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ゴールが間近に見えてきた万博ですが、会期末の混雑ぶりは想像以上のものになっています。チケットの予約も入らず、万博会場訪問はもう無理だと感じる、リピーターのみなさんも多いことと思います。でも近県にはスタンプが設置されたサテライト会場があります。筆者はスタンプラリーのコンプリートは早々に断念しましたが、スタンプ帳の関西パビリオン右側スペースの空きを埋めたくなり、サテライト会場をコンプリートすることにしました。公共交通期間を使い、どう回ったかをご紹介します。
まずはひと筆書きで回るルートを考えました。しかし、三重県の「赤目自然歴史博物館」は奈良県からアクセスしたほうが便利だとわかり、滋賀県の「滋賀県立琵琶湖博物館」を起点とし、できるだけ短時間で巡るルート取りを考えました。
その結果、1日目は滋賀→京都→奈良→三重→和歌山と巡り、2日目に和歌山→徳島→兵庫、3日目に兵庫→鳥取と巡れば、公共交通機関を使い、無理なく回れるルートだという結論にいたりました。
この時点では、福井の「福井県立恐竜博物館」は日をあらためて訪問しようと思っていました。ちょうど9月末で失効してしまう、羽田~小松の往復フライトを予約可能なマイレージがあったためです。3日目は15時過ぎには鳥取を出られるスケジュールでしたが、あえて出雲まで行き、「サンライズ出雲」で出雲市→東京を全線走破する計画にしました。
手配を進めていった結果、最も予約が難しいと思われたサンライズ出雲は、運よく個室B寝台シングルのネット予約に成功。人気の寝台列車で旅を締めくくることになりました。サンライズ出雲の予約が完了した時点で、予約できる交通機関と宿はすべて押さえました。
ここで、ふと「もしかしたら福井も行けるんじゃない?」という考えが浮かびました。サンライズ出雲が東京に到着するのは7:08。7:20東京発の北陸新幹線に乗れば、福井には10時過ぎには到着し、恐竜博物館でたっぷり3時間過ごしても、東京に19時過ぎに戻ってくることができます。さっそく具体的にプランニングしたところ、乗車予定の新幹線の座席も予約できたため、サンライズ出雲から北陸新幹線に乗り継いで、福井まで行くことにしました。
前日のうちに移動していた草津駅近くの宿を9:00過ぎに出て、最初のサテライト会場「滋賀県立琵琶湖博物館」に向かいました。折り返しのバス乗車まで30分近くありましたので、博物館に入場し駆け足で見学してきました。琵琶湖の成り立ちや太古の動物たちなど、展示内容は非常に充実しています。再訪問してゆっくり回りたいと思う施設でした。
2番目の訪問先は京都駅です。近鉄への乗り換えの際に、スタンプが置かれた改札外の観光案内所を訪れました。西口改札を出て右側に進む2階の南北通路上にあります。大丸を見て右折したすぐ左手にありますので、階段の手前で右側に続く通路に進みましょう。
3番目の訪問先は奈良県の「平城宮跡歴史公園 天平うまし館」。最寄りの鉄道駅からはバスを使う必要があります。健脚であれば、北側の平城宮跡・遺構展示館で下車して、平城宮を見学しながら天平うまし館を訪れてもいいでしょう。この場合の所要時間は30~40分です。スタンプは売店のレジ前に置かれています。
4番目は山奥にある三重県の「赤目自然歴史博物館」。地図で見ると、訪問の難易度が高い場所のように見えますが、「天平うまし館」の最寄り駅「大和西大寺」の駅から1時間30分ほどでアクセスできます。夕方の時間帯の訪問となるので、予定の時間に遅れることがないように気を使いました。最寄りの鉄道駅「赤目口」からバスが出発した直後に到着しましたが、駅前にタクシーがいたので、時間短縮のために往路はタクシーを使いました。料金は2090円でした。
