108. ブハラ観光モデルコース!シルクロードの面影を色濃く残す古都を堪能する1日プランをご案内

公開日 : 2023年06月09日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

ウズベキスタンを訪れる旅行者はほぼ必ず訪れる、サマルカンドと双璧をなす人気都市ブハラ。他の古都同様世界遺産に登録されており、見ごたえあるイスラム建築が建ち並びます。またこの町は広い範囲に観光地が点在しているサマルカンドと異なり、コンパクトに広がった旧市街の中に見所が凝縮されており、ほぼ徒歩だけで観光を済ませられるのも魅力です。それゆえ、ウズベキスタンで立ち寄った町の中で一番気に入った! という旅行者も多い町なのです。
それではタシケント(55. タシケント観光モデルコース!ウズベキスタンの首都を最大限楽しむ旅行ルートをご紹介)、サマルカンド(87. サマルカンド観光モデルコース!見所いっぱいの世界遺産都市を満喫するおすすめプラン紹介)に続き、この町を満喫するモデルプランをご紹介しましょう!

カラーンミナレットとミルアラブメドレセ
巨大なカラーンミナレットと美しいメドレセという、ブハラを象徴する一枚

冒頭で紹介した通りブハラの観光エリアはそれほど広くなく、丸一日でほぼすべての見所を制覇することができます。このモデルコースも1日で巡ることを想定して組み立ててみました。ブハラはウズベク人・外国人問わず観光客が急増しており、混雑を避けてスムーズに観光できるようなるべく朝早くから街歩きをスタートすることをおすすめします。
まずはブハラ旧市街の中心、ラビハウズからスタート。17世紀に作られたこの池の周囲にはカフェや評判の良いゲストハウスが並んでいます。宿を見つけるときはこのラビハウズ近くで探すとよいでしょう。

ラビハウズ
ラクダのキャラバン隊の像がランドマークのラビハウズ。奥に見えるのはクカリダシュメドレセ

ラビハウズは2つのメドレセ(神学校)に囲まれています。北側にあるのが16世紀に建てられたクカリダシュ・メドレセ。入口にはブハラ名物コウノトリの形をしたはさみの工房があり、お土産におすすめです。そしてラビハウズ西側にあるのが17世紀に建てられたナディール・ディヴァンベギ・メドレセ。このナディール・ディヴァンベギ・メドレセはレギスタン広場のシェルドル・メドレセ同様、イスラム教の偶像崇拝否定に反する、顔が描かれた太陽が入口アーチにあることで有名です。オンシーズンには中庭で時々民族舞踊ナイトショーを開催しているのでチェックしてみましょう。

ナディールディヴァンベギメドレセ 入口アーチ
クジャクと太陽の絵柄が印象的なナディールディヴァンベギメドレセの入口アーチ

ラビハウズ南側や後述するタキ・サラフォンの西側は、観光客があまり入ってこない、地元の人たちが行きかう路地が張り巡らされたエリア。土壁やレンガの家々が建ち並び、時折古いモスクや霊廟も見られる、シルクロードのオアシス都市というイメージそのままの空間が広がっています。陳腐な表現ですが、人通りが少ない早朝や夕方に歩くとまるで中世の世界に迷い込んだかのような錯覚に陥ります。ブハラの旧市街は数百年もの間ほぼ元の形をとどめたままといわれていますが、有名建築だけでなくこのような住宅街も貴重な遺産なのです。現地住民の迷惑にならない程度に、静かに路地歩きを楽しんでみてください。

ブハラの路地とシナゴーグ
実は古代からユダヤ人が住んでいたブハラ。路地の中にユダヤ教寺院シナゴーグが

ガイドブックに載っているようなイスラム建築のほとんどはラビハウズから西側にありますが、ポツンと外れるようにラビハウズ東側に位置しているのが、4本のミナレットという意味のチョル・ミナル。その名の通り建物から4本の塔がニョキっと伸びた、他では見られないユニークな形の建築物なので、忘れずに立ち寄ってみましょう。
このチョル・ミナルの向かいには不定休のアンティークショップがあり、もし開いていれば伝統工芸品やソビエトグッズなどお宝がゲットできるかもしれません。

チョルミノル
チョルミノルの塔の一つにはコウノトリの巣のレプリカが置かれている

ラビハウズの南を通るバハウッディン・ナクシュバンド通りを西側へ歩いていくと、ドームで覆われた交差点が出現します。これがブハラ特有の建築物タキで、小さいバザールであり関所のような役割もあったといわれています。ブハラに3つあるタキの中で一番南にあるこのタキはタキ・サラフォンといい、規模は小さいながらかつては両替屋が集まっていたとのこと。

タキ・サラフォン
タキの中から撮った街並みはなかなか絵になる!

