137. ウズベキスタン国内線フライトガイドウズベキスタン航空など航空会社別に予約方法や運航ルートを解説

公開日 : 2024年02月26日

最終更新 : 2024年02月26日

筆者 : 伊藤卓巳

サローム（こんにちは）！

ウズベキスタン旅行の際の主要な交通手段として挙がるのはまず鉄道ですが、飛行機もお忘れなく。国内線フライトを使いこなせれば、旅程の幅が一気に広がります。また列車はオンシーズン非常に混み合い、お目当ての便がなかなか取れないのが旅行者の悩みの種ですが、フライトなら席が空いていることも。値段もそれほど高くありません。ヒヴァへの玄関口となるウルゲンチや、ヌクス、テルメズといったタシケントから遠く離れた都市へ行くのはもちろんのこと、サマルカンドやブハラといった近距離の都市へ行く際も国内線は利用価値が高いのです。

タシケント空港　滑走路 — ウズベキスタン各地へ向かう国内線航空機ががずらりと並ぶタシケント空港第3ターミナル

かつてウズベキスタンの航空会社といえば、まともに運航しているのが国営かつフラッグキャリアのウズベキスタン航空しかなく、路線や便数も少なく不便でした。が、ここ最近雨後の筍のように一気に新興航空会社が出現。今でも地方都市同士を結ぶ路線はほぼない、運航状況があまり安定しておらずスケジュールが頻繁に変わるなどまだまだ改善の余地はあるこの国の航空業界ですが、以前と比べると外国人観光客でもかなり利用しやすくなりました。
この記事では航空会社別に予約方法や運航ルートを紹介。さらに国内線利用の際気を付けておきたい注意点も述べていきます。

サマルカンド空港　出発案内 — サマルカンド空港の出発案内ディスプレイ。国内航空会社3社のタシケント行きがそろい踏み！

●ウズベキスタン航空　Uzbekistan Airways

独立後すぐ創業した、押しも押されぬウズベキスタン最大の航空会社です。カザフスタン、キルギス、タジキスタンと近隣諸国の国営航空会社が揃いも揃って破産したり運航停止に陥ったりしている中、30年以上安定して運航を続けている実績はお見事。2レターコードはウズベク語表記の"O'zbekiston havo yo'llari"から取った「HY」。

ウズベキスタン航空　機体 — 鮮やかな水色と緑色で塗装された国旗カラーのカラーリングを創業時から頑なに守り続けている

フライト時刻の検索や予約は公式ウェブサイト（https://www.uzairways.com/en）より。日本語サイトもありますが、何と最終更新が2012年という状態なので英語サイトを使いましょう（早急に更新し予約ができるようになるよう願っております...）。
検索画面のPayment methodよりVisa/Mastercard(USD)を選択すると、国外発行のビザカードやマスターカードで支払いが可能です。予約の際注意したいのが運賃タイプで、最安のタイプを選ぶと含まれる手荷物は8kgの機内持ち込み荷物のみ。キャンセルの際も払い戻しはなく、LCCと変わらない扱いのチケットになります。預け荷物がある場合や予定変更の可能性がある場合は、安さにつられてこのタイプを選ばないよう注意しましょう。

また決済の際、カードによっては弾かれてしまうことも。ただウズベキスタン航空の航空券は公式サイト以外のOTA（オンライン旅行予約サイト）でも購入が可能です。この場合も手荷物やキャンセル条件をしっかりと確認しましょう。私は大手OTAのTrip.com（https://jp.trip.com/）を一度利用しましたが、このような条件を分かりやすく表示してくれたのでおすすめ。ただ公式サイト以外で購入すると、欠航や時刻変更などのお知らせが来ない可能性がある、航空会社と連絡を取る必要がある際やり取りに時間がかかってしまうなどのリスクもあるので、利用の際は自己責任で。
旅行中や搭乗直前の購入でもよければ、直接オフィスで買うこともできます。各空港にチケットカウンターがあるほか、タシケントならば地下鉄オイベック駅近くに航空券販売オフィスがあります（下記にオフィス外観写真と地図を記載）。またどの都市にもAVIAKASSA（АВИАКАССА）の文字を掲げた航空券手配代理店が乱立しており、ここでも購入可能。

