特集「今、こんな旅がしてみたい!」
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アラビア湾に面した7つの首長国からなるアラブ首長国連邦(UAE)。世界有数の観光地といえばドバイですが、ここ数年首都であるアブダビが注目を集めています。日本からの直行便がありアクセスしやすいアブダビは、高層ビル群が建ち並ぶ近代的な景観とアラブの伝統文化や豊かな自然が共存する場所。そんなアブダビのなかでも、特に訪れたいのがサディヤット島。中心地から車で15~20分のところにあり、美しいビーチやゴルフ場、高級ホテルなどが続々と建つリゾートアイランドなのですが、美術館や博物館といった施設が集まる「サディヤット文化地区」が誕生し新たな魅力が加わりました。
サディヤット文化地区は、アラブ首長国連邦はもちろん、各地のアートや歴史を紹介する文化施設が一堂に会する世界でも類を見ないエリア。「互いを尊重しながら共に生きる」というUAEの価値観のもと、国や文化の違いを超えて人々が集まり、アートや知識をとおして交流することができる場所なんです。
2017年に開館したルーヴル美術館の別館である「ルーヴル・アブダビ」をはじめ、2025年4月には没入型アートを体験できる「チームラボ・フェノメナ・アブダビ」が、11月には「アブダビ自然史博物館」、12月には「ザイード国立博物館」が怒涛の開館ラッシュ。さらに2026年には世界で4館目の「グッゲンハイム美術館」の開館が予定されています。
巡るだけで知的好奇心を刺激してくれる5つの施設をご紹介!
「ルーヴル・アブダビ」はアラブ世界発のユニバーサルミュージアムで、2017年のオープン以来、500万人以上の来館者を迎えたアブダビを代表する美術館。約9200平方メートルの展示スペースには、人間の創造性をテーマにさまざまな作品が地域や時代を超えて並べてあり、文化や文明のつながりや共通点を感じることができる展示になっています。
名作の鑑賞はもちろんですが、美しい海に浮かぶように造られた建物自体も見もの。設計は光の魔術師とも呼ばれるフランスを代表する建築家ジャン・ヌーヴェルによるものです。小さな箱がいくつも連なったような形は、伝統的なアラビアの建築様式からインスピレーションを得たそう。なかでも目を引くのは美術館の上に置かれた超巨大ドーム。さまざまな大きさと角度で8層に配置された7850個の星が網目のように重なっていて、太陽が上部を通過すると木漏れ日のような光の雨が降り注ぐ仕掛けになっています。
ルーヴル・アブダビの詳細情報
日本でも大人気の国際的アート集団チームラボが、2025年4月サディヤット文化地区にオープンしたのが「チームラボ・フェノメナ・アブダビ」。総床面積17000平方メートルと世界中にあるチームラボの施設のなかでも最大級の広さを誇り、動きや音などに反応して作品が展示されるインタラクティブエリアと、浅いプールを歩きながら光、音、水が融合した作品に触れるエリアに分かれています。
施設のコンセプトは「環境現象」。特異な環境下で生み出される現象によって作品群がつくられ、その作品に来場者が入り込むことでアートが完成されます。チームラボの作品のおもしろさは二度と同じ景色に出合えないところでしょう。唯一無二の作品を堪能したら、館内の和カフェ「Anko」で和菓子やパンをいただきながらひと休みしてみてください。
チームラボ・フェノメナ・アブダビの詳細情報
2025年11月にオープンした「アブダビ自然史博物館」は、アラビア半島の豊かな自然遺産を中心に、宇宙の誕生から138億年の自然史を臨場感あふれる展示をとおして学ぶことができる博物館。ティラノサウルス・レックス(T-Rex)のほぼ完全な化石標本「スタン」や、25mのシロナガスクジラの壮大な標本、そして太陽系誕生以前に形成された約70億年前の微粒子が含まれる「マーチソン隕石」など……その貴重な展示品の数々に圧倒されること間違いなしです。
アブダビ自然史博物館の詳細情報
「ザイード国立博物館」は、2025年12月3日に開館したばかりの博物館です。アラブ首長国連邦(UAE)建国の父である故シェイク・ザイード・ビン・スルタン・アル・ナヒヤーンにちなんだ名前からわかるように、国の歴史や文化、そして社会や経済がどのように発展してきたのかを、わかりやすく紹介しています。館内では、古代から現代にいたるまで、UAEや周辺地域の多彩な文化や芸術、歴史的遺産に一度に触れることができます。
ザイード国立博物館の詳細情報
世界で4館目の「グッゲンハイム・アブダビ」は、グッゲンハイム財団最大の美術館になる予定で、2026年中の開館を目指しています。世界各地の文化をつなぎ、アートをとおして新しい視点やインスピレーションを与えることを目的として、ジャン=ミシェル・バスキアやアンディ・ウォーホルといった1960年代以降の西洋美術史の巨匠から、西アジア、北アフリカ、南アジアを中心に、まだ知られざる現代アーティストの作品まで幅広く展示される予定です。
グッゲンハイム・アブダビの詳細情報
サディヤット文化地区には紹介した5施設のほか、2026年に初開催されるアートフェア「フリーズ・アブダビ」の会場にもなる「マナラート・アル・サディヤット(Manarat Al Saadiyat)」や、世界的に著名な音楽大学「バークリー音楽大学(Berklee Abu Dhabi)」のアブダビ校、そしてイスラム教、ユダヤ教、キリスト教という3つの宗教の礼拝堂を集めた「アブラハム・ファミリー・ハウス(Abrahamic Family House)」といった施設もあります。世界の文化ハブとして、今後ますます注目必至のアブダビ・サディヤット島にぜひ足を運んでみてください。
空港やサディヤット島からも近いヤス島はテーマパークの宝庫。世界初の屋内遊園地「フェラーリ・ワールド」や「ワーナーブラザースワールド™ アブダビ」に加え、ウォーターパークや水族館まであるんです。「W」や「ヒルトン」といった世界ブランドのホテルも多く、アブダビ最大のショッピングモール「ヤスモール」まで揃っているので、1日じゃとても遊び尽くせない場所。そんなヤス島に、なんと世界で7番目、中東初のディズニーテーマパークの建設が発表されています。開園時期はまだ未定ですが、世界屈指のテーマパークの聖地になりそうです。
推薦者:日隈理絵(地球の歩き方編集室)