パリだけで満足していませんか?近郊の都市に足を延ばすとフランス旅行はもっと楽しい

公開日 : 2022年12月02日
最終更新 :

パリを滞在する際、近郊の町もあわせて訪れることでフランスでの旅の思い出が一気に深みを増します。ホテル移動はせず、パリを拠点に地方の魅力も体験できる近郊の5つの都市を紹介します。

パリから最も手軽に行ける町ヴェルサイユ

ヴェルサイユ宮殿の内部
ヴェルサイユ宮殿の内部

最も手軽に行けるのがパリの隣町であるヴェルサイユです。パリ市内と郊外を結ぶ列車RER C線を使えば30〜40分で訪れることができます。

ヴェルサイユ観光の中心はなんといっても宮殿。メインとなる宮殿だけでもとても大きく、そこに庭園、グラン・トリアノンやプティ・トリアノンといった付属施設など、すべてを巡ろうとすると1日は確保しておきたいです。

ヴェルサイユの町なかもパリとは違った雰囲気を楽しめます。ノートルダム・マルシェ広場の市場などがある町の中心部は宮殿から徒歩圏内に。ヴェルサイユは高級住宅地のため治安がよく安心して散策できます。

気候のいい季節は、庭園内でのピクニックもおすすめです。庭園については入場料がかかりません。そのためランニングやサイクリングなどをする市民の憩いの場となっています。パリ郊外の人々の暮らしを少し垣間見ることができます。

王族が狩猟を楽しむ場所だったフォンテーヌブロー

フォンテーヌブローの城 ©iStock
フォンテーヌブローの城 ©iStock

ヴェルサイユはパリから列車のアクセスがとても便利な位置にあるため、別の町に来た気があまりしないという方は、もう少し足を延ばしてパリ南郊外にあるフォンテーヌブローを訪れるのはいかがでしょうか。パリ・リヨン駅から列車を使って40分ほどで着きます。

フォンテーヌブローの見どころの中心はフォンテーヌブロー城。パリに暮らした王族が狩りを楽しむために建てた家がもとです。そのあとに増築を繰り返して現在のフォンテーヌブロー城になりました。お城見学のほかには花壇やディアヌの庭園、イギリス庭園など趣の異なる庭園があるのでそれぞれ散策を楽しんでみてください。

フォンテーヌブローの町は、周囲を森で囲まれており、そこではトレッキングや乗馬を楽しむこともできます。パリなどの市街地でショッピングするのも楽しいですが、長い年月をかけて形成された深い森でフォレストアクティビティを楽しんでリフレッシュするのもいいですね。お城のある集落から最寄り駅であるフォンテーヌブロー・アヴォン駅までは1kmほど。気候のいい時期は運河沿いに森のなかを歩いてお城まで進むのもおすすめです。

バルビゾンの町並み ©iStock
バルビゾンの町並み ©iStock

フォンテーヌブローの西約10kmの場所にはバルビゾンという村があります。ミレーやテオドール・ルソーらバルビゾン派の画家が魅了された地域で、村を外れると『落穂拾い』『晩鐘』などで描かれた畑の風景が今も残っています。フォンテーヌブローあたりからバルビゾンまでバスもありますが、1日の本数がかなり限られており、フォンテーヌブローとセットで効率的に巡りたいならタクシーが便利です。

モネが愛した集落ジヴェルニー

モネの庭にある睡蓮の池 ©iStock
モネの庭にある睡蓮の池 ©iStock

印象派の絵画が好きで、フランスの田舎の雰囲気も感じたいならジヴェルニーがおすすめです。画家モネが晩年を過ごした場所であり、今もモネが暮らした家と代表作『睡蓮』のモチーフとなった庭が当時のまま保存されています。パリからは列車で約45分、その後はバスに乗り換えて20分ほどで到着します。

ジヴェルニー観光の中心はモネの家ですが、見学が終わったら少し歩く速度を落として集落もゆっくり見てみましょう。集落の中心を通るクロード・モネ通りには、印象派をテーマにしたさまざまな企画展を行っている印象派美術館がありますし、村の教会にはモネの墓もあります。小川なども流れていて、田舎特有のゆったりとした時間を過ごせます。

都会のパリで気を張って観光をしてきた心を少しだけ解いて、復路のバスもギリギリではなく1本遅らせて、ゆっくりと時間を過ごしてみてください。村内にはいくつかカフェもありますし、また印象派美術館の館内には開放的なデザインのミュージアムカフェがあるので、ここでお茶をするのもおすすめです。

美しい大聖堂を中心とした町シャルトル

巨大なシャルトルの大聖堂 ©iStock
巨大なシャルトルの大聖堂 ©iStock

町の規模、そして距離などを含めて「違う町に来たな!」と、とても実感できるのが、シャルトルです。パリ・モンパルナス駅からは列車で1時間〜1時間15分の距離にあります。

シャルトルは、大きな大聖堂と古い町並みが徒歩で散策しやすい大きさのサイズに収まっていて日帰り観光にぴったりの町です。シャルトル観光のハイライトは、デザインの異なる2つの尖塔を持つノートルダム大聖堂。そのほかにはシャルトル美術館などの文化・芸術もありますし、陶器の破片を集めて作った作品群「ピカシェットの家」といった変わり種も。ある程度のにぎわいがある町なので、カフェやレストラン、ホテル、商店などもひととおりそろっています。

ピカシェットの家
ピカシェットの家

4月下旬から10月中旬にかけては、大聖堂をはじめ市内のモニュメントがライトアップされる「光のシャルトル」も開かれます。日中だけの観光ならば泊まる必要はありませんが、「光のシャルトル」を見るのであれば、特に夏季は遅い時間まで明るいので、市内に宿泊すると余裕をもってライトアップを鑑賞できます。

ホテルは大手チェーンから個人経営のものまでひととおりあります。駅と大聖堂、どちらも徒歩でアクセスしやすいメルキュール・シャルトル・サントル・カテドラルは現代的で使い心地がいいです。

Mercure Chartres Centre Cathédrale(メルキュール・シャルトル・サントル・カテドラル)
住所
3 rue du General Koenig 28000

中世の町並みが丸ごと残るプロヴァン

プロヴァンの町を囲む城壁 ©iStock
プロヴァンの町を囲む城壁 ©iStock

シャルトルよりもう少し昔の町並みを見てみたいのならば、中世の町並みが丸ごと残るプロヴァンはいかがでしょうか。パリ・東駅から列車で約1時間25分、そこからバスで10分ほどです。

プロヴァンは、かつては街道が交わる交通の要衝としてたいへん栄えたものの、その後ペストの流行や交易路の変更で衰退。その結果、中世の様子がそのまま現在まで残ることになりました。町の周囲を城壁が囲み、昔話などでイメージする中世の景色が楽しめます。

このプロヴァンで最も中世を感じられるのは毎年6月に行われる中世祭です。お祭りの当日は、町全体が中世コスプレ大会のような様相になります。

中世祭当日の町は多くの人であふれる
中世祭当日の町は多くの人であふれる

町へ足を踏み入れると、中世といっても人間だけではなく、魔女やモンスターの格好をした人もいるなどRPGゲームのような世界観も。旅行者として見物するだけではなく、コスプレして自らお祭りに溶け込めば楽しさも数倍です。露天がいたるところに設けられ、豚の丸焼きや、鷹匠や鍛冶屋のデモンストレーション、弓矢を射る体験イベント、仮装行列などが行われます。若者だけではなくファミリーで楽しめるイベントも多々。人も町も中世にタイムスリップする1日になります。

監修:地球の歩き方

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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