【大阪・関西万博攻略法】9月に入り混雑度合いが加速、今後の訪問は大行列覚悟で。9月下旬以降は夜の寒さ対策も必要
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今回は、万博会場へのアクセス方法と、入場後の会場の歩き方、パビリオンの選び方とともに、暑さや雨の日対策、スタンプラリーの楽しみ方について詳しくご紹介します。
混雑する万博の象徴として、東ゲート大行列の映像がこれでもかと流されてきましたが、混雑度合いは入場ゲートと時間帯によって異なります。開場後すぐは東西どちらのゲートも混雑しますが、午後になればスムーズに入場できます。
会場の夢州(ゆめしま)へのアクセスが最も簡単なのは、地下鉄中央線を使い東ゲートから入場する方法です。鉄道は輸送力が大きい分、単位時間当たりの入場客が増えてしまいます。客が滞留しないように迂回するルートをとりますので、ゲートに行くまでの距離も長くなります。
西ゲートはバスやタクシーでアクセスします。地下鉄やJRからの乗り換え、バス事前予約の手間、タクシーを使った場合は高コストになるというマイナス面があります。しかし、東ゲートよりも入場客が少ないですし、ゲートまで歩く距離も短く済みます。交通機関乗り換えの手間も、8月から導入された弁天町→夢州のバス便を使えばそれほど不便ではありません。運賃は850円と桜島からのバス(350円)の倍以上しますが、バス待ちの時間は短く、乗客全員が座って会場に向かうことができます。
桜島からタクシーを使えば、ゲート到着までの時間をもっと短縮できます。早い時間帯(8~9時)の桜島発バスは利用客が多いので、バス停で30分近く待つ必要があります。しかしタクシーなら乗車までの待ち時間は少なく、会場到着後の歩行距離もそれほど長くありません。運賃は迎車費用を含め、片道3200~3400円程度ですので、4人で乗車すればバス運賃の倍くらいの料金で利用できる計算になります。
8月上旬は3日間連続で西ゲートから入場しました。入場者数は関係者を除き11~12万人でした。初日は開場前にゲートの行列に並びました。8:45に西ゲートでバスを降り、入場できたのは40分後の9:25。2日目は9:52にバスを降り15分後の10:07に入場。3日目は9:09にバスを降り、入場できたのは9:40でした。タイパ(タイムパフォーマンス)を考えると、9時台の予約枠で10時少し前にゲートに並んで入場するのが正解のようです。
東ゲートに比べれば短い時間で入場できていると思いますが、それでも酷暑のなかでの行列は修行です。初日は大阪市内が最高気温37度の日で、並んでいる小学生のお子さんが熱中症寸前の状態で、ふらふらになっていました。筆者は日傘を持っていたものの、うちわは持っていかなかったので、風もなく蒸し暑い中並び続けるのは苦行でした。
地元在住の方であれば、朝早くから行動し、目的のパビリオンを訪れ、疲れたらその日は帰宅してしまえばいいですが、わざわざ大阪に宿をとって来ているのでしたら、もったいなくてすぐに退場できません。
涼しくなれば行列も苦ではなくなるでしょうが、朝から気温が30度を超えるような日は、9時入場のチケットでも、10時前後の入場を目指し、あえて遅めに行動するのもいいと思います。入場前に体力を大きく削られると、その日1日の行動にも影響します。「1時間損した」と考えるのではなく、「混雑を避けて体力を温存できた」と考えましょう。
混雑状況と、事前予約の件数、どのパビリオンを目指すかによって、1日に回れるパビリオンの数は変わります。人気パビリオンに入ろうと考えると、待ち時間だけで1時間を超える可能性が高いので、訪問できる単独パビリオンは4カ所から6カ所程度かもしれません。実際は食事やイベント見学の時間も必要なため、パビリオン訪問にかけられる時間はもっと少なくなります。
筆者が5月23日に訪問したときは、関係者を除く入場者数が15万近くと、混雑した日にもかかわらず8つの単独パビリオンに入場し、夜のショーも見ることができました。1時間近く行列するパビリオンを避け、行列の短いパビリオンを見つけては次々に入場したからです。
