2019.3高槻市にオープン 広大な緑の空間、安満遺跡公園
2019.6.14
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2024年12月、関西将棋会館が移転したことでさらに注目を集めている「将棋のまち」にJT生命誌研究館があるのをごぞんじでしょうか。生命誌や細胞、ゲノムなどなど難しそうなキーワードが頻出しますが、表現(デザイン)を駆使した展示内容がとてもわかりやすいとの噂を聞きつけ、自由研究のネタ探しも兼ねて訪問しました!
JR高槻駅からすぐそばにある市内最古の芥川商店街を通り抜け、北西に歩くと現れるのが1993年設立の「JT生命誌研究館(Biohistory Research Hall)」。日本たばこ産業(JT)によって運営される企業博物館で、生命科学に関連した展示と研究を行っています。展示を制作するスタッフだけでなく第一線の研究者や大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻の大学院生が在籍するなど、単なる観光スポットではないのが特長です。
とはいえ、専門知識がなくても楽しめる工夫が随所にあるのでご安心を。館内は予約なしでも自由に見学できますが、当日はガイドスタッフに案内して頂ける「展示案内プログラム」を利用しました。初めての訪問なので10分の「ようこそ!JT生命誌研究館へ」の映像を視聴し、エントランス左側の「生命誌絵巻」へ。施設名に冠されている「生命誌」の概念や生き物の38億年の歴史、ヒトという存在について解説して頂きました。ちょっと堅苦しくなりましたが、美しいイラストを眺めているだけでも直感的に“命のつながり”を実感できると思います。
次は「生命誌の階段」へ。階段の1段が約1億年という設定で、38億年の生き物の歴史を足でたどり、永い時間を実感できるんです。壁面の美しい絵は、各時代に誕生した豊かな生き物を表現しています。
階段を登りきると、「Ω食草園」に到着。チョウのためだけの庭で、20種類程度のチョウの幼虫が食べる植物が植えられています。
この日は、エノキで過ごすゴマダラチョウの幼虫を見ることができました! ほかにもミカンやレモン、クスノキなど身近な植物が多種多様なチョウの命のつながりを支えているのだと教えて頂きました。
1階フロアに戻り研究館設立当初から続けられてきたオサムシ研究のコーナーへ。空を飛べない虫オサムシのDNAを分析すると、その進化が日本列島形成と重なることが判明。進化と地殻変動の関わりを初めて示した生命誌の研究は必見です。隣接するナナフシの展示は生きているナナフシを観察できるのでとても楽しかったです。
ほかにも見どころが満載なのですが、印象に残った展示を厳選してご紹介します。小さなスペースですが、なんと昆虫の脳を展示するコーナーがあり、チョウやカブトムシの脳の実物を見ることができます。大きな博物館でも見ることができないユニークな展示だそうです。
細胞の知られざる働きを親しみやすい表現で楽しめる「細胞展」もおすすめです。
また2階にも展示スペースがあります。38億年前に誕生した生き物が住み慣れた海を離れ、過酷な陸地へと進出したのは、今から5億年前。はじめに植物が上陸し、地上を生き物が暮らしやすい場に変え、そこへ昆虫、そして脊椎動物が上陸します。そんな壮大な進化を絵巻物語「生きもの上陸大作戦」として紹介しています。
■JT生命誌研究館
住所:大阪府高槻市紫町1-1
電話番号:072-681-9750(代)
アクセス:JR京都線「高槻駅」下車、徒歩10分。阪急京都線「高槻市駅」下車、徒歩18分
営業時間:10:00~16:30
休館日:月曜日、年末年始
入館料:無料(展示案内プログラムは事前要予約、土曜日開催プログラムは予約不要)
URL:https://www.brh.co.jp
今回の「乙な京都™」はいかがだったでしょうか。「命が生きている」ことはとても素晴らしい営みですが、一方で環境破壊や戦争・紛争を引き起こす存在でもある人間。40億年というかけがえのない壮大な旅を、自らの手で終わらせないために“今とこれから”を考える場でもあるのかなと思いました。最後になりましたが、夏休みの自由研究で迷っている子どもたちにもおすすめですし、リピート必至の有料級の施設です!