このタキで右に曲がると左手に見えるのが、イスラム勢力の到来時に建てられたモスクで現在は絨毯博物館になっているマゴキ・アッタリ・モスク。そこからハキカット通りを北上すると、タコ焼き器をひっくり返したような見た目の、丸屋根に覆われた大きなタキが2つ現れます。南側のタキ・テルパクフルシャンと北側のタキ・ザルガロンの間には土産物店がたくさん並んでおり、人通りが絶えないにぎやかな歩行者天国になっています。ガイドブックに載っている伝統工芸の工房やカフェもあるので、ショッピングを楽しんでください。

機織りの見学ができる工房
機織りの様子を見学させてくれる工房も

タキ・ザルガロン周辺には、かつてのブハラの繁栄ぶりを現代に伝えてくれるような、さまざまな時代のイスラム建築が集中しています。タキ・ザルガロンを右に曲がると現れるのは、15世紀に建てられたウルグベク・メドレセとその200年以上後に建てられたアブドゥールアジズ・ハン・メドレセ。

アブドゥールアジズハンメドレセとウルグベクメドレセ
左側がアブドゥールアジズハンメドレセ、右がウルグベクメドレセ。奥に見えるのはタキ・ザルガロンとカラーンミナレット

その反対側、タキ・ザルガロン西側には貴重な現役神学校のミル・アラブ・メドレセと、巨大モスクのカラーン・モスクがあります。このカラーン・モスクと繋がっているのが、昔も今もブハラを見守ってきたこの町のシンボルのカラーン・ミナレット。町のどこからでも見ることができるこの塔は12世紀に建てられ、その高さは約46m。シルクロード交易が栄えていたころは、キャラバンたちがこのミナレットを目印にブハラにやって来たはずです。その様子に思いを馳せながら見上げてみましょう。

カラーンミナレットとカラーンモスク
夜になると塔全体が光るようにライトアップされるカラーンミナレット。右のアーチはカラーンモスク入口
カラーンモスク 回廊
無数の柱に支えられたカラーンモスクの美しい回廊は絶好のフォトスポット

朝早くから観光していると、この前後でちょうどお昼時になるはず。ランチにおすすめしたいのが、一風変わったブハラのプロフ、オシュ・ソフィ。とにかく脂ギッシュな米料理プロフですが、このオシュ・ソフィは少しの油で炊いているので油が控えめで淡白な味。イランのピラフにも味が似ています。
私が行ったときに現地の知人にお勧めしてもらったお店が、その名も"The Plov"。観光エリアからは少し遠いですが、この国伝統の布地アトラスで飾られた内装も美しく、行く価値ありです(タキ・ザルガロンからタクシーで約5分、徒歩で20分以上。グーグルマップのリンク:https://goo.gl/maps/Hyco6jrUNruFRiDX7)。

The Plov オシュ・ソフィ
ぜひ他の都市のプロフと食べ比べてみましょう

午後も元気に観光を続けましょう。カラーン・モスクから西側へ歩いていくと、ブハラ市民や国内観光客が憩いに集まる広場へたどり着きます。このレギスタン広場(サマルカンドの有名な広場と同じ名前で紛らわしいですが...)の周辺も見逃せない観光地が並んでいます。
広場前に堂々と立っているのはアルク城。このブハラは16世紀からロシア支配までブハラ・ハン国と呼ばれる王国の都として栄えましたが、その歴代の王の居城こそがこのアルク城だったのです。