この日は西ゲートから10時過ぎに入場しましたが、会場北部のコネクティングゾーン西側のパビリオンが案外空いていて、待ち時間10~20分程度で入場できました。1時間後には大行列になっていたパビリオンもありましたので、ちょっとのタイミングで待ち時間は大きく変わるものと思います。実際に入場したのは以下のパビリオンです。
スペイン、サウジアラビア、トルコ、アルジェリア、チュニジア、コモンズC,コモンズB、マルタ、チェコ、青と夜の虹のパレード、大阪ヘルスケア(訪問順)
ちなみにこの日の事前予約は全滅、当日予約も絶望的に入らず、すべて予約なしでの入場でした。
8月上旬の訪問初日は、大阪市内で最高気温37度、会場周辺でも最高気温36度という猛暑日でした。実際に訪れて感じたのは、とにかく無理をすべきでないということ。熱中症になってしまったら、その日は観光できないどころか、救急搬送、入院となってしまう危険性もあります。
万博会場は海に面しているので、風が吹き抜けやすく、日陰に入ればひと息つくことができます。しかし、入場ゲート付近の行列は、人が多過ぎて空気の流れも悪く、直射日光を浴びていたら健康な人でも体力を相当削られます。日傘をさし、うちわやハンディファンなどで風を浴びることができるよう、準備しておくことを強くおすすめします。人込みで傘をさすなんて非常識では、と思われるかもしれませんが、みなさんそれなりにスペースを保ちながら日傘を使っていますので、問題ありません。
会場内に入れば、風が吹き抜けるようになりますが、やはり日傘をさして行動することをおすすめします。ファンがついた空調服を着ている人や、UVカットの上着や帽子を装備している方もいましたが、直射日光の熱を防ぐなら日傘利用がベストの選択だと思います。あと、風を送ることができるうちわやハンディファンも必要です。パビリオンの日陰に入っても、風がなければ蒸し暑いままです。
猛暑対策のために持っていってよかったと思ったのは、凍らせたペットボトルで、宿の近くのコンビニエンスストアで入手できました。首筋に当てれば涼をとることができますし、水筒の水がなくなる頃に、冷水器の行列に並ぶことなく冷たい水を補充することもできます。
屋外トイレはエアコンが設置されていないので、コモンズ館で利用しておくことをおすすめします。特に個室を利用するときは蒸し風呂になってしまいます。展示パビリオンにはトイレ自体が設置されていないことが多いので、早め早めにトイレに行くようにしてください。
大屋根リングの下の日陰に入るか、コモンズ館に入りましょう。エアコンが効いている建物はあちこちにありますが、多くの人を収容でき、待ち時間なく入れる手頃な建物はこれらの場所です。
会場内のオブジェの影や木陰など、日が当たらない部分は確かにありますが、回りの地面からの輻射熱があり、体感温度はあまり変わりません。しかしリングの下は地面が温まっていないし、風が抜けやすい構造になっているので、実際にリング下に入ってみると、ほっとするほどの涼しさを感じます。
冷房が効いたパビリオンに入る場合の注意点をひとつ。一眼レフやミラーレスカメラを持っている場合は、バッグの中に入れておくことをおすすめします。パビリオンによっては、東南アジアでよく体験する、20度以下の設定温度と思われる極端に冷えている建物もあります。ちょっと見学しただけでメガネもレンズも曇るほどの寒さでした。レンズ内に結露するとやっかいですので、冷気に直接触れないようバッグに入れましょう。
最適な服装対策は、上下をカバーするレインウェアです。万博会場は海に近いので、風が通り抜けます。いわゆるポンチョと呼ばれる頭からかぶるタイプの雨具では、風にあおられて肝心の防水の役割が果たせないこともあります。
30度を超えるような気温での雨具着用は悩ましいところです。基本は傘を使い、無理せずに着用できそうであれば、レインウェアを身につけましょう。あとは大屋根リングの近くのパビリオンを見学するようにして、雨具を使う時間を短縮するのも手です。6月上旬の土砂降りの日に訪問したこともありましたが、まだ蒸し暑さとは無縁でむしろ寒いくらいの気温でしたので、そのときは上下の雨具を使って大正解でした。傘は使いませんでした。