オンラインチェックイン（ウェブチェックイン）は24時間前より可能です。ただウズベキスタン航空に限らず、どの航空会社でもオンラインチェックインを済ませたとしても結局カウンターで搭乗券発券手続きをしなければならないことが度々あります。座席指定もその際に。ロシア語で窓側席はУ окна（ウ・アクナー）、通路側席はУ коридора（ウ・カリドーラ）。

搭乗の際ぜひ注目してほしいのが、機内安全ビデオ。最近各航空会社でユーモアあふれる機内安全ビデオが流行っていますが、ウズベキスタン航空も凝りに凝ったビデオを流してくれます。ウズベキスタン各地の観光地が登場する時代劇のようなスタイルで、航空安全ビデオランキングなるものがもしあれば上位入り間違いなしの力作です。YouTubeでも見ることができるので、いつでもどこでもウズベキスタン航空気分を味わうことができます（https://www.youtube.com/watch?v=fRXu70OKNXw&t）。

2024年4月以降のスケジュールはこちら。ただウズベキスタン航空に限らずどの航空会社もスケジュールは頻繁に変わるので、予約時に必ずご自身でも確認を。
いずれの路線も航空券の相場は最安運賃タイプで片道2～40ドルですが、予約するタイミングや混み具合によって料金が大きく変わります。一度タシケントからサマルカンドまで飛んだ時は7ドルの航空券を発見し、何かのバグでは...？と思いながら予約しましたが何事もなく利用できました。

●タシケント→サマルカンド
日：7:00発→7:55着
月：13:45発→14:40着
水：14:00発→14:55着

●サマルカンド→タシケント
火・日：2:40発→3:30着
水：15:45発→16:35着

●タシケント→ブハラ
木・日：7:35発→8:45着
月・土：13:30発→14:40着

●ブハラ→タシケント
日：9:40発→10:40着
月・木：11:00発→12:00着
月・土：15:40発→16:40着
火・日：17:00発→18:00着
木・日：21:05発→22:05着

●タシケント→ウルゲンチ
火・金：6:55発→8:25着
月・水・木・日：7:00発→8:30着
火・水・金・日：13:00発→14:30着
月・木：20:25発→21:55着
火・土：22:35発→翌0:05着

●ウルゲンチ→タシケント
水：8:00発→9:20着
月・木：9:20発→12:00着（ブハラ経由）
土：10:40発→12:00着
火・日：15:20発→18:00着（ブハラ経由）
水・金：15:20発→16:40着
火：20:05発→21:25着
水・日：21:00発→22:20着
月・木・金：22:55発→翌00:15着

●ブハラ→ウルゲンチ
土：9:00発→9:50着

●ウルゲンチ→ブハラ
日：8:00発→8:50着
月・木：9:20発→10:00着
火・日：15:20発→16:10着

●タシケント→ヌクス
毎日：7:15発→8:55着
毎日：20:00発→21:40着

●ヌクス→タシケント
毎日：9:45発→11:05着
毎日：22:30発→23:50着

●タシケント→カルシ
木・日：14:30発→15:30着

●カルシ→タシケント
木・日：16:20発→17:20着

●タシケント→テルメズ
月・水・金・日：13:30発→14:50着

●テルメズ→タシケント
月・金・15:50発→17:00着
火：19:55発→21:05着
日：21:50発→23:00着

●タシケント→フェルガナ
日：6:30発→7:20着

●フェルガナ→タシケント
土：21:50発→22:50着

●タシケント→ナマンガン
日：7:25発→8:25着
水：8:05発→9:05着

●ナマンガン→タシケント
土：18:40発→19:30着
水：22:55発→23:45着

ウズベキスタン航空　機内からの眺め — タシケント空港は市街地に近く、離発着の際市内を一望できる

なお国際線に目を移すと、タシケント空港をハブに近隣諸国やアジア、ヨーロッパ諸国などに路線を持っています。日本線は長らくオンシーズンのみの運航でしたが、2023年から待望の通年運航が開始。下記のスケジュールで成田とタシケントを結んでいます。航空券相場は最安運賃タイプで片道500～800ドルほど。