アルク城と2000スム紙幣
2000スム札の絵柄にもなっているアルク城

アルク城から道路を挟んだところにあるのは、ブハラ・ハン国の王専用モスクだったボラハウズ・モスク。ウズベキスタンのイスラム建築の伝統様式ながらブハラでは珍しい、木の柱に支えられた高い天井を持つアイヴァン様式で建てられたモスクです。青くライトアップされた美しい内部の装飾も一見の価値あり。
その脇に建つのは、風情ある土色の建築物ばかりのブハラ旧市街の中でなかなかの異彩を放っている、斬新な見た目の塔。ブハラタワーやシューホフ展望タワーと呼ばれており、市街を一望できるてっぺんの展望台へエレベーターで上がっていくことができます。

ブハラタワー
かつて給水塔があった場所に建つブハラタワー

中央アジア最古のイスラム建築として名高いイスマーイール・サーマーニー廟は、そこから歩いて約10分。ブハラが最初に栄え、イスラム文化の中心とまで呼ばれたのは9世紀から始まるサーマーン朝時代の都となったときのことですが、その時代から残っている数少ない建築物がまさにこの霊廟なのです。
余談ですが、ブハラはサマルカンド同様ウズベク人よりタジク人が圧倒的に多い町で(彼らの母語タジク語はペルシャ語とよく似ているので話せる方はぜひ現地の人と話してみてください)、ウズベキスタンの隣国タジキスタンとしてはこの町を領内に取り込みたかったはず。イスマーイール・サーマーニー廟はタジキスタンの紙幣に描かれ、ここに葬られているとされる君主サーマーニーの像もタジキスタンの各都市に建てられており、ブハラをウズベキスタンに取られた無念さが伝わって来るようです。

イスマーイール・サーマーニー廟の近くにあるのが預言者の泉チャシュマ・アイユブ、そしてブハラ市民の台所デフコン・バザール。ここまで見て回ると、ブハラの主要な見所をほぼ制覇したことになります。

夕食の前に、ぜひ行っていただきたいブハラならではのスポットがあります。それがイスラム世界のお風呂ハマム(ハンマム)! ウズベキスタンの他の都市にもあるハマムですが、ここブハラにあるクンジャク・ハマム(Hammomi Kunjak; カラーン・モスク裏の路地にある女性専用風呂)とボゾリ・コルド・ハマム(Hammam Bozori Kord; タキ・テルパクフルシャンとタキ・ザルガロンの間にある男性専用風呂)は、数百年前から存在する由緒あるハマム。いずれもマッサージ込みで30ドルほどとなかなかのお値段ですが、ブハラ・ハン国の王族になった気分で汗を流してみるのはいかがでしょう。空いていれば飛び込みでも入れますが、先に予約を入れておくのが無難です。
また庶民でもハマム文化が浸透しているブハラでは、数百円で入れる公衆ハマムもあります。

入口にはレトロなフォントで「女性用ハマム」と書かれている
入口にはレトロなフォントで「女性用ハマム」と書かれている

夕食におすすめなのが、次の記事で詳しくご紹介するラビハウズ近くの有名レストランのオールド・ブハラ。料理も絶品ぞろいでお酒も各種揃っており、特にハマム上がりでいただくビールは極上です!

もしブハラでもう1日あるなら、ぜひ郊外へも出かけてみてください。おすすめはブハラ・ハン国の最後の王が建てた夏の王宮スィトライ・マヒ・ホサ宮殿。月と星の宮殿の意味が表す通り、建物の外観や内装、庭園に至るまで全てが美しい宮殿です。また大墓地チョルバクルや重要な聖人を祀ったバハウッディン廟はブハラの人々にとっての大切な巡礼地で、熱心に祈る巡礼者たちの姿を目にすることができます。
片道1時間弱かかりますが、陶芸の町ギジュドゥヴァンの陶芸博物館も、半日で行けるエクスカーションとしてぜひ訪れてほしい場所。

池の水面に美しく映るスィトライ・マヒ・ホサ宮殿
池の水面に美しく映るスィトライ・マヒ・ホサ宮殿

旧市街は効率よく観光でき、郊外の見所も豊富なブハラは1泊しかしなくても何泊も滞在しても楽しめる町。ぜひご自分だけのプランを作って堪能してくださいね。

なお私の個人ブログでは、この記事では載せられなかったブハラの観光情報を載せています。旅行計画を立てられている方はこちらもぜひご覧くださいませ!
ブハラ州(ブハラ)・ナヴォイ州(ウチクドゥク/ザラフシャン)情報! - takumiの世界ふらふら街歩き

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

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