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2026年3月3日はタイの重要な仏教祝日のひとつ「万仏祭(マカブーチャ)」でした。乾季が終わり、少しずつ暑さを増してきたチェンマイですが、この日は暑さを忘れるほど幻想的な風景が町を包みました。今回は、タイの人々にとって大切なこの一日の意味と、チェンマイの名刹「ワット・チェディ・ルアン(Wat Chedi Luang)」での感動的な夜の様子、そして旅行者が知っておくべき仏教祝日や「禁酒日」のルールについてお届けします。
万仏祭は、陰暦3月の満月の夜に行われるタイの三尊仏節のひとつです。今から約2500年前、お釈迦様のもとに、事前の約束もなしに1250人の弟子たちが偶然集まったという奇跡を記念しています。この時集まった弟子たちは全員がお釈迦様から直接授戒された阿羅漢(悟りを開いた高僧)であったと伝えられています。
タイの人々にとって、この日は徳を積む(タンブン)ための大切な日。朝から寺院へ出向いてお供えをし、説法を聞き、五戒(殺生、盗み、不道徳な性関係、嘘、飲酒をしないこと)を守って静かに過ごします。夜になると、手に蓮の花と線香、ロウソクを持ち、仏塔の周りを時計回りに3周する「ウィアンティアン」という儀式が行われ、夜の闇に浮かび上がる無数の火が境内を照らし出します。
この日訪れたのは、旧市街の中心にあるワット・チェディ・ルアンです。14世紀に建てられた巨大な仏塔がシンボルのこの寺院では、万仏祭のハイライトである「ウィアンティアン」という儀式が行われました。
日が沈み、ライトアップされた仏塔が夜空に浮かび上がると、境内には数千ものロウソクの火が灯されます。正装した地元の人々や、オレンジ色の袈裟を纏った僧侶たちが、手に蓮の花と線香、ロウソクを持ち、仏塔の周りを時計回りに3周ゆっくりと歩きます。キャンドルの揺れる炎が参拝者の真剣な祈りの表情を照らし、夜の空気に心地よく響く読経の声。観光客の方々もマナーを守りながらその列に加わり、タイの人々の深い信仰心に触れる貴重なひとときを共有していました。
■ワット・チェディ・ルアン(Wat Chedi Luang)
住所:103 Phra Pokklao Road Mueang Chiang Mai, Chiang Mai
電話番号:+66 5381 43089
アクセス:ターペー門から徒歩約10分
営業時間:8:00~22:00
入館料:50バーツ
万仏祭のほかにも、美しいキャンドルの儀式「ウィアンティアン」が行われる日がまだあります。チェンマイの寺院が再び祈りの灯火に包まれる、2026年の主要な仏教行事をご紹介します。
5月31日:仏誕節(ヴィサカブーチャ)
お釈迦様の「誕生・悟り・入滅」の3つの奇跡が重なった、仏教界で最も聖なる日です。万仏祭以上の規模で儀式が行われることも多く、この夜のワット・チェディ・ルアンも圧巻の美しさとなります。
7月29日:三宝節(アサラハブーチャ)
お釈迦様が初めて説法を行い、仏・法・僧の「三宝」が整った日。翌日の「入安居(カオパンサー)」と合わせて、タイ全土が深い信仰心に満たされる連休となります。
11月24日・25日:ロイクラトン(イーペン祭)
厳密には仏教祝日ではありませんが、チェンマイでは「ピン川への灯籠流し」や、空へ放たれる「コムローイ」が有名です。寺院内でも無数のランタンやキャンドルが飾られ、町全体が光の魔法にかかったような2日間となります。
タイ旅行をよりスムーズに楽しむために、避けて通れないのが「禁酒日」のルールです。仏教祝日はタイ全土で24時間の酒類販売が禁止されます。
この日は深夜0時から丸一日、コンビニやスーパーの棚にお酒があっても購入できず、レストランやバーでもアルコールの提供がストップします。「せっかくの夜なのに」と戸惑うかもしれませんが、これもまたタイの日常の大切な一面。その代わりに寺院から流れる穏やかな読経に耳を澄ませたり、南国ならではのフレッシュなフルーツスムージーを味わったりと、現地の人々のライフスタイルに寄り添う静かな旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
タイの仏教祝日は陰暦に基づいているため、毎年日付が大きく変動します。次回の旅では、ぜひこれらの伝統行事の時期を狙って、タイの人々が大切に守り続けている「祈りの風景」を体験してみてはいかがでしょうか。