タイ・バンコク近郊サムットプラカーン県内の沈みゆく⁉寺院「ワット・クンサムットチン」へ探検

公開日 : 2023年07月27日
最終更新 :
筆者 : Taeko

はじめに

皆様、サワディーカー。今回は、タイ・バンコクの隣県サムット・プラカーン県内にある寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)」を紹介します。

目次

寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)」の立地

海のほうを向いて立つ仏像の後ろにあるオレンジ色の屋根の建物が沈んだ本堂。奥の赤い屋根の建物が新たに建設された本堂。
海のほうを向いて立つ仏像の後ろにあるオレンジ色の屋根の建物が沈んだ本堂。奥の赤い屋根の建物が新たに建設された本堂。

寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)※「ワット」は、タイ語で寺院という意味」は、海岸浸食によってその敷地面積が減少し、タイランド湾に突き出した岬のようなところに位置しています。

寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)」へたどり着くまでの道のり

ロット・トゥー降り場から寺院「ワット・クンサムットチン」までの道中見られた景色
ロット・トゥー降り場から寺院「ワット・クンサムットチン」までの道中見られた景色

寺院「ワット・クンサムットチン」の最寄り駅はBTSパクナム駅。

パクナム駅からGoogle mapの船着場「パクナム生鮮市場桟橋」までは徒歩圏内。その後、渡し船で「プラ・サムットチェディ」のある対岸の船着き場へ渡ります(片道6.5バーツ)。対岸に渡ったら、ロット・トゥーに乗り、「ワット・クンサムットチン」へ行きたいと告げます。

ロット・トゥーを降りたところからは、船またはバイクタクシーに乗り換えて寺院にいくとされています。実際に行った複数人曰く、バイクタクシーですぐ、歩いても20分程度と事前に聞いていました。実際に、このルートで向かうと、最後に乗るロット・トゥーの運転手さんが、「ワット・クンサムットチンに行きたいなら、降りたところ(おそらく、地図でいう「ท่าเรือป้าลี่(タールア・パーリー)」の近く)で待っていれば、バイクタクシーが来るよ、船でも行けるよ。バイクタクシーは50thb、船は一人なら120バーツ、2人目からは10バーツだけだよ」と教えてくれました。

しかし、2023年2回その場所で降りてみたものの、バイクタクシーや船どころか、その近くを歩いている人すらいませんでした。Google mapを起動してみると、そこから寺院までは徒歩約1時間19分と表示されました。初回は、「友達がそんなに歩けないよ~」と言ったので、再び、ロット・トゥーに乗車し、別の寺院(記事「タイ・バンコク近郊サムットプラカーン県にある、見所いっぱいの寺院「ワット・サーカラー(Wat Sakhla、วัดสาขลา)」で紹介済み)へ行くことにしましたが、後日、休日に、ロット・トゥー降り場から寺院まで一人で歩いて行くことにしました。

週末ならバイクタクシーや船がいるかもしれないと思いましたが、週末も見当たらず。バンコク以外で、女性一人でバイクタクシーや船に乗るのはなんとなく怖い気もしていましたし、私は暑さと歩くことや走ることには慣れていて、往復約3時間ならなんとか大丈夫だろうと思えたので、歩いて向かうことにしました。

タクシーや自家用車で来る人は、細い橋の手前で車を停車していました。週末はここからバイクタクシーに乗ることができます。
タクシーや自家用車で来る人は、細い橋の手前で車を停車していました。週末はここからバイクタクシーに乗ることができます。

後から、過去に行かれたという方に再度たずねて分かったことは、他の方は、ロット・トゥーではなく、車で寺院近くの駐車場のようなところまで行かれているようで、上記の写真のところから徒歩20分、またはソンテウのようにも見えるバイクタクシー(上の写真のオレンジ色で囲った乗り物)で寺院まで行ったようでした。

ちなみに、このバイクタクシーは寺院までは、50バーツではなく、乗合で1人20thbでした。1人で乗ると、50thbなのだと思われます。平日行った方は、バイクタクシーが見当たらず、歩いていったと話していましたので、バイクタクシーは週末のみの運行なのかもしれません。なお、バイクタクシー運行時、橋には人が歩けるスペースがほとんどない感じなので、週末は歩かないほうがよさそうな感じがしました。

橋の手前の道では、たくさんの犬を目にしましたが、寺院訪問時、寺院内で犬に出会うことはありませんでした。そして、何よりも怖かったことは、時期によるかもしれませんが、雨季明け後にもかかわらず(前日に当日も雨も降っていなかったと思いますが)、ロット・トゥー降り場から寺院手前の駐車場エリアまでの水位が高かったことです。

