【大阪・関西万博攻略法】9月に入り混雑度合いが加速、今後の訪問は大行列覚悟で。9月下旬以降は夜の寒さ対策も必要
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万博攻略記事第3弾の今回は、難易度の高いパビリオン事前予約の実際と、ネットや雑誌での情報収集、万博を安心して楽しむための注意点とヒントをご紹介します。
「並ばない万博」実現のために、いくつかのパビリオンは事前予約で優先入場できる仕組みが作られました。予約があれば、指定された時間に行けば優先レーンに案内され、スムーズに入場できます。中には予約客しか入場できないというパビリオンもありますので、予約は必然的な作業となります。
ここで悩ましいのが、予約リクエストしたパビリオンになかなか当選しないという問題です。超人気のガンダム館(GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION)やイタリア館などは予約枠のあるパビリオンですが、応募者が多い分当選確率は下がります。筆者もガンダム館予約に何度もトライしましたが、落選の連続でした。
しかし、だからといって予約をあきらめてはいけません。8月上旬の訪問はまだ2ヵ月前枠が申し込めるタイミングだったので、ガンダム館とNTT館を第一希望に抽選を申し込んだところ、見事に当選しました。
5月23日は7日前抽選も3日前空き枠先着申込も全滅でしたが、8月の予約は7日前抽選でも3日間とも当選し、3日前からの空き枠争奪戦でもふたつのパビリオンに予約を入れることができました。3日目は滞在時間が短かったのですが、お昼の空き時間に当日予約分で予約を入れることができ、3日間で9つのパビリオンの予約を取ることができました。
パビリオン予約は第5希望までエントリーできます。試しにひとつのパビリオンを第5希望まで埋めたこともありましたが、当選しませんでした。8月はすべて違うパビリオンでエントリーし、2ヵ月前で第一希望が当選、1週間前では第一希望から第五希望までばらばらに当選しました。
事前予約があればさぞかし効率よく動けるのでは? と思う方が多いと思いますが、実際に当選してみると、自由度が減ってしまい、むしろ動きにくくなることを実感しました。次の訪問まで2時間近く空いていれば行列パビリオンに並ぶこともできますが、1時間半程度だと、移動の時間も考えると、行列しているパビリオンに並ぶ余裕がありません。贅沢な悩みですが、予約があると行動が制限されることがよくわかりました。
初めての万博訪問で訪問先を組み上げるのは難しい作業です。会場内の移動にどのくらいの時間が必要か、パビリオン見学の待ち時間と所要時間は何分か、どこでご飯を食べて、どのタイミングでイベントを見ればいいのかなど、複雑なパズルに挑戦しなければなりません。
予約必須のパビリオンもあるので、予約が入っているほうが望ましいのですが、予約がなければその分自由に動くことができます。事前予約に落選しても気を落とさず、会場散歩と予期せぬ出合いを楽しんでください。
7月中旬まででしたら、「どうせアクセスしても売り切れている。時間の無駄だからやめたら」とアドバイスしていました。しかし、サーバの増強が行われたのか、以前はログイン画面にたどりつくために1時間以上も待つ必要があったのが、8月上旬時点では10分程度でログインできるまでに改善され、0:00ちょうど開始の予約の際もきちんと予約操作ができるようになりました。
3日前予約は0:00からスタートします。直前のログインでは失敗する可能性もあるので、30分前くらいからログインし、ログアウトされないようにメニュー切り替えを入れながら待つ必要がありますが、0:00ちょうどに予約画面に入れば、思った以上に空き枠が見つけられました。とはいえ、わずか数分で空き枠はどんどんなくなっていきます。選んでいる余裕はないので、複数候補を考えておき、空き枠を見つけ次第予約しましょう。その場で予約が確定します。
この後、この記事の公開前最終チェックを行っていた9月頭にも3日前予約を行いました。待ち時間は30分ほどに延びていましたが、0:00ちょうどにアクセスできていれば、なんとかパビリオン予約を入れることが可能でした。ただし、迷っている時間はありません。直感で選び、入館時刻もすぐに決めないと、予約を取ることはできません。8月上旬に比べ、難易度が増していると感じましたが、それでも30分ほどでログインできるなら、3日前予約にトライする価値はあります。
当日のパビリオン予約は、入場後まもなく可能となります。会場内には当日予約専用の端末もあり、そちらを使うとスマホでトライするよりも取りやすいと言われています。しかし、その予約端末にも行列ができますので、入場後の貴重な時間をそこで費やすかどうかは、個人個人の価値判断になります。
