パリ発着で歴史風情を感じられる、フランスのかわいい町、美しい村

公開日 : 2022年12月05日
最終更新 :

パリの周辺にもかわいい村や町が点在しています。ゴッホやミレーが好んだ村やフランスの最も美しい村など、パリから日帰りできて歴史と風情を感じられる集落を集めました。

ゴッホが生涯を閉じた村、オヴェール・シュル・オワーズ

『オヴェールの教会』のノートルダム教会 ©iStock
『オヴェールの教会』のノートルダム教会 ©iStock

オヴェール・シュル・オワーズはゴッホが1890年7月に37歳でその生涯を閉じた村です。亡くなる前の2ヵ月間をここで暮らしました。ゴッホはオヴェール・シュル・オワーズで70点の作品を残し、『オヴェールの教会』『カラスのいる麦畑』といった名作の風景は今も集落の内外で見つけることができます。

パリからオヴェール・シュル・オワーズ駅までは、パリ・北駅またはサン・ラザール駅から列車で約1時間。駅前のジェネラル・ド・ゴール通り沿いにゴッホの家があります。1階が「ラヴー亭」というカフェになっている建物で、ゴッホはここに下宿していました。1階のラヴー亭は今もレストランとして営業しており、ゴッホが生きていた19世紀当時の雰囲気のままに復元されています。

駅近くには『オヴェールの教会』で描いたノートルダム教会があり、そこから北には『カラスのいる麦畑』の麦畑が、その東にはゴッホと弟のテオが眠る墓地があります。

オヴェール・シュル・オワーズはゴッホだけでなく、セザンヌ、ピサロ、ドービニー、ルノワールともゆかりのある土地であり、ゴッホ以外にも各所には作品と説明が載った案内板があります。ゆっくりと、かつての印象派が好んだ風景を堪能したいですね。

スポット名
Église Notre-Dame-de-l'Assomption d'Auvers-sur-Oise(ノートルダム教会)
住所
Place de l'Eglise 95430

『落穂拾い』の風景に出合えるバルビゾン

バルビゾンの町並み ©iStock
バルビゾンの町並み ©iStock

ミレー、テオドル・ルソーといった画家たちが住んだ村がバルビゾン。彼らは宮廷で描かれるアカデミックな絵画でなく、農村で農民と生活しながらその生活を描いたバルビゾン派と呼ばれています。この村で描かれた特に有名な作品は、ミレー『落穂拾い』『種を蒔く人』『晩鐘』など。バルビゾンの村外れの畑には今もその光景が残っています。

バルビゾンでの見どころは、それら名作が生まれた風景のほかに、ミレーが家族と住んだミレーのアトリエ、バルビゾン派美術館があります。バルビゾン派美術館は、かつての画家たちを経済的に支えたガンヌの旅籠屋を改装して美術館としています。

村の各所にはバルビゾン派の画家たちの作品のパネルが掲げられており「この作品見たことある!」と思い出しながら巡ることができます。村内は徒歩で巡れる広さです。

美術史で有名なバルビゾンですが、パリからのアクセスはそこまで良くありません。まずパリ・リヨン駅からフォンテーヌブロー・アヴォン駅までは列車で約40分。駅からバルビゾンまでは約8km先です。バスもありますが本数がかなり限られているためタクシーが便利です。

印象派のシスレーが描き続けた村モレ・シュル・ロワン

中世の建物が立ち並ぶモレ・シュル・ロワン ©iStock
中世の建物が立ち並ぶモレ・シュル・ロワン ©iStock

印象派画家のシスレーが暮らした村がモレ・シュル・ロワンです。パリに生まれたシスレーはその生涯の大部分をモレ・シュル・ロワンで過ごし、周辺の風景を描き続けました。

シスレーが何度も描いたのが『モレの教会』。村内にあるノートルダム教会です。また町自体も中世の町並みが残るため雰囲気があり散策に適しています。村を訪れる前に、また村を訪れた後にモレの作品を鑑賞しても良いですね。パリだと『モレの教会』はプティ・パレに、村内の風景を描いたものだとオルセー美術館が所蔵しています。

モレ・シュル・ロワンまでのアクセスは、まずパリ・リヨン駅から列車で約50分。モレ・ヴヌー・レ・サブロン駅で下車し駅から203番のバスに乗り約5分。サモア広場で降ります。広場には村の観光局や中世の城門であるサモア門があります。

スポット名
Église Notre-Dame de Moret-sur-Loing(ノートルダム教会)
住所
Rue de l'Église 77250

イル・ド・フランス唯一の「フランスの最も美しい村」ラ・ロッシュ・ギヨン

ロワン川沿いにあるラ・ロッシュ・ギヨン ©iStock
ロワン川沿いにあるラ・ロッシュ・ギヨン ©iStock

パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏で唯一「フランスの最も美しい村」に登録されているのがラ・ロッシュ・ギヨンです。

村の見どころは石灰岩の崖の前に建つ城と見張りの役割を持った主塔。ラ・ロッシュ・ギヨンはかつてセーヌ川沿いにある防衛の要所としての役割を持っており、12世紀に作られた円柱の主塔が外敵からに睨みをきかせていました。城の中はかつての調度品が展示されており当時の暮らしを知ることができます。ほかには庭園や菜園、厩舎があります。

城の隣にはフランボワイヤン・ゴシック様式とルネッサンス様式が混ざり合うサン・サムソン教会があります。また村内の町並みの他に、ヴィエイユ・シャリエール・ド・ガニー通りなどには岩を削った洞穴の住居が並んでおり、他では見ることが少ない独特の景観を形作っています。洞穴を利用したショップもあります。

ラ・ロッシュ・ギヨンは公共交通機関でのアクセスが難しいため、パリからはレンタカーが便利です。行きづらい場所にありますが、さらに西へ行くとモネの家があることで有名なジヴェルニーがありますのでセットで訪れることも可能です。

スポット名
Château de La Roche-Guyon(ラ・ロッシュ・ギヨン城)
住所
1 Rue de l'Audience 95780
スポット名
Église Saint-Samson de La Roche-Guyon(サン・サムソン教会)
住所
Place du Cloître Saint-Samson 95780

王侯貴族の競馬文化が漂うシャンティイ

大厩舎と競馬場 ©iStock
大厩舎と競馬場 ©iStock

今までに紹介した場所は昔ながらの庶民の文化を感じる場所でしたが、ルネッサンス様式の城を擁しディアヌ賞が開催されることでも有名な競馬場があるのがシャンティイです。パリ・北駅からは最寄り駅のシャンティイ・グヴィユー駅まで列車で約25分。ここでは王侯貴族の文化が香ります。

シャンティイ城は所有者だったコンデ公の絵画コレクションを展示するコンデ美術館となっています。ラファエロ『ロレートの聖母』、ピエロ・ディ・コジモ『美しきシモネッタ』、プッサン『幼児虐殺』といった名作が所蔵されています。

城の周りは「イギリス庭園」「フランス庭園」「村里」と3つの庭があり、フランス庭園はヴェルサイユ宮殿の庭園を設計したル・ノートルによるもの。村里はかつて貴族たちが田園生活の真似をして遊んだ場所です。

競馬場側には馬の博物館として使われている18世紀に建てられた大厩舎があります。ここでは博物館としての展示のほかに馬の調教ショーも楽しめます。

監修:地球の歩き方

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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