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香港映画の巨匠、ピーター・チャン監督が語る+「HK Night Tokyo 2025」

武田 信晃

武田 信晃

香港特派員

更新日
2025年11月29日
公開日
2025年11月29日

東京国際映画祭2025では多くの映画が見られましたが、その中で香港映画の巨匠、陳可辛(ピーター・チャン)監督の「酱园弄(She Has No Name)』という作品が上映されました。来日した陳監督によるマスタークラスが開催され、ジャパンプレミアとなった『She Has No Name』についてや自身のキャリア、香港映画界について語りました。

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©︎写真提供:2024 Huanxi Media Group Limited(Tianjin) All Rights Reserved.

『She Has No Name』は、1940年代、日本占領下の上海で実際に起こった殺人事件にインスパイアされた作品で章子怡(チャン・ツィイー)が主演です。主婦のジャン・ジョウは、夫を殺し遺体を切断した容疑で逮捕されます。彼女の単独犯行と決めつける警察による尋問と虐待に耐え、ジャン・ジョウは無罪を証明しようとする話です。

「しっかりしたエンディングがあるので、1つの作品としてお楽しみにいただけたかと思います。ただ、この作品はとても長い作品で、実はこの後、1993年まで物語は続きます」

実はこの映画は、あと2時間半ある2部作の映画だそうで、『She Has No Name』の後半があります。事件の裁判の再審があり、戦後に彼女が受けた刑が変わっていくことが描かれているそうで、2026年の公開を予定しています。

撮影においては、特にカメラアングルを意識したそうで「権力を持つ者の視点は高いところから撮り、弱者の場合は低いところから撮りました」

陳監督は『金枝玉葉(He’s a Woman, She’s a Man / 君さえいれば 金枝玉葉)』『甜蜜蜜(Comrades, Almost A Love Story / ラブソング)』など過去の作品を踏まえて「ファンの多くは、センチメンタルな作品を求めて映画館に行きますが、本作はガラリと雰囲気を変えて、どちらかというと悲観的な部分が大きくなっていると思います」

『ラブソング』を作ったころは、アクション映画やギャング映画多かったので、日常を描いた作品を作りたいという思いから製作したそうです。そういう映画製作のために United Filmmakers Organization(UFO)という組織を立ち上げています。

今後はインドやタイの映画監督らとグローバルの市場を見据えた作品を考えているそうですが、「国籍ではなく、どんな監督と組むかが重要です。そして陳監督らしく時代が変わっても『人間を描く』という本質は変わりません」と語っていました。

また、TIFFの開催期間中、香港映画関係者を集めた「HONG KONG CINEMA TOKYO 2025」が都内のホテルで開催されました。『シュレック3』などを手掛けた許誠毅(ラマン・ホイ)、『像我這樣的愛情(Someone Like Me / )で迫真の演技をした廖子妤(フィッシュ・リウ)などが参加し、華やかなパーティーが開かれました。

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