「中国料理 桃花林」では「楊貴妃ランチ」(全7品・2850円)、「広東美食紀行」(全8品・8600円)などがあります。
レストランフェア、「アラカルト」と「テイクアウト」
さて、レストランフェアは、アラカルトメニューでも楽しめます。
同じく1階「コンチネンタル」のメニューにあるのですが、こちら↑は、十勝産小麦「ゆめちから」で作った「ますやパン」。
何もつけなくてもおいしいのですが、コンチネンタルとのコラボレーションでさらにバージョンアップし、今回のフェアのアラカルトメニューになりました。
「十勝の海と大地の恵みパングラタン」(9cm×9cm×4cm/1500円)
グラタンとパンがとてもよく合っていて、このボリュームですが意外にあっさりと食べすすめられるパングラタン。
グラタンはシーフード味で、鮭や白身魚(広尾前浜産)の旨味がパンの自然な甘みにぴったりです。
熱々で出てくるので、"グラタン"をしっかり堪能できます。
2011年、初めて広尾町フェアで登場して以来の人気メニュー"カレー"は「サンタさんの喜まぐれカレー」(コーヒー付き/1900円/豊西牛はプラス300円)。
今回は、「帯広・五日市かみこみ豚」「広尾前浜産鮭」「帯広産豊西牛のミルフィーユ」3種類のトッピングから選ぶことができます。
「帯広産豊西牛のミルフィーユ」は、衣のサクサク感と豊西牛のやわらかさ+旨味のコラボレーション。カツレツですが、思った以上にさっぱりと軽やかにいただけるトッピングでおすすめです。
カレー全体で南十勝を表しており、フライドオニオンがのったライスは(写真でははっきり見えていませんが)、日高山脈と峠道をイメージしています。
シェフの遊び心を一緒に味わえるカレーも絶品です。
テイクアウトできる商品もレストランフェア対象スイーツから定番商品まで豊富なラインアップです。
テイクアウト可能な「ラウンジ プレシャス」では、いつにも増して、多彩な種類のスイーツなどが購入できます。
写真は数量限定の「カヌレ」(350円/毎日12時より販売)と「ベーコンきのこチーズマフィン」(380円)。
(個人的にはケークサレ系マフィンがやはり好きです)
レストランフェアの南十勝の食材、中札内村産チーズ「十勝野フロマージュ」のクリームチーズを使用したレアチーズケーキ(テイクアウト440円)などもあります。
なお、最終営業は、「バーオークラ」と宿泊は9月19日まで、「レストラン コンチネンタル」「中国料理 桃花林」は9月20日ランチタイムまで、「ラウンジ プレシャス」は9月20日16時までの営業です。
閉館まで、残すところあと20日間を切ってしまいましたが、ぜひチャンスがあれば「帯広~広尾 南十勝夢街道フェア」はもちろん、スイーツなどのテイクアウトを楽しみながら「ホテルオークラ札幌」の味を記憶にとどめてみてはいかがでしょうか。
最後になりましたが、実は全7品だったはずの「コンチネンタルランチ」のコースに、思いがけず、総料理長の生方シェフから、とてもおしゃれなプレゼントが。
前菜の前のアミューズです。ショートパスタの中にスモークサーモンが入っており、海苔で巻いてあります。
周りには、バルサミコ酢とオリーブオイル。
バルサミコ酢はゴールドとシルバーに輝くラメ入りで、オリーブオイルは丸い雫になっています。
そのままいただいても、バルサミコ酢やオリーブオイルと一緒にいただいても、それぞれの風味が鼻に抜けて、とても味わい深いアミューズです。
細工の細かさや繊細な味に驚いたり、ため息をこぼしたり。
ステキなプレゼントをいただき、ホロリときてしまいましたが、ホテルオークラ札幌の思い出がまたひとつ増えました。
【ホテルオークラ札幌】
・住所: 札幌市中央区南1条西5丁目
・TEL: 011-221-2333
・最終営業日: 2021年9月21日(火)【帯広~広尾 南十勝夢街道フェア】
・フェア期間: 2021年9月20日(月・祝)まで(レストラン最終営業日は9月21日[火])
・対象店舗: レストラン コンチネンタル(月曜定休・9月20日は営業)・中国料理 桃花林・ラウンジ プレシャス・バーオークラ(日曜定休)
筆者
北海道特派員
市之宮 直子
小樽生まれ、江別育ち、札幌在住のフォトライター。三度の飯より北海道を撮ることが好きな道産子北海道Loverです。
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