【京都】2024年・龍を訪ねて「建仁寺」へ

公開日 : 2024年01月01日
最終更新 :
筆者 : Akio

新年明けましておめでとうございます。2024は辰年。
龍を訪ねて東山区の建仁寺に行って来ました。
建仁寺は、栄西禅師が建仁2年(1202)に開いた京都最古の禅寺です。
東山山麓や鴨川も近く、祇園の中に建っています。
舞妓さんが行き交う華やかなエリアですが、寺院の中は静けさに満ち 
八百年を超える歴史と禅の世界が広がっています。

京都の寺院は、写真撮影禁止と言う所が多いですが、ここ建仁寺は、写真撮影OKですから嬉しくなります。
まずは、方丈に入ると入り口正面に栄西禅師が説いた「大哉心乎」
(おおいなる哉 心や)の衝立。
「人のこころは、本来自由で大らかである」、という意味との事。

風神雷神の図

続いて見えるのは、国宝・風神雷神の図。 (レプリカ)
建仁寺の名前が全国的に有名な理由の一つに、琳派(りんぱ)を代表する俵屋宗達の「風神雷神図屏風」があります。このレプリカは、(株)キャノンが最新のデジタル撮影と高精度の技術で複製し、
伝統工芸士が金箔を貼り、表装を施したものです。

琳派とは

琳派の始まりは桃山時代の後期まで遡ります。
桃山時代といえば、豊臣秀吉が天下を取り徳川家康に滅ぼされる1603年までの約20年間。
戦乱の世の短命な時代ではありましたが、茶の湯の隆盛、ヨーロッパや朝鮮、明、琉球文化との接触から、
芸術や工芸の世界にも、雄大さと共に大胆でインパクトのある構図が生まれました。
俵屋宗達筆の国宝『風神雷神図屏風』は、建仁寺の寺宝として名高く、
右双には風嚢(かざぶくろ)を持って疾駆する風神。左双には連鼓を背負って地上に稲妻を落とす雷神。
保存のため、実物は京都国立博物館に寄託されています。

続いて方丈を進むと見えるのが、桃山時代の海北友松作筆 襖絵「雲龍図」。
(重要文化財)デジタル複製。

京都の禅宗寺院に行きますと龍の天井絵や襖絵に出会います。
(妙心寺・南禅寺・東福寺・相国寺・大徳寺・天竜寺・など等。)
寺院に描かれた龍は、仏法を守る象徴と言われています。
龍は、金魚が鯉になり、鯉が滝を昇り、さらに空に昇り龍に化身すると言われています。

天に昇った龍は龍神となり、水を司る神となります。
寺社で見られる雲龍絵は、仏法を守る象徴であると共に、渇水対策の雨乞いや
水難防止・火災除け等の祈願とも伝わります。

方丈から書院へと進むと、そこで出会えるのが、現代の染色画家・鳥羽美花氏が手がけた襖絵です。
作品の舞台は、ベトナムの川。
「舟出」を描いたダイナミックな青の世界に吸い込まれそうになります。

こちらは《凪》(なぎ)と命名された墨のモノトーンの絵。
月が山の端に沈む寸前の静けさが描かれていて、凪いだ水面は山の姿と満月を映しています。


型染めとは、型紙を用いて図柄以外の余白部分を切り落とし、その空間を糊で防染して
図柄を染め出す日本古来の技法です。
(こちらの展示期間は、2024年4月中旬頃までとの事です。)

方丈前庭・大雄苑

大雄苑は、横30m、奥行き15mほどの雄大な枯山水庭園です。
砂紋は水を表しているのでしょうか。

こちらは「○△□乃庭」。 
単純な三つの図形は宇宙の根源的な形態を示し、密教の六大思想(地水火風空識)を
地(□)、水(○)、火(△)で表したものといわれます。

龍の天井図へ

方丈から龍の天井図のある法堂へと向かいます。

法堂の天井に描かれた「双龍図」。(小泉淳作 日本画家(1924-2012)  
2002年の創建800年を記念して描かれた畳108畳の大作です。
一体は「阿(あ)」。 一体は「吽(うん)」です。

新春の京都は咲く花も少ない時ですが、冬の建仁寺には、屏風絵.襖絵・庭園・天井画と、
素晴らしい芸術の世界が広がっています。

2024年・本年も宜しくお願い申し上げます。
                               京都特派員 Akio

建仁寺

京都市東山区大和大路通四条下ル四丁目小松町584
拝観時間
10:00-16:00
拝観料
600円 境内拝観自由
アクセス
バス  市バス206,207,特207番「東山安井」から西へ5分
電車  京阪四条駅から徒歩7分

筆者

京都特派員

Akio

京都は平安京の頃から、今に至るまで様々な歴史が残っている町。歴史と季節を訪ねながら京都特派員ブログを、綴って行ければと思います。

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