当日予約はまず無理、と書いてきましたが、ゼロだったわけではありません。何百回もアクセスした結果、予約が取れたこともありました。8月の訪問でも、入ってみたいと思っていたパビリオンの予約がちょうど空き時間に入り、時間を有効に使うことができました。
予約が入らない可能性のほうがはるかに高いですが、どうせ行列に並んでいるだけなのであれば、当日予約を試してみる意味はあります。ましてひとりで訪問しているのであれば、暇つぶしにもなります。納得できるまで挑戦してみましょう。
GW前に万博訪問が決まり、それ以降デイリーで万博関連のニュースを追いかけていますが、状況は週単位で変化しています。抽選予約のシステムが変更されたり、並べば入れたパビリオンが予約のみになったり、全体的には改善の方向に進んでいると思いますが、会期末に極端な観客の集中があれば、制限が加えられるなどの後退もあるかもしれません。
ネットの情報であっても、記事の内容はすでに古いものであることは多いですし、各国レストランのメニュー料金も値上がりしています。6月以降に出版された万博ノウハウ本もチェックしていますが、「なるほど、そのとおり」と思ういい情報がある一方で、すでに状況が変わり、お得情報どころか誤情報になっている記事も見受けられます。また雑誌にはモデルプランが掲載されていることが多いですが、予約必須だったり、人気の高い2時間待ちのパビリオンが入っていたりするので、実現できないプランになっています。
大事なことは、過去の記事を鵜呑みにせず、会場で実際に体験し、うまくいかないようであれば、気持ちを切り換えて次の行動に移すことです。思考停止して行列に並ぶよりは、気づいていない魅力があるかもしれない場所を探すことに時間を使ってみてはどうでしょうか。
6月時点のネットや万博特集雑誌では、「夜はパビリオンの行列が短くなるので狙い目」という情報が掲載されています。しかし8月上旬時点では、夜も多くのパビリオンに行列が残り、閉館に間に合うのだろうかと心配になるほどでした。夜は行列が短くなるという情報は過去のものになりつつあります。
また各種イベントも、以前はがらがら状態だったことがありましたが、今はきっちり情報収集してそこを目指してくる観客が多いので、混雑しています。以前は時間帯や場所、イベント内容により集客密度にけっこうな差がありましたが、今は標準化され、全体的に混雑気味です。
8月末までは割安な夏期パス(2日分の入場予約ができるマルチパス)で入場する人も多いので、それで混雑しているかもしれませんが、9月以降は閉幕前の混雑が生まれるものと思いますので、今後は時間帯にかかわらず行列が生じると思います。
5月下旬の時点ですでに発生していましたが、パビリオンによっては、入場制限をかけ入場待ちの行列に並ぶことを断ることもあります。レストランでも同じことがあります。こうなると少し離れた場所で、行列が再開されるのを待つか、違う場所に行くしかありません。
万博会場内は、時間区切りで入場者が増えていくので、お昼に近づくほどに人数が増え、入場制限がかかる可能性も高まります。入場直後に目的のパビリオンを目指したほうがいいとアドバイスする理由はこの点にもあります。並んで入場できればいいのですが、並ぶことすらできなければ、入場のチャンスすら得られません。
万博ではほぼ毎日、ナショナルデーまたはスペシャルデーを設け、参加各国や機関のイベント日としています。当日は、その国や機関のイベントが開催され、国の要人が来日したり、パフォーマンスが披露されたりします。
ナショナルデーはその国のファンにとってはうれしい1日となりますが、パビリオンのスタッフが動員されることで、当該国のパビリオンが休館になることもあります。ナショナルデーに合わせて訪問を考えている場合、パビリオンが営業するかどうか確認しておき、閉館してしまう場合は前後の日にパビリオンに行くなど、訪問チャンスを失わないようご注意ください。
万博の夜間営業時間をもっと長く、という声が出ていましたが、特に海外パビリオンは店じまいが早く、閉館・閉店時間より前から訪問客受け入れをストップすることがあります。日中は混雑して行けなかったから、と夜の訪問を考えている場合、閉館の1時間前の訪問ではすでに入館をストップしていることがあるので、時間に余裕をもって訪れましょう。
パビリオンの少ない西ゲート方面は人の流れが少なく、風の広場マーケットプレイス周辺のレストランは、ほかのエリアに比べ空いている傾向にあります。しかし、7月18日にミャクミャクくじを扱う店舗が西ゲートにオープンし、7月30日には大阪市役所に飾られていた寝そべりミャクミャクが引っ越ししてきたため、今後は人の流れが変わるかもしれません。8月上旬の午後遅くに訪問した際、ミャクミャクくじには行列ができていましたが、飲食店には余裕がありました。
