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イタリアで数少ない海に面していない州のひとつがピエモンテ州。そんなピエモンテ州の夏には、豊かな農産物を活かしたシンプルな郷土料理が食されます。イタリア流 “食べることで整える” 暑さが続く心身ともに疲れがちな季節。そんな真夏のひとときに時を超えて受け継がれてきた伝統料理。今回は、日本にも同じような技法を使ったお料理がある栄養満点なピエモンテ州の夏の定番料理をご紹介したいと思います。
料理名は、Carpione (カルピオーネ)。語源は、Carpa(カルパ)イタリア語で “鯉” となり、そこから名づけられたと語られています。海魚ではなく、湖や川魚を処理するための技法として酢を用いたことからこの一品が生まれたと言われています。魚の代わりにうさぎ肉や家庭で手に入りやすい鶏肉でも代用されます。近年では、サーモンのカルピオーネも珍しくなくなりました。
作り方は、夏野菜(ズッキーニ)や 川魚もしくは、鶏肉(メインはお好みで。)を揚げ焼きし、熱いうちに酢、白ワイン、玉ねぎのマリネ液に浸して冷やします。 一晩寝かせることにより、マリネ液の酸と食材の油脂がバランスよく馴染み、暑く食欲のない日でも嬉しい一品になります。 アレンジとして、マリネ液にお好みのハーブを加えても美味しいです。夏の保存食として大人気です。作り置きは、もちろんホームパーティーなど持ち寄りの際にも重宝します。日本のなすの揚げ浸しや南蛮漬けと同様にお好きな食材を”揚げ浸し”にする保存技法となります。
カルピオーネの魅力は、イタリアでは、サーブする分量や種類によりアンティパストもしくは、セコンドピアットに属しますが、時間のない時にも便利な Piatto unico (ピアット ウニコ) 意味は、”一皿完結” というカテゴリーにもなります。イタリア料理は、基本的には、アンティパストから始まり、ドルチェまで順番にサーブされますが、時間のない時、空腹でない時などは、ピアット ウニコといい、全て同じタイミングで一皿終結する食べ方も存在します。
イタリアでの生活は、10年以上となりますが、食で不自由しないのは、イタリアが美食の国であるというだけでなく、日本の食文化と驚くくらい相違点があることにあると感じています。
日本も酷暑が続いていると伺っています。カルピオーネは、食欲のない日でも、胃が疲れている日でも ”食べやすい” が ”食べたい!”に変わるお料理です。是非この夏に試してみてはいかがでしょうか?