●成田→タシケント
火（8月～10月）・金（通年）：11:00発→16:10着

●成田→タシケント
月（8月～10月）・木（通年）：22:05発→翌09:40着

仁川―タシケント線は便によっては大韓航空のコードシェア便となっており、仁川へ/からの大韓航空日本線と合わせて通しで予約できることも。
なおアライアンスに加盟していないウズベキスタン航空ですが、独自のマイレージプログラム"UzAirPlus"を持っています。ウズベキスタン航空をよく利用する在住邦人の方、また滅多に利用したいけどとりあえずマイルを貯めてみたいマイレージマニアはぜひチェックを。下記私の個人ブログにて詳しく解説しています。
takumiの世界ふらふら街歩き - ウズベキスタン航空マイルプログラム「UzAirPlus」徹底解説！

●シルクアヴィア　Silk Avia

2023年に誕生した新しい航空会社です。2レターコードはアメリカの航空会社と紛らわしい「US」。
路線は現状国内線のみですが、将来カザフスタンなどにも就航する可能性があるとのこと。全て近距離路線のため機材はATR72-600というプロペラ機しかなく、ビジネスクラスもありません。

シルクアヴィア　機体 — 機体に描かれた模様はこの国の伝統布生地「アトラス」の美しい絣模様がモチーフ

運航スケジュール検索は公式サイト（https://www.silk-avia.com/en/、英語サイトあり）にて。運航を始めて約1年になりますが、まだスカイスキャナーなどの航空券検索サイトには対応していません。またカード決済可能なのはUzcardやHUMO CARDといったウズベキスタン国内発行カードのみで、国外発行カードは決済不可。旅行者が購入する際は現地代理店に代行予約を依頼したり、各空港のチケットカウンターなどで直接買ったりする必要があるでしょう。
運賃タイプはODDIY（ウズベク語で「普通」の意味、5kgの機内持ち込み荷物のみ含まれキャンセル時払い戻し不可）、OSON（ウズベク語で「簡単」の意味、5kgの機内持ち込み荷物と10kgの預け荷物が含まれキャンセル時払い戻し不可）、OMAD（ウズベク語で「幸運」の意味、5kgの機内持ち込み荷物と20kgの預け荷物が含まれキャンセル時リファンドあり）の3つに分かれます。オンラインチェックインは搭乗24時間前より可能。

シルクアヴィア　機内 — ATR72-600は小型航空機のためシート配列は2列+2列

シルクアヴィア　機内からの眺め — プロペラ機ならではの低い高度からの眺めを楽しもう

2024年4月以降のスケジュールは下記の通り。毎日運航のブハラ―ウルゲンチ線は利用価値がありますね。ウズベキスタン航空では本数が少ないタシケント―フェルガナ線も毎日運航。就航当初は珍しいサマルカンド―ウルゲンチ間の路線を持っていましたが、路線廃止になってしまいました...。航空券相場は最も安いODDIYタイプで片道2～30ドル。

