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タイには幻想的な天井画で有名な「ワット・パークナム(Wat Paknam Phasicharoen)」をはじめ、写真映えする寺院が数多くありますが、SNSで新たに注目を集めているのが、バンコクのドンムアン地区にある「ワット・ウェールワナーラーム(Wat Weluwanaram)」です。昨年完成した「ナーガの洞窟(Naga Cave)」は、従来の寺院のイメージを覆す空間として話題をよんでいます。
ワット・ウェールワナーラームの最寄り駅は、SRTレッドラインのドンムアン駅(Don Mueang)またはカンケーハ駅(Kan Kheha)です。筆者はカンケーハ駅で降車し、配車アプリのバイクタクシーを利用して寺院へ向かいました。
この寺院は1901年頃、ラーマ5世の時代に建立された由緒ある寺院です。かつて一帯は湿地に囲まれた土地で、托鉢修行の僧が滞在したことをきっかけに、地域住民の手によって僧坊が築かれました。その後、王室より正式に僧地として土地が下賜され、寺院として整備されていきます。第4代住職の時代に境内周辺へ竹が植えられたことから、現在も地元では青竹寺という意味の「ワット・パイキアオ(Wat Phai Kheaw)」の名で親しまれ、地域とともに歩んできた歴史がうかがえます。
本堂に足を踏み入れると、天井一面に描かれた宇宙空間と、四方の壁を覆う壮大な壁画が参拝者を包み込みます。天井の星々や惑星は仏教の宇宙観を象徴し、仏法が人間界だけでなく宇宙全体におよぶことを表しています。壁画には仏陀の生涯や、天界・人間界・地獄界といった三界の世界観が連続的に描かれ、参拝者は視覚を通して仏教の教えを感じ取ることができます。
ナーガの洞窟は、道路を挟んだ寺院向かいに建つ白い仏塔の1階にあります。2階にはプラ・プッタ・メーターと呼ばれる仏像が安置されており、こちらは土日のみ参拝が可能です。
ナーガはインド神話に起源を持つ蛇神ですが、仏教説話では、悟りを開いた釈迦(仏陀)が解脱の至福を味わっていた際、激しい雨風から守った存在として語られています。このことからナーガは仏法を守護する存在として信仰され、寺院では礼拝の対象とされてきました。近年では、2022年11月に神話上の生き物としてタイ国家の象徴のひとつとすることが閣議で承認されています。
仏塔の入口からは、このなかに洞窟が広がっているとは想像しにくいものの、靴を脱いでなかへ入ると壁画やナーガのオブジェが参拝者を迎えてくれます。右手の扉の奥には、ナーガを祀る洞窟空間が広がり、静寂と幻想が溶け合うような光景が印象的です。岩肌を模した天井に灯された照明の光が磨き上げられた床に映り込み、空間全体にきらめきを添えています。床で青白く光る四角の線は結界でしょうか。その四隅の柱に巻きつく色違いのナーガ像は、洞窟を守る番人のようにも感じられます。
奥には色とりどりの供物や花に囲まれた、108の頭を持つナーガ像が安置されています。一見すると9つの頭に見えますが、よく見ると頭上にさらに小さな頭が重なっているのが分かります。
ナーガは金運や仕事運の向上、厄除けなど、現世での幸せを幅広く守護すると信じられており、参拝者はそれぞれの願いを胸に静かに手を合わせています。参拝の際は、入口で販売されているお供え物(99バーツ)を供えるほか、手を合わせるだけの場合はナーガ像の両側に設けられた木箱にお賽銭を納める形でもいいと思います。
最後に参拝時の注意事項です。ナーガの洞窟の入口には服装マナーの案内が掲示されており、露出の多い服装は避ける必要があります。その場合はサロン(腰布)を借りることができます。レンタル料は不要ですが、赤い箱へのお賽銭を忘れないようにしましょう。また、飲食物の持ち込みはできないため、バッグに収まらない物は入口のバスケットに預けてください。
SNSで注目される理由を肌で感じられるワット・ウェールワナーラーム、バンコクの「Unseen(知られざる観光地)」を探している人にぜひ訪れてほしいスポットです。
■ワット・ウェールワナーラーム
住所:449 Weluwanaram Road, Don Mueang, Bangkok
電話番号:0-2574-3652
アクセス:SRTレッドラインカンケーハ駅(Kan Kheha)の1番出口より配車アプリのバイクタクシーで約10分。配車アプリのバイクタクシー料金は30バーツ前後、車の場合は80~100バーツ前後。
営業時間:8:30~17:00
入館料:無料
URL:https://www.facebook.com/WatPhiKheaw