次の目的地の和歌山へは、鶴橋、天王寺で乗り換えます。天王寺から和歌山までは通勤快速が走っています。夕刻の移動でしたが運よく座ることもでき、和歌山までたどり着きました。天王寺~和歌山間はJR特急「くろしお」を使うと、1時間未満の所要時間でアクセスできます。
2日目はJR和歌山駅から2kmほどの位置にある「わかやま歴史館 和歌山市観光土産品センター」を訪れました。この日2番目の目的地は徳島です。ちょうど10:35に和歌山港を出る徳島行きのフェリーがあるので、駆け足で訪問し、和歌山港まで移動しました。
船の旅は約2時間。淡路島を進行方向右手に見ながらのクルージングです。徳島のサテライト会場は「JR徳島駅」、急ぎスタンプだけを押したら、次の目的地、兵庫県まで高速バスで移動します。
2日目の3カ所目の目的地は、三ノ宮から所要約20分でアクセスできる「兵庫県立美術館ギャラリー棟」です。屋外展示もある美術館で、夕方1時間の訪問では時間が足りませんでした。ここも再訪したい場所です。
無理をすればこの日のうちに鳥取に移動できましたが、サンライズ出雲を予約し、鳥取での時間に余裕ができたので、神戸で1泊してから移動することにしました。この日は船旅とバス旅が体験でき、移動そのものも楽しめました。
3日目のサテライト会場訪問はただ1カ所。鳥取砂丘の「山陰海岸国立公園 鳥取砂丘ビジターセンター」です。8:50三ノ宮発のバスを使い、鳥取駅前には定刻より少し遅れ、11:44に到着しました。この日は十分に時間があるので、お昼も地元料理を楽しむことに。砂丘の訪問タイムも2時間近くとり、鳥取旅を満喫して島根に向かいました。
サンライズ出雲が通過する鳥取寄りの駅は米子です。当初は米子からサンライズ出雲に乗車することも考えましたが、スケジュールを練ってみると、始発駅の出雲市まで行っても時間に余裕があることがわかったため、あえて出雲市まで足を延ばし、始発駅から乗車することにしました。
出雲市へは特急列車を使い17:12の到着。サンライズ出雲の出発時刻は18:57ですので、十分な待ち時間があります。夕食を食べながら待ち時間を過ごそうと考えていましたが、駅前で飲食店を物色していたところ、駅からすぐの場所に温泉施設があることを発見。サンライズ出雲では早めにシャワーチケットを入手できれば、シャワーを使うこともできますが、せっかくなので、温泉にゆっくりとつかり、車内には弁当を持ち込むことにしました。
この日は万博関連の訪問先は1カ所だけでしたが、旅としては最も充実した1日になりました。
サンライズ出雲の東京駅到着時刻は7:08。乗り継ぎ時間が12分しかなかったので心配していましたが、無事に乗り換え成功。福井への到着は10:11。JR福井駅から博物館に直行できる観光バス「WOW RIDE いこっさ!福井号」を利用しました。
「福井県立恐竜博物館」は以前から興味をもっていましたが、なかなか訪問チャンスがなかった場所です。サテライト会場巡りは、スタンプラリーの完成がおもな目的でしたので、駆け足で訪問していましたが、じっくり3時間の見学できるようにスケジュールを組んで訪れました。
恐竜博物館の展示は、圧巻でした。恐竜のみならず、地球が現在の姿になるまでの歴史も知ることができ、地質学ファンにもおすすめの場所です。たっぷり訪問時間をとったつもりでしたが、とても足りませんでした。何日もかけて、テーマごとにじっくりと見学したいと思いました。見学動線の作り方や、異なるアングルから骨格標本を見ることができる展示方法など、非常に勉強になりました。
福井からの新幹線は、ずっと気になりながら乗車のチャンスがなかったグランクラス(軽食付き)を予約しました。シートの造りや座り心地、軽食などのサービスすべてがすばらしく、疲れた身体を十分に休ませて、リフレッシュすることができました。