海水面が高い時期だったのか、地球温暖化や海岸浸食、土壌流出、地盤沈下等により、海抜高度が低くなっている地域なのか、原因は色々あるのだと思いますが、あまりにも水位が高く、土地勘がないエリアなだけに、帰り道、さらに水位が高くなっていたら、靴がびしょびしょになってしまう…最悪、歩いて帰れないかもしれない…と恐ろしくもなりました(11月と12月頃に行きましたが、お昼すぎの午後には水位は低くなっていました)。

朝早くの時間帯は、水位が思いのほか高く、もしものことを考えて、行かないほうがいいのかなと思ったのですが、通りを歩いていると、何台もの車に抜かされ、皆さん、寺院に向かっている気がしたので、なんとなく、大丈夫な気がしてきて、写真を撮りつつ、歩き続けました。

30分以上歩いた頃、声をかけられたのですが、ひたすら「マイペンライ(大丈夫)」と言って、歩き続けました。しかし、200m程走るごとにバケツに山盛りの餌を野良犬にあげている若い女性がいて、その運転手さんが「どこ行くの?乗っていきなよ~」と声をかけてくださり、駐車エリアまで荷台に乗せてもらいました。車内に乗り込むのは乗せるほうも怖いと思いますが、荷台だとお互いよく知らない人同士でも怖さ半減ですよね。

彼女たちは、この寺院には隔週で来ているという方でした。水位が高くて怖く感じると話したら、「冠水しているのを見たことはない。2011年の大洪水の時ぐらいじゃないかな?!」と言われました。車で来ているので水位の高さはあまり気にならないのかもしれないですが、水位が高くて車が運行できないほどのことは今のところほとんどないのかもしれません。

荷台から降りて、しばらく待ち、やってきたバイクタクシーにみんなで乗り込みました。バイクタクシー代は私が払おうと思いましたが、気づいた時には私の分まで支払いされ、お金を受け取ってもらえず。振り返ると、冷たいお水まで手渡されてしまいました。帰りのことまで気にしてくださっていましたが、丁重にお断りしてしまいましたが、帰りもお願いして、なんらかのお礼をすべきだったのかもしれません。。。

帰りは、バイクタクシーに同席した別の大家族グループの若い女性がどうやって帰るのか、聞きにきて、とても心配してくださり、車に乗せてもらってしまいました。5分程ロット・トゥー乗り場まで乗せてもらう予定でしたが、「ロット・トゥーなんか来ないよ!」と言って、かたくなにおろしてもらえず、はるか遠くのバンワー駅が便利だろうと判断され、そこまで乗せてくれました。面倒見のいいタイ人ならではの対応です。途中、アマゾンコーヒーに寄るというので、そこで、6人分のドリンクを購入して、お礼をしました。

まるでヒッチハイクをしたような旅になりました。

魅力的な立地に惹かれて行きたくなった寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)」とは

バンコクから参拝に来るタイ人も少なくない寺院

  • バイクタクシーからの眺め

    バイクタクシーからの眺め

  • 敷地内右手にある建物内には僧侶の方々がいました

    敷地内右手にある建物内には僧侶の方々がいました

  • 左手にある建物内にも参拝しているタイ人がたくさんいました

    左手にある建物内にも参拝しているタイ人がたくさんいました

寺院「ワット・クンサムットチン」の境内に入ると、右手と左手に、礼拝堂のような建物が2つありました。行きしな、車に乗せてくれたタイ人グループは、右手の建物のほう(僧侶のいるところ)へ向かいました。

沈みゆく!?本堂と新しく建設された本堂

沈みゆく⁉本堂
沈みゆく⁉本堂

その後、海のほうへ歩いて行くと、上の写真の本堂が見えてきます。海岸浸食の影響で沈んだ後、嵩上げしたり、マングローブの植林等で土壌流出防止を図ったりしたようですが、入口が狭くなっており、かがまないと中に入れなくなっています。

本堂の座像
本堂の座像

中に入ると、参拝しているタイ人もたくさんいました。ここで、仏像様と一緒に写真を撮る人が多く、一人で来ているのか、写真を撮ってほしいと声をかけてくる人もいました。

新しい本堂
新しい本堂

右手奥の高台には、新しい本堂が建てられており、ここからも海が眺められます。

新しい本堂内の座像
新しい本堂内の座像

海沿いにある数々の展示物や建造物

海沿いには、歴史を表す様々な展示物や中華系の神社もありました。海の中には、海岸浸食を防ぐために建てられた柱がたくさんありました。掃除をしている女性の一人が日本語堪能で驚きました。

寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)」への行き方

「プラ・サムットチェディ」の白い仏塔が以前より白くなっていました(2022年撮影)
「プラ・サムットチェディ」の白い仏塔が以前より白くなっていました(2022年撮影)

