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代表取締役 百田 顕児
早稲田大学法学部卒業後、株式会社三菱総合研究所にてODA事業に従事。2004年にアイ・シー・ネットへ入社。2014年に同社コンサルティング事業本部ODA事業部部長、2018年に副社長へ就任。2019年から現職。2020年12月より学研ホールディングス取締役を兼務。
町並み、人の雰囲気や文化、自然環境や素朴な食文化など、旧ソ連の名残、中央アジアらしさが混在する、それでいて日本人にとってどこか郷愁や懐かしさ、居心地の良さを感じる不思議な国です。大変親日的でもあり、移動は大変ですがとても魅力的で一度は訪れる価値のある国です。
私は親会社、学研ホールディングスの海外担当役員を兼務していますが、学研ではキルギスで2021年から学研教室を展開しています。その縁もあり、25年10月に日本キルギス経済協力協会のミッションに同行することになりました。
日本からは直行便が無く、まずはトルコのイスタンブールまで約13時間、飛行機を乗り継いで約4.5時間と、かなりの長旅となり気軽にいくにはなかなかハードルが高い国です。しかし、首都ビシケクを訪れてみると、地理的に離れた国にも関わらず人の雰囲気や風土など日本との親和性がとても高く、かつ落ち着いた佇まいで大変居心地の良いところでした。この空気感は行かないと実感できず、文字で表現できないもどかしさがありますが、来てみてイメージがガラっと変わりました。ちなみに、以前はキルギスタンとよばれ「~スタン」の国々として呼称されることが多かったこの国、今は“スタン”がなくなり、キルギス共和国に改名しています。
筆者が首都ビシケクを訪れたのは10月。朝は5度くらいと冷え込みますが、日中はまだ過ごしやすく、快適な気候です。人口700万、GDPも小規模で、どうしても日本の方にとっては馴染みがない国ですが、順調に発展しており、ある意味で今が一番快適な都市環境にあるかもしれません。
レクサスやBMWなどの高級車も多く、町並みは旧ソ連の威厳を残す建物が並び、どことなく欧州の雰囲気というか、余裕を感じます。それでいて人の雰囲気や他者への振る舞い、話しぶりや交通マナーなど全体的に日本人と共通性が多く、調和型の社会とでもいうのか、ソフトで優しい雰囲気が全体に感じられます。
宗教はイスラム教が多数派ですが、宗教色を感じる機会は少なく、国の根幹となる価値観も、宗教といった明確な軸よりも、社会的な調和に置かれているような印象があります。また大変に親日的で、日本人にとっては快適に感じる点が多いです。市街地を外れると豊かな自然に囲まれており、本来のキルギスの魅力がさらに感じられるでしょう。
ただひとつ、現地で不思議だったことが建物や階段の作りです。
この写真でおわかりでしょうか、あちこちの階段で、段ごとに微妙に高さが異なるのです。気づかずに何度も足を外しそうになりましたが、地元の人に聞いても意図的なものではないということらしく、設計を間違ったけど面倒でそのまま作ったんじゃないかと笑っていました。結構危ないと思うんですけどね・・・
この炊き込みご飯みたいなものは「プロフ」とよばれる現地のソウルフードです。中央アジア全般で食べることができるそうですが、イメージとしてはビリヤニ、パエリヤに近く、味付けは奇をてらわずシンプルにお米やお肉の味を感じるもので、とても気に入りました。ただ油をしっかり使っているので、食べ過ぎると大変なことになります。
もう一方は「ポルソック」という揚げパンのようなもので、おやつやお茶うけとして供されます。こちらも揚げものなのでついついつまんでしまいますが、気が付くと結構おなかに来ます。キルギスは内陸ということもあり、食の色彩は華やかというわけではありませんが、素朴な良さがあります。なお町には各国のレストランも多く、ショッピングモールには地場のピザチェーンやKFCなど、食環境もそれなりに充実しています。
風土や人、自然など実は日本人にとって魅力が多い国、キルギス。治安も安定しているので、中央アジア周遊やトルコ旅行と合わせるなどして、一度足を運ぶことをおすすめします!