このほか案外空いているのは、海外パビリオン併設のカフェやレストランです。サウジアラビアやイタリア、スイスのように注目を集める行列レストランもありますが、パビリオンは長蛇の列でもカフェやレストラン(以下、カフェと表記)は並ばずに入れるという国があります。スタッフに「カフェを利用したい」と声をかけてみましょう。ただ各国カフェの場合、メニューの数が少なく、想像よりも単価が高いということもあります。たいていは入口にメニューを確認できるバーコードがありますので、そちらでメニュー内容を確かめてから入店すると安心です。おいしい「未知との遭遇」のチャンスです。
雨の予報の日は訪問客が少ないだろうと見越し、あえて天気の悪い日を選んで万博会場を訪れるという方もいるかもしれません。しかし、風が強いと大屋根リングへの入場が規制されますし、イベントや夜のショーも中止になってしまいます(8月10日)。天候悪化が予想される場合は、これらの可能性も念頭に行動を計画しましょう。
会場で荷物を預けられる場所は、ゲート手前のコインロッカーかヤマト運輸のショップです。コインロッカーのほうが手軽だと思う方もいるかもしれませんが、荷物の出し入れが必要になった場合、いったん外に出て再入場する必要がありますし、コインロッカーに近い出入り口が使えず遠回りになるかもしれません。また到着してすぐに購入したみやげものを預けたいというときは、ヤマト運輸のほうが便利です。
会場内の忘れ物や落とし物は、パビリオンやショップ、レストランであっても、最終的には東ゲート近くの「忘れ物センター」に集められます。その日のうちに届けられない可能性もありますが、遺失物の登録を行い、当該の物品が発見されれば、後日連絡をもらうことができます。受け取りのためには、入場して忘れ物センターを訪問する必要があります。送付サービスはありません。
筆者も上着を置き忘れ、退場間際に登録を行いました。隣にはショールを忘れたという方が来ていましたが、運よくすぐに見つかり、落とし主に返されていました。忘れ物は、ブランド名や色、サイズなど、その特徴について細かく登録できます。詳細情報がわかればそれだけ検索精度が上がり、発見に結びつきます。ショールを落とした方は、現物の写真をもっていたので、スタッフが保管スペースにあったショールをすぐに見つけることができたということでした。
筆者は2週間後にも再訪して届いていないか確認しました。残念ながら見つかりませんでしたが、係の方が、ていねいに親切に対応してくださったおかげであきらめがつきました。落とし物が届いていれば、再会の可能性は高いと思います。忘れ物に気づいたら、忘れ物センターを訪れて相談しましょう。
会場にはベビーカーや車椅子を押してパビリオン巡りを楽しんでいる方も多いですが、移動の際はくれぐれも周囲に注意しながら行動してください。
ゲートからいよいよ入場というタイミングで、よそ見しながら歩いていた後ろの方から、ちょうどアキレス腱のあたりに車椅子をぶつけられ、その場で座り込むほどの激痛に襲われたことがあります。救護所が近かったのでそこで休ませてもらい、なんとかその日1日行動できるくらいまで回復しましたが、入場直後の貴重な時間を浪費することになり、もやもやした気持ちが残りました。
ぶつけた方に悪気はなく、先方も高齢の家族を連れていたので、強くとがめはしませんでしたが、場合によっては傷害トラブルになり、お互いに足止めをくらうことになる可能性もあります。スマホを見ながらの歩行も危険です。自分のためにも人のためにも、注意しながら移動してください。
各国パビリオンのテイクアウト弁当や、フードコート的な作りの飲食店を利用する場合、カトラリーが木製のことがあります。すくって食べる分には問題ありませんが、木製フォークはあまり役に立ちません。とあるお店では、もともと金属製のカトラリーがあるものの、客が多すぎて洗浄が追いつかず、木製カトラリーしか提供されていませんでした。そこはナイフとフォークがないと食べづらい料理だったため、ストレスを感じました。特にお子さんがいるようなときは、使い慣れた食器を持参しておいたほうがいいかもしれません。
万博閉幕までいよいよラストスパートの時期となりました。万博は時間をとって見て回れば、満足感を得られるイベントです。パビリオンの予約はなかなか希望通りにはいかないと思いますが、ぜひ会場を巡り、発見と出合い、世界の人々とのコミュニケーションを楽しんできてください。
TEXT&PHOTO小山田浩明