142. サマルカンドから日帰りでもう1スタン!タジキスタンのパンジャケント(ペンジケント)へ

公開日 : 2024年04月11日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

去年1年間サマルカンド観光案内所で活動していると実感しましたが、中央アジアへいらっしゃる旅行者の方の最近のトレンドは「複数スタン国周遊」のようです。スタン系にまつわる情報が増えるにつれ、こんなに簡単に国境を越えられたんだ!と気づく方が多くなったのではないでしょうか。国境を越えれば民族も言葉も雰囲気も変わり、普通の観光とはまた違う楽しさや気づきが得られるので、ぜひ時間があればウズベキスタンだけといわず貪欲に2スタン目、3スタン目を目指していただきたいものです。

首都タシケントからは30分でカザフスタン国境へ、そして2時間で大都市シムケントへ行くことができ(57. タシケントから日帰りでもう1スタン!カザフスタンのシムケントへ)、少し時間はかかるもののタジキスタン第2の都市フジャンドに向かうこともできますが(70. タシケントから1泊で行けるタジキスタン!国内第2の都市フジャンド(ホジェンド)へ)、サマルカンドからは1時間でタジキスタン国境へ、そして1時間半で国境に近い町パンジャケント(ペンジケント、パンジケントとも表記)へ移動することができます。2022年より、短期間の滞在であればタジキスタンビザが不要になったこともあり(詳しい査証要件はご自身で要確認)、近年一気に旅行者の往来が増えたこのルートですが、サマルカンドからこんなに手軽にタジキスタンへ行けることをご存じない方も多いようです。今回はサマルカンドから行くタジキスタン国境越え情報、そしてパンジャケントの簡単な観光情報をお伝えしましょう。
なおこの記事掲載の所要時間や料金などは、私が実際訪問した2022年7月現在の情報であることをご了承ください。

パンジャケントのカントリーサイン
パンジャケントのカントリーサイン。タジク語はキリル文字で書かれる

タジキスタン国境に向かいたければ、まず行くべきはサマルカンド市内南東部にあるターミナル、カフタルホナ・ターミナル Kaftarxona terminal。ターミナルといってもバスがずらりと停まっているわけではなく、乗り合いタクシーやダマス(乗り合いバン)の運転手が乗客を呼び込もうとひたすら客引きをしてくる、殺伐とした場所です。ここでタジキスタンやグラニッツァ(ロシア語で「国境」の意味)、タモージニャ(同じくロシア語で「イミグレーション」の意味)、ジャルテパ(国境の地名)などと叫んでくる運転手を見つけ、車に乗り込みます。乗り合いタクシーなら2~3万スム、ダマスならもう少し安いはず。
またこの一連の流れが面倒な場合は、国境までヤンデックスタクシーアプリを使う飛び技も利用できます。

ウズベキスタン・タジキスタン国境
ウズベキスタン側国境

国境についたら自力で越境。タジキスタン側に両替カウンターがありますが、時間帯によっては閉まっています。その場合でも両替商が見つかるはず。私はタジキスタン側の乗り合いタクシー運転手に両替してもらいました。なお私が確認した限り、なぜかサマルカンド市内ではタジキスタン通貨(ソモニ)の両替が一切できないようです。同様にタジキスタン側の町でもウズベキスタン通貨(スム)の入手は難しいと思われます。
SIMカード販売窓口もありますが、これもいつも開いている保証はありません。

無事タジキスタン入国を済ませると、乗り合いタクシーが待ち構えています。パンジャケントまでは20~30ソモニ、所要15分。後述するバザールへ向かうタクシーが多いですが、町を東西に貫く幹線道路のRudaki通り沿いなら任意の場所で降ろしてくれます。帰りのタクシーはバザール前で見つけましょう。
首都のドゥシャンベに直接行く乗り合いタクシーが国境で見つかることもあります。

イスマーイール・サーマーニー像
町の中心にあるイスマーイール・サーマーニー像

パンジャケントは人口5万人ほどの平穏な町ですが、これでもあくまでタジキスタン基準では国内ベスト10に入る大都市になります。ガイドブック『地球の歩き方』にも載っており、世界遺産に登録されている古代パンジャケント遺跡(アンシャント・パンジャケント)が大きく取り上げられています。
この遺跡は町の南部にある、かつて中央アジアの交易を支配していた民族として知られるソグド人の都市遺跡で、あらゆる時代の遺跡が積み重なり「中央アジアのポンペイ」とも呼ばれる貴重な遺跡。しかし今は、サマルカンドのアフラシアブの丘同様、かつて古代都市があったとは言われてみれば分からない荒地となっています。丘の上にあった古代都市の下に新たに街が作られ、それもまた古都として現代まで知られているという構図もサマルカンドと同じ。
ここから見る町とザラフシャン川の景色は一望の価値あり。このザラフシャン川を下るとサマルカンドやブハラにたどり着きます。古来よりシルクロードのオアシス都市を形作ってきた、重要な川なのです。

