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街の壁をキャンバスに、鮮やかなアートを描く「POW! WOW! HAWAII(パウワウ・ハワイ)」をご存知でしょうか? 2011年からカカアコ地区を中心に展開されてきた、建物の無機質な壁を彩るライブペインティングイベントで、世界中のアーティストが参加するパブリックアート・プロジェクトとして知られています。そんなパウワウ・ハワイが、このたびハイアット リージェンシー ワイキキ ビーチ リゾート アンド スパ(以下、ハイアット リージェンシー ワイキキ)に登場したと聞き、さっそく足を運んでみました。今回は、ハワイらしい開放感あふれる空間に描かれたアートの魅力をご紹介します。
ビジュアル・ストーリーテリング展「イン ザ サザン サン(In The Southern Sun)」が、2025年7月よりハイアット リージェンシー ワイキキで開催されています。アート、回想、土地に根ざした文化や歴史を、意匠の力でひもといていく本展は、視覚にとどまらない多様な感覚を通して、幾重にも折り重なるワイキキの歴史を「現代の光の中へ」と導くアート体験。季節ごとに変化する壁画やインスタレーションの数々は、まさにこの場所ならではの風景。かつてハワイ王族が暮らした歴史ある土地に建つハイアット リージェンシー ワイキキにふさわしい、深い物語性を感じさせる展示です。
本展のテーマは、ハワイのことわざ「Mai ka lā hiki a ka lā kau(太陽が昇り沈むまで)」に基づいて構成されています。金色に染まる夜明けから、藍色に包まれる夕暮れまで。ワイキキに差し込む光のうつろいを軸に、四つの季節を通じて描かれる作品群は、土地の記憶や物語、人々とのつながりを、訪れる人に静かに語りかけてきます。
「イン ザ サザン サン」の展示は、ヘルモア、カプア、アイナハウといった歴史ある場所に息づく文化へのオマージュとして作品が展示されています。かつて流れていた小川にきらめく魚の群れや、カレフアヴェヘの空を舞う青い鳥。静かに受け継がれてきたこの地の記憶に、アーティストたちはやさしく光をあてています。
美術館と違って、ここでは思いのままに作品に触れて、アーティストの筆遣いを直接感じることができます。作品の中に入り込むように楽しんでください。アートと空間を隔てるガラスも柵もなく、まるで作品の一部になったかのような感覚。ハワイの風土と文化が織りなす物語を、五感で体験してみませんか?
本展のキュレーターを務めるカメア・ハーダーさんが「今日はノアも来ているよ」と紹介してくれたのが、新進気鋭のアーティスト、ノア・ハーディストリィさん。会場奥に展示されている作品のタイトルは『’ELE’ELE(黒)』です。ノアさんご本人に、作品についてお話を伺いました。
Q:作品の入り口には、海の世界が描かれていますね。
A: そうなんだ。僕はスペアフィッシングが好きでね。この赤い魚はメンパチ。ハワイと同じように、日本でも食べられているよね。僕の祖母が日本人だから、日本のこともちょっとわかるんだ。アナゴも描いてあるよ。気をつけないと、噛まれるんだよね。
Q:ハワイの戦士も登場しています。
A: 小さい頃、父からよく話してもらったハワイの神話に出てくる戦士なんだ。彼らは日が沈んだあとから、日の出までの間、暗闇の中を行進するんだよ。
Q:かなり大きな作品ですが、制作にはどれくらいかかりましたか?
A: 2か月くらい。毎日この場所に通って描いていたよ。作業はほとんど暗い中で進めていたんだ。
Q:スペアフィッシング以外に、何かスポーツはしていますか?
A: サーフィン! 父に教わって、それから夢中になってる。よくサウスショアで海に入ってるよ。
実体験をそのまま作品に落とし込むノアさん。そのまなざしの先に、どんな物語が描かれていくのか。これからの活躍が楽しみです。
有料の2階スペースでは、パウワウアートをゆっくり見たり、触れたり、写真を撮ったりしながら楽しんでください。
無料で入れる1階にはアート展示に加えて、Tシャツやトートバッグ、雑貨など、地元アーティストによるメイド・イン・ハワイの商品も並んでいます。ここでしか手に入らない商品なので、お土産や旅の思い出にいかがですか?
これまで近くで見ることしかできなかった壁画やアート作品を、目の前でじっくり見られるだけでなく、実際に手でふれることもできる没入型のアート展「イン ザ サザン サン」。大人も子どもも、それぞれの楽しみ方で満喫できるはずです。
◾️イン ザ サザン サン(In The Southern Sun)◾️
場所:ハイアット リージェンシー ワイキキ ビーチ リゾート アンド スパ
住所:2424 Kalakaua Ave., Honolulu, HI 96815
URL:https://inthesouthernsun.com/
チケット:おとな$30、子ども(7〜17歳)$20、子ども(6歳以下)無料、購入はこちらから