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イタリア北西部に位置し、アルプスを望む美食の州ピエモンテ!多彩な美味の宝庫であるこの地では、前菜からその豊かな食文化を感じることができます。なかでも今回ご紹介するAntipasito Piemontese(アンティパストピエモンテーゼ)は、土地の恵みと家庭のぬくもりを感じさせるピエモンテで是非味わってほしい一皿です。
郷土の保存食から生まれた味
アンティパスト ピエモンテーゼは、もともと夏の終わりに収穫した夏野菜を保存するために生まれました。材料は、夏の主役 トマト!そして、パプリカ、さやいんげん、カリフラワー、小玉ねぎ、セロリ、人参などの季節野菜です。まずは、トマトソースをつくります。各野菜の下処理後、それらをトマトソースで軽く煮込み、オリーブオイル、お酢を加え再度煮込みます。季節野菜の甘味とトマトと酢の酸味が調和し食欲をそそる味わいとなります。
アンティパスト ピエモンテーゼを直訳すると“ピエモンテの前菜“となりますが、前菜はもちろんそこへ、ゆで卵やツナ、時にはサラミなどを加えてピアットウニコとし、一皿完結の料理として十分成立する一品となります。食欲のない夏の一品としてはもちろんですが、保存食としての役割も果たすので、美味しい旬野菜のうまみ、栄養を保存瓶にぎゅっと閉じ込め、一年中時間のないとき、急なお客様のアンティパストとして重宝します。現に、私もノンナ(おばあちゃん)伝授のアンティパスト ピエモンテーゼ作りは、毎年の夏の終わりの恒例行事となっています。
アンティパスト ピエモンテーゼは、ただの前菜にあらず、ピエモンテの風土、家庭の伝統、そしてイタリア人の食文化を大切にする心が詰まった夏の定番料理です。ピエモンテ地方を訪れる機会がございましたら是非この素朴でありながら奥深い一皿から旅をはじめてみるのはいかがでしょうか?
注意点として、よくアンティパストピエモンテーゼは、Giardiniera (ジャルディニエラ)と混同されることがありますが、別物となります。ジャルディニエラは、地域的背景は、北イタリアにあり、どちらも野菜の保存食なのですが、こちらは、野菜をお酢と塩で漬込むピクルス風でお酢の酸味が際立つさっぱりした言わば洋風漬物となります。
これを機会に、北イタリアをご旅行される際には、食べ比べをするのも食文化を知るうえで楽しい発見、そして、旅行中は野菜不足になりがちですので、まずは、アンティパストピエモンテーゼで胃を整えてから食事を楽しむのもお薦めです。