万博会場訪問のスケジュールからつないだため、滋賀と和歌山、三ノ宮に宿をとりましたが、大阪周辺に住んでいれば、いずれも自宅から日帰りで訪問できると思います。1日目のルートは、電車とバスを乗り継ぐ訪問先が多いので、車で回ったほうが効率的かもしれません。念のために大阪在住の友人の最寄り駅の発着で、上記プランが実行できるかどうかも調べましたが、十分に実現可能でした。
1日目と2日目は土・日曜に移動しています。具体的なタイムテーブルを示すと、その便に極端な乗客の集中が起きるかもしれませんので、あえて時間帯でスケジュールを示しておきます。バス便は1時間に数本~2本という程度ですので、バス時刻から逆算すれば、スケジュール作りは案外楽にできると思います。
滋賀県立琵琶湖博物館:JR草津駅西口からバスで博物館へ。10:00前に到着し、11:00までにJR草津駅に戻る
JR京都駅:11:00台前半の電車で京都駅に移動。改札外のインフォメーションを訪れスタンプを押印。12:00前の電車で次の目的地へ
平城宮跡歴史公園 天平うまし館:京都から大和西大寺まで電車で移動。大和西大寺駅から朱雀門ひろば前までバスで移動。現地滞在は30分ほど。13:00台に往復する
赤目自然歴史博物館:大和西大寺から大和八木で乗り換えて、赤目口まで移動。赤目口駅前からバスで赤目滝へ。赤目口までは14時台の移動。赤目口から赤目滝に往復しJR赤目までは15:00から16:00にかけて移動。
次の目的地の和歌山までは、17:00過ぎに赤目口から出発し、鶴橋、天王寺で乗り換え、特急列車を使う。接続がよければ19:00台に和歌山着
10:00台 JR草津駅←→(近江鉄道バス)←→琵琶湖博物館下車「滋賀県立琵琶湖博物館」
11:00台 JR草津駅→(JR琵琶湖線)→JR京都駅「JR京都駅」
12:00台 JR京都駅→(近鉄京都線)→大和西大寺
13:00台 大和西大寺駅←→(奈良交通バス) ←→朱雀門ひろば前下車「平城宮跡歴史公園 天平うまし館」
14:00台 大和西大寺→(近鉄橿原線)→大和八木→(近鉄大阪線)→赤目口
15:00台 赤目口駅前→(三重交通バス)→赤目滝下車「赤目自然歴史博物館」
16:00台 赤目滝→(三重交通バス)→赤目口駅前
17:00台 赤目口→(近鉄大阪線)→鶴橋
18:00台 鶴橋→(JR大阪環状線外回り)→天王寺→(JR)→
19:00台 →JR和歌山着
わかやま歴史館 和歌山市観光土産品センター:和歌山駅から9:00前後のバスで最寄り駅の「市役所前」で下車。次の目的地徳島に向かうために、わかやま歴史館から徒歩数分のバス停「城北橋」からバスに乗り和歌山市駅へ移動、さらに南海電鉄の和歌山港で下車。
JR徳島駅:フェリーチケットはネットで事前に購入しておく。和歌山港発10:35、徳島港着12:50フェリーに乗船。徳島港のバス乗り場、南海フェリー前から13:15発のバスでJR徳島駅まで移動。
兵庫県立美術館ギャラリー棟:徳島駅発14:00のバスで三ノ宮に移動。15:48三ノ宮着。16:00台の電車で美術館最寄りの岩屋駅まで移動。所要約20分(電車4分+徒歩10分弱)。
9:00台 JR和歌山駅西口→(和歌山バス)→市役所前下車「わかやま歴史館 和歌山市観光土産品センター」
10:00台 城北橋→(和歌山バス)→和歌山市→(南海和歌山港線)→和歌山港駅→和歌山港
10:35 和歌山港発(南海フェリー)
12:50 徳島港着
13:00台 南海フェリー前→(徳島市営バス)→徳島駅前「JR徳島駅」
14:00 徳島駅前発(西日本JRバス)
15:48 三ノ宮駅前着
16:00台 神戸三ノ宮→(阪神本線)→岩屋下車「兵庫県立美術館ギャラリー棟」
関西地区在住であれば大阪起点で鳥取、福井ともに無理なく日帰りできますが、両方を1日で訪れるのはさすがに無理です。大阪発着の旅程を示します。