古代パンジャケント遺跡

私のパンジャケント一番のお気に入りの場所はバザール。バザールなんてウズベキスタンでもさんざん訪問してきたし...という方こそぜひ訪れてほしいのです。ウズベキスタンのバザールはどこも新しく改修され、言葉を選ばずに言えばどの都市のバザールも建物に大した違いがない量産型市場と化していますが、このバザールは建物が古いまま残されているのが一目瞭然。外観、内部、どこを撮っても絵になるバザールなのです。

パンジャケントのバザール 入口
パンジャケントのバザール 内部
パンジャケントのバザール 食堂
朝ビー(朝からビール)できるディープな食堂も発見しました!

町を散歩してみても、ソ連時代に建てられた貴重なものが今でも多く残されていることが分かります。Rudaki通り沿いにはこの見事なタイル画。ソグド人が残した壁画をイメージしているようです。

パンジャケントの集合住宅壁画

そしてウズベキスタンでは残念ながら(?)絶滅してしまった貴重なレーニン像も!しかも堂々と光り輝いているゴールデンレーニン像です。グーグルマップ上でLenin Statueと表記されているので探してみてください。

パンジャケントのレーニン像

なお市内交通は中国製のマルシュルートカ(乗り合いバン)が中心。1番マルシュルートカが東部のバスターミナルから西部へRudaki通りを東西に運行。5番マルシュルートカはバザールからLoik Sherali通りを南に向かい、遺跡の近くへ向かいます。

サロームホステル パンジャケント市内地図
泊まっていた宿の地図にマルシュルートカの経路が書かれていたのでご参考に...

また首都ドゥシャンベに行きたければ、市内東部のバスターミナルへ(グーグルマップでアフトヴァグザール
Автовокзалと表記あり)。ここから乗り合いタクシーで4~5時間ほど走ればドゥシャンベに到着します。私が移動した時は料金100ソモニで、出発まで2時間半も待ったのでなるべく朝早くに行った方が良いでしょう。この移動中は山の国タジキスタンの神髄と呼べるような素晴らしい眺めが楽しめるので、窓側席を死守しましょう。

パンジャケントードゥシャンベ間の車窓
パンジャケント―ドゥシャンベ間の景色。交通の難所アンゾーブ峠を越えていく

パンジャケントからドゥシャンベは、バスで行く方法もあるようです。私が訪れたときは、パンジャケント8時・
14時発との広告がバスターミナルに掛かっていましたが、変わっている可能性もあるので直接バスターミナルに行って尋ねてみましょう。また乗り合いタクシーと比べると、大幅に時間がかかると思われます。

パンジャケント・バスターミナル ドゥシャンベ行きバス広告
広告を見るとサマルカンドーパンジャケント間の国際バスもあるよう。詳細情報が分かり次第追記します

さらに最近欧米人旅行者を中心に人気を博しているのが、パンジャケントから日帰りで行ける7つの湖(英語でセブンレイク、タジク語でハフトクル)。こちらについてはタジキスタン特派員の村中さんがレポート記事を書かれています(ファン山脈の秘境、タジキスタンの「7つの湖」での1日)。サマルカンドから1日で行こうとすればかなり慌ただしくなりそうですが、もしパンジャケントに宿泊するならぜひ検討してみましょう。市内の旅行会社やホテルで、ここへ行くツアーが見つかるはずです。また国境で7つの湖行きタクシーが待ち構えており、1台80ドルで連れて行ってくれたという話も旅行者の方から聞きました。私はあいにくまだ行ったことはありませんが、なるはやで訪れてみたいものです。

サマルカンドで1日時間が空いたら、ぜひとも日帰りで体験してみたいタジキスタン国境越え&パンジャケント観光。さらに時間に余裕があれば、タシケントからサマルカンドに移動するのにフジャンドとパンジャケントを経由、なんてルートも可能です。ウズベキスタン一国にとらわれず、ぜひ自由自在にスタン内を周遊してみてください。
ちなみに私がサマルカンドで出会った日本人旅行者の中には、ウズベキスタンへ2泊4日の日程で来たのに何とカザフスタン国境もタジキスタン国境も越えてしまい、短期間で鮮やかなスタンハットトリックをキメてしまった方もいらっしゃいました...。

なお私の個人ブログでは、さらに詳しい観光・移動情報や、この記事では載せられなかったホテル・レストラン情報などを載せています。旅行計画を立てられている方はこちらもぜひご覧くださいませ!
タジキスタン情報!2022年版【フジャンド/ウズベキスタン国境】 - takumiの世界ふらふら街歩き

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

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