大屋根リングは雨宿りの場所としても使えますが、風が強いとベンチのあたりもずぶ濡れになり、座れる場所が少なくなります。それでも雨に打たれながら歩くよりはずっとましですので、降雨予想の日は、リングそばのパビリオンを候補に巡ることをおすすめします。
今回の万博では公式のスタンプラリーが開催されており、専用のスタンプ帳も販売されています。ご自身のノートにスタンプを押してもいいのですが、スタンプ帳には版画のように重ね押しして完成するデザインのページがありますし、ゾーン分けしたページ構成になっていますので、来館記録を兼ねた、いい記念グッズになります。
スタンプはシヤチハタ製で、軽く押せばきれいに押印できます。力を込める必要はありません。スタンプは各国パビリオンだけでなく、企業パビリオンや政府・自治体パビリオン、イベント用パビリオンなどにも設置されています。
公式スタンプのほか、ASEAN諸国ではASEAN仕様のスタンプを準備していたり、ショップが独自のスタンプを準備していたりします。スタンプ帳は公式パビリオンのスタンプをぎりぎり押せる程度の枠数ですので、公式以外のスタンプも押しているとスペースがなくなります。公式スタンプ帳を購入していても、非公式スタンプを押すための台紙を準備しておくといいでしょう。
スタンプ台はパビリオンの中に置かれていることがほとんどで、入館して押すのが原則です。しかし予約入館しか受け付けない日本のパビリオンは、入館しなくてもアクセスできる場所にスタンプ台を設置しています。わかりにくい場所にあるパビリオンもありますので、見つけられないときは、当該施設のスタッフに尋ねましょう。
スタンプ集めは達成感が得られるし、各パビリオンのデザインの違いを楽しむこともできます。ついついスタンプ収集に時間を使いたくなりますが、コンプリートするのは非常に困難です。最難関は、すでに見学予約が会期末まで埋まっている「カーボンリサイクルファクトリー」と、大阪以外の「サテライト会場」のスタンプ収集です。サテライト会場は関西パビリオンに入る近県に1ヵ所ずつ設定されていますので、これらを回るだけで3日以上はかかります。
スタンプ集めに時間が取られ、パビリオンに入ることができなくなったら本末転倒ですので、適当なところで見切りをつけるようにしましょう。筆者はこれまでの訪問で178個の公式スタンプを押すことができましたが、コンプリートはさすがに無理とあきらめています。
万博は4月13日に開幕しましたが、開幕時点で公開準備が整っていないパビリオンが複数あったこともニュースになりました。インド館やブルネイ館は5月にオープンしましたが、アンゴラ館は6月下旬、ネパール館は7月下旬にようやくオープンしました。
いったんオープンしたものの、すぐにクローズしてしまったアンゴラ館。建物の右側にレストランとステージが設けられ、2種類の映像展示を見ることができます。30分近く待つ必要がありましたが、ちょうどライブ演奏が行われ、ショーを見るために訪問してもいいと思うほど、リズム感のいいキレッキレのパフォーマンスを楽しめました。
パビリオン完成が最も遅かったネパール館ですが、商売熱心さではネパール館がチャンピオンです。1階スペースは複数の飲食店とショップが入っており、にぎわっています。2階には仏教美術品が展示されていました。東ゲートに近い場所に位置し、キャパが大きいので、入場しやすいパビリオンでした。
万博攻略記事第2弾は、入場ゲートの選び方やアクセス方法、入場後の動き方、パビリオン選びなどの具体的な攻略方法と、なかなか奥の深いスタンプラリーの楽しみ方などについて解説しました。単位時間当たりの到着人数を比較して考えると、やはり西ゲートからの入場が有利です。開幕当初、セキュリティチェックのスタッフが慣れていないという声が聞かれたときもありましたが、それも解消されていると感じました。パビリオンはどこに行くか本当に悩ましいですが、限られた時間で訪問することを考えると、人気館に絞るより、とにかくいろいろな国をのぞくことをおすすめします。きっとどこかでいい出会いがあると思います。次の記事では、パビリオンの事前予約方法、情報収集、万博を楽しむためのさまざまなヒントと注意点についてご紹介します。
TEXT&PHOTO小山田浩明