●タシケント→サマルカンド
毎日：17:50発→18:55着

●サマルカンド→タシケント
毎日：19:35発→20:35着

●タシケント→ナヴォイ
月・水・金：10:50発→12:15着
土・日：12:50発→14:15着

●ナヴォイ→タシケント
月・水・金：12:55発→14:10着
土・日：14:55発→16:10着

●タシケント→ブハラ
月～土：7:30発→9:00着
日：8:00発→9:30着
毎日：18:25発→19:55着

●ブハラ→タシケント
月～土：13:20発→14:40着
日：13:50発→15:10着
毎日：20:35発→21:55着

●タシケント→ウルゲンチ
毎日：18:00発→19:55着

●ウルゲンチ→タシケント
毎日：20:35発→22:25着

●ブハラ→ウルゲンチ
月～土：9:40発→10:55着
日：10:10発→11:25着

●ウルゲンチ→ブハラ
月～土：11:35発→12:40着
日：12:05発→13:10着

●タシケント→カルシ
月～金：7:20発→8:40着
土・日：8:40発→10:00着

●カルシ→タシケント
月～金：9:20発→10:40着
土・日：10:40発→12:00着

●タシケント→テルメズ
日：3:25発→4:55着
月～土：6:30発→8:30着
毎日：19:05発→20:35着

●テルメズ→タシケント
日：5:45発→7:10着
月～土：8:40発→10:05着
毎日：21:15発→22:40着

●タシケント→フェルガナ
月～土：11:20発→12:20着
日：15:40発→16:40着

●フェルガナ→タシケント
月～土：13:00発→14:00着
日：17:20発→18:20着

●タシケント→ナマンガン
月・水・土：14:40発→15:40着

●ナマンガン→タシケント
月・水・土：16:20発→17:20着

●フモエアー　Humo Air

2020年にウズベキスタン航空の子会社として設立後、2023年にスイスの投資会社が買い取り本格的に運航を開始したLCC。フモはウズベキスタンの国章にも描かれている伝説の不死鳥で、航空会社にぴったりの名前といえるでしょう。尾翼にも鳥をイメージしたイラストが描かれています。2レターコードはHJ。

この航空会社もシルクアヴィア同様スカイスキャナーなどの航空券検索サイトには対応しておらず、カード払いができるのはウズベキスタン国内発行カードのみ。公式サイトは https://flyhumo.com/ （英語サイトあり）。
運賃タイプはBasic（5kgの機内持ち込み荷物のみ含まれキャンセル時払い戻し不可）、Standard（7kgの機内持ち込み荷物と23kgの預け荷物が含まれキャンセル時リファンドあり）、Special（10kgの機内持ち込み荷物と30kgの預け荷物が含まれキャンセル時リファンドあり）の3つに分かれます。オンラインチェックインは搭乗24時間前より可能。

2024年4月以降のスケジュールは、やはり2月現在未定。航空券相場は最も安いBasicタイプで片道2～30ドルですが、タシケント―サマルカンド間の路線は2月現在最低運賃が列車より安い15万9000スム（2024年2月現在のレートで約1900円）。もし運航日と時間帯が合えば利用価値大ありの路線でしょう。

他にも国際線の運航が中心ながら国内線も運航しているカノット・シャルク Qanot Sharq（2レターコードはHH、公式サイト：https://qanotsharq.com/）やセントラム・エアー Centrum Air（2レターコードはC6、公式サイト：https://www.centrum-air.com/en）といった新興航空会社もあるので、都市間移動の際はフライトがないかぜひ各航空会社サイトで確認を。サマルカンドを拠点とする航空会社、エアサマルカンド Air Samarkandも近日中に運航を開始するそうです。

最後に私が見聞きした、フライトに関するヒヤリハットなトラブル未遂を。各航空会社や各便の拠点となるタシケント空港ですが、国内線が発着する第3ターミナルは国際線用の第2ターミナルから5kmほど離れており、歩いて行くのは難しい距離。タクシーで行く際は国内線ターミナルに向かうよう運転手にしっかりと伝えましょう（ロシア語で国内線空港はместный аэропорт メースニー・アエラポールト）。ここからウルゲンチへ飛び立つはずだったのが間違えて国際線ターミナルへ行ってしまって間に合わなくなり、ウルゲンチへ車で2時間半ほどで行けるヌクス行きの航空券をすぐさま手配して旅をなんとか続行させた...という話を知り合った方から聞いたことがあります。フライトを乗り逃して焦っているだろうにすぐこんな冷静な判断ができるなんて旅レベルが高すぎる...。
実際の出発時刻が予約時の出発時刻から何の案内もないまま変えられていた、、という話も聞いたので、前日に時刻を再確認しておくのがベターでしょう。また搭乗ゲートにフライト表示が無い、遅延があってもアナウンスが無いといったことは日常茶飯事なので、搭乗ゲート前では常に乗客の動きに目を配り、搭乗ゲートが分からなければすぐ係員や乗客に聞きましょう。