山陰海岸国立公園 鳥取砂丘ビジターセンター:鳥取へはJRの特急「スーパーはくと」を使えば、乗り換えすることなく、大阪から約2時間40分でアクセスできます。鳥取駅からは、日本交通か日の丸自動車のバスで「砂丘会館」まで行きます。所要時間は22分です。スタンプを押すことだけを目的にすれば、7:00台に大阪駅を出て12:30までに鳥取駅に戻ることができますが、それ以降の鉄道での接続はあまりよくありません。スタンプだけが目的であれば、鉄道よりも安く移動でき、便数も多いバスを使うことをおすすめします。
福井県立恐竜博物館:大阪から敦賀を特急サンダーバードで、敦賀から福井まで新幹線を使うのが効率的です。2時間かからずにアクセスできます。福井からはえちぜん鉄道の終着駅「勝山」でバスに乗り換えるか、福井駅から博物館まで直行できる「WOW RIDE福井 恐竜博物館」のバスを使います。福井から恐竜博物館までの所要時間は1時間近くかかりますので、大阪からの往復だけで7時間の所要時間をみておきましょう。
バスの移動は、路線によっては時刻表どおりにいかず、予定より到着が遅れることもありました。10分未満の乗り継ぎで計画すると、次の交通機関に乗り遅れるかもしれません。乗り継ぎ時間はタイムテーブル上で20~30分の余裕をみておくことをおすすめします。
徳島駅のスタンプでは、絵柄の真ん中が抜けてしまうという不具合がありました。何度押しても同じ状態だったため、ふたつあるスタンプのもうひとつも押しましたが、クリアな印影を得ることができず残念な思いをしました。
万博会場ではスタンプの不具合を感じることはありませんでしたが、念のために別の用紙に空押しして確かめてから、スタンプ帳に押したほうが安心です。またスタンプ設置場所には、押印用のマットが敷かれていますので、その上でスタンプを押すことをおすすめします。
ほとんどの鉄道路線とバスでICOCAやSUICAが利用できましたが、いくつかのバスルートは、ICカードに対応せず、QRコード払いや現金支払いが必要でした。サテライト会場巡りの旅を通して現金が必要となるシーンはごくわずかですが、千円札や小銭を準備しておくと安心です。
福井の恐竜博物館訪問を1日目にして、2日目に滋賀、京都、奈良、三重を訪問、3日目に和歌山、徳島、兵庫を訪れ、最終日に鳥取を訪問して飛行機で戻ると効率よく動けます。このときは、3日目が兵庫県立美術館の休館日である月曜日にかからないようにすることと、4日目が恐竜博物館の休館日の水曜日にからないようにする必要があります。
今回のルートではバス便は30分に1本は走っていましたが、鉄道からの乗り継ぎが悪く、30分近い待ち時間が生じる場面もありました。バスと鉄道だけでも乗り継ぎ可能ですが、交通トラブルが生じた場合、玉突き状態でスケジュールが狂ってしまう危険性もあります。乗り継ぎが悪いときはタクシーも積極的に使って、時間短縮しておくと安心です。
万博会場でも経験されているかと思いますが、自分にとってはノーアイディアな土地でも、何かきっかけがあって訪れることで、これまで出合うことのなかった魅力を発見できるかもしれません。東京在住の私にとっては、サテライト会場は、訪問を考えたことがなかった見どころが多く、周遊計画を作るのも、実際に訪れるのも想像以上に楽しい体験でした。
万博会場には3日間通い、続けてサテライト会場巡りの旅に出ましたので、2回分の旅を経験した充実感が残りました。どのサテライト会場を訪れても、公式スタンプ帳を持参した人が必ずいて、スタンプラリーの人気ぶりがうかがえました。当初は公式スタンプ帳を埋めるのが目的の旅でしたが、万博プラスアルファの旅は期待以上の体験でした。いくつかのスポットは時間を十分にとって再訪しようと思っています。みなさまにも訪問をおすすめします。
TEXT&PHOTO小山田浩明