前述しましたが、寺院「ワット・クンサムットチン」へは、まず、BTSパクナム駅へ向かい、下車後、8分程歩いたパークナーム生鮮市場から船で対岸に渡ります。ここの船は、約6.5バーツでリーズナブルに移動できます。乗船中、ワット・プラチェディが見えてきたら下船します。

  • 寺院「ワット・クンサムットチン」へ行くロット・トゥーは、この下あたりで降ろされます。

    寺院「ワット・クンサムットチン」へ行くロット・トゥーは、この下あたりで降ろされます。

  • ロット・トゥー降り場から寺院「ワット・クンサムットチン」までの道中の風景1

    ロット・トゥー降り場から寺院「ワット・クンサムットチン」までの道中の風景1

  • ロット・トゥー降り場から寺院「ワット・クンサムットチン」までの道中の風景2

    ロット・トゥー降り場から寺院「ワット・クンサムットチン」までの道中の風景2

続いて、ロット・トゥー(またはソンテウ)に乗ります(2022年に何度も対岸に渡って確認しましたが、最近はソンテウは運行しておらず、ロット・トゥしか走っていないのではないかと思います)。「ワット・クンサムットチンへ行きたい」と告げれば(タイ語では「ヤークパイ ワット・クンサムットチン」と言いますが、英語が通じる人もいますし、寺院「ワット・クンサムットチン」の写真を見せても大丈夫だと思います)、上の一番左の写真のところで降ろしてもらえると思います。

Google mapのナビを起動させながら、寺院に向かいました。Wifiがない方や犬が怖い方はもちろんですが、ロットゥーやソンテウではなくて、ロット・トゥー乗り場近くに停車しているタクシーを往復チャーターしていくことをお勧めします

ロット・トゥーを利用する場合はロットゥー下車後、ひたすら道を歩きます。1時間歩くと、バイクタクシー乗り場に到着します。

  • 現在あるバイクタクシー乗り場(おそらく、土日限定)までの道中、犬が多いです

    現在あるバイクタクシー乗り場(おそらく、土日限定)までの道中、犬が多いです

  • 駐車エリアから寺院まで乗せてくれるバイクタクシー(一人片道50バーツ、乗合の場合は片道20バーツ)

    駐車エリアから寺院まで乗せてくれるバイクタクシー(一人片道50バーツ、乗合の場合は片道20バーツ)

  • 1時間程歩いたところに、バイクタクシー乗り場があり、屋台もありました。

    1時間程歩いたところに、バイクタクシー乗り場があり、屋台もありました。

寺院「ワット・クンサムットチン(Wat Khun Samut Chin、ขุนสมุทรจีน)」の情報

名称
ワット・クンサムットチン(クンサムットチン寺院)、タイ語名:ขุนสมุทรจีน(Wat Khun Samut Chin)、通称:วัดขุนสมุทราวาส(Wat Khun Samut Trawat)
住所
เจดี, หมู่ที่ 9 ตําบล Laem Fa Pha, Phra Samut Chedi District, Samut Prakan 10290, Thailand
電話
089-788-7334
トイレ
有り(トイレットペーパーは持参しましょう)
時間
7:00-16:00

最後に

以上、寺院「ワット・クンサムットチン」について紹介しましたが、いかがでしたか。

帰宅してから、2015年に書かれた記事「Thailand’s village of Samut Chin: Turning the tide」等を読んだのですが、寺院「ワット・クンサムットチン」周辺の海岸浸食について、いくつかの対策が講じられてはいるものの、もしかしたら、数年後、本当に沈んでしまうのではないかと感じ、胸が痛くなった寺院でもあります。

本文の寺院の情報欄にリンクした寺院のFacebookや寺院近くのบ้านขุนสมุทรจีนโฮมสเตย์ - ผู้ใหญ่สมร เข่งสมุทรのFacebookの情報を見ていると、現在も様々な対策が模索されており、観光地としても活気のあるエリアであることがうかがえて、悲観することはないのかもしれませんが、海面上昇や海岸浸食の問題を身をもって強く感じました。

探検好きの方や興味を持たれた方は、寺院「ワット・クンサムットチン」を訪問してみてください。ただ、タイは5月半ば~10月末頃まで、時折、激しい雷雨が予想される雨季になっています。また、雨季明けが宣言されるであろう11月も水位が高いシーズンゆえに危険を伴う恐れがありますので、旅の計画の際には十分にお気をつけください。

それでは皆様、サワディーカー。

筆者

タイ特派員

Taeko

2011年10月から、夫の転勤で、タイのバンコク在住。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。