イングランド“南西部のバース”こと「トゥルーロ」で、本場のコーニッシュ・クリームティーを

公開日 : 2023年07月08日
最終更新 :

コーンウォール旗の白い部分がスズを表している(関連記事)ように、イングランド南西部、コーンウォールの“偉大な小都市(Great Little City)”ことトゥルーロ(Truro)もまた“スズの町”として栄えた歴史を持ちます。

現在はチェーン店が連なる繁華街である一方、伝統的な建物とパステルカラーに彩られたモダンな景観の混じり具合が絶妙で、芸術家も集う情緒あふれる町となっています。

名前もかわいらしい「レモン通り」

その昔、ここらで採掘されたスズと銅は近くの川からトゥルーロ港まで運ばれ出荷されましたが、当時の波止場や周辺地域はスズでひと山当て、トゥルーロに移り住んで来たレモン家が作りました。

移住後、今度は銅でも大儲けして2度も市長になるなど、地元の有力者になった同家の名前は波止場や道路にと、いくつかの施設に使用されています(参照:Bernard, D, ‘The Real World of Poldark: Cornwall 1783-1820’ CoSERG, (1988), chapter 2))。

そのうちのひとつ「レモン通り(Lemon Street)」にはジョージアン様式だという建物が整然と並び、看板の説明書きによれば、ハチミツ色のレンガ造りやはり、バース(関連記事)の西部を再現したもののようです。

こだわりの逸品ばかりを揃えた、屋内マーケットレモン・ストリート・マーケットもありますよ!

ステンドグラスが見事な「トゥルーロ大聖堂」

町のどこから見ても、象徴的な3つの尖塔が自然と目に入り、見逃しようのない「トゥルーロ大聖堂(Truro Cathedral)」は、コーンウォールを代表する建築物のひとつで、年間200000人を超える訪問者がいるそうです。

1880年に着工されましたが、資金不足によるいく度もの停止を経て、ようやく竣工されたのは30年後の1910年のこと。外壁がわりときれいだったのは、実際に新しめだったからなんですね。

©Truro Cathedral
©Truro Cathedral

建物自体はゴシック様式ですが、美しいステンドグラスはヴィクトリア調で、コーンウォールどころか国内屈指の、貴重なものだそうです。

コーンウォールの守護神のひとり、聖ピラン(関連記事)や紋章、花などコーンウォールと教会にまつわる各種シンボルが縫いつけられた立派なバナーもありました。

©Truro Cathedral
©Truro Cathedral

カフェ(火〜土)やランチ時の無料オルガン演奏(3月〜10月)もあり、誰にでも広く開放されているので、礼拝中の撮影はしないなど、ルールを守ったうえで休憩するのもよいかもしれません。

◼️
トゥルーロ大聖堂(Truro Cathedral
・住所
Cathedral Offices, Old Cathedral School, Cathedral Close, Truro, TR1 2FQ
・アクセス
電車トゥルーロ駅から徒歩で約15分
・開場時間
月〜土 10:00〜17:00、日曜、祝日 11:30〜16:00
・入場料
無料

伝統的なヴィクトリア式ティー・ルーム「シャーロッツ・ティーハウス」

トゥルーロには、大聖堂だけでなくオシャレで近代的なカフェや飲食店にこと欠きませんが、外観からしてほかとは違うオーラを放つ喫茶店を見つけました。

店内のメニューに紹介されていましたが、外壁に「Coinage Hall」と書かれているとおり、もともとこちらは1302年に建てられた貨幣鋳造場でした。それが1848年に修復され、現在ではイングランドの重要な建造物2級に指定されているそうです。周囲(プリンセス通り)の建物同様、ハチミツ色のレンガはバースより切り出した、石灰石を利用したものかもしれません。

1階にはチェーンのピザ店が入っているのが意外ですが、裏口のような建物脇から入る、2階部分の「シャーロッツ・ティーハウス(Charlotte's Tea House)」はアンティーク店も兼ねており、建物と同じくヴィクトリア様式を謳うティー・ルームです。

予約は受けつけていないのでしばらく待ちましたが、ほどなくしてプライベートな空間が広がる別室に案内されました。町を見下ろせるメインの部屋とともに、店内にはシャンデリアがそちこちに吊るされ、壁を埋めつくすほどの絵画や本棚、かけ時計など、まるでヴィクトリア時代にタイムスリップしたかのよう!

日によっては店員さんの格好も、漫画か映画の世界から抜け出てきたかのような、真っ白なエプロン姿に変身するようです。

メニューの種類が多くて目移りしますが、店内で焼き上げる自家製ケーキのほかに、キッシュもウリだというのでひとつ、サンドイッチや本日のスープ、そしてもちろん、クロテッドクリームの本場では外せない、スコーンと紅茶のセット「クリーム・ティー」などを注文しました。

どれもしっかりとしたボリュームでおいしく、優雅な雰囲気のわりに気どらず、値段も良心的です。同店はできる限り地元産のものを揃えるようにしているそうで、コーンウォールの紅茶メーカー、トレゴスナンのお茶やコーヒー、ジン・トニックもジン、トニックともにコーンウォールの生産業者によるものです。

店名のシャーロットとは、1995年に開業した創業者、シンシアさんの母親に由来しています。14人きょうだいの末っ子で、奉公先で苦労したのち、夫とともに1970年代にトゥルーロに移ってきたというシャーロットさん。こんなにもすてきで地元民からも愛されるお店ができて、よろこんでいるのではないでしょうか。

◼️
シャーロッツ・ティーハウス(Charlotte's Tea House
・住所
Charlotte's Tea House, Coinage Hall, 1 Boscowan Street
Truro, Cornwall, TR1 2QU
・アクセス
大聖堂から徒歩で約5分
・営業時間
月〜土 10:00〜16:00、日曜は4月〜9月間のみ

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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