【香港】極上ワインとグルメが集結!「香港ワイン&ダイン・フェスティバル」が10月23日から開催
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美食の街・香港に今年も香港政府観光局が主催する「香港ワイン&ダイン・フェスティバル」の季節がやってきました。2025年10月23日〜26日の4日間、中環(セントラル)のビクトリアハーバー沿いに、世界各国のワインや星付きシェフの料理を楽しめる特設会場が登場。今年は約305のブースが設置され、来場者数は延べ16万3000人。会場はワインが7割、グルメが3割という構成で、アジア屈指の“ワインハブ都市”としての香港を象徴する華やかなイベントとなりました。この記事では、初日と2日目の会場の様子、そして今年の見どころをたっぷりご紹介します。
イベントは、花火が夜空を彩る華やかなオープニングセレモニーで幕開け。中環のハーバーフロントに設置されたメインステージでは、音と光の演出が繰り広げられ、観客の期待を一気に高めました。香港のイベントの特徴は、訪れる人々の多様さ。スーツ姿のビジネスマン、ベビーカーを押す家族、登山帰りのようなスポーツウェア姿の夫婦、旅行中の観光客まで、誰もが思い思いに秋の夜風と美酒を楽しんでいました。
今年のテーマは「世界最高峰の非凡なペアリング」。特に注目を集めたのが「味覚ペアリング」という新企画。
5種類のブドウ品種(メルロー、シャルドネ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブラン)と、5つの味覚(甘味・酸味・辛味・塩味・うま味)の食を組み合わせる体験型展示を展開。来場者が自分好みのペアリングを探しながら、食とワインの奥深さを楽しめるよう工夫されていました。
特に「うま味」にソーヴィニヨン・ブランを合わせる提案が印象的。日本発の“うま味”が世界共通語として定着していることを実感できました。
東亜銀行がスポンサーを務めた「プレミアムワインエリア」では、追加料金で入場できる特別ゾーンを設置。フランス・ボルドーのグラン・クリュ・クラッセをはじめ、世界の名だたるワインが一堂に会しました。
国際的なワイン評論家ジェームズ・サックリング氏が厳選したコーナーでは、彼が高得点を付けた世界各国のトップワイン100種以上を試飲可能。さらに、中国産の高品質ワインも登場しました。
ボルドー格付け170周年を記念した展示では、五大シャトー(ラフィット、ラトゥール、マルゴー、オー・ブリオン、ムートン)が勢揃い。ブルゴーニュの希少ワインも並び、まさに「ワイン愛好家の夢の空間」でした。
スコットランドのシングルモルト「ハイランドパーク」は、世界に170本しか存在しない「Highland Park 54 Year Old(ハイランドパーク54年)」を展示。香港をテーマにした限定ボックスは、香港の著名な漫画家・利志達(リ・チータット)氏によるイラストが描かれ、香港市場を重視する姿勢を印象づけました。
「テイストパビリオン」では、1人2330香港ドル(約4万5000円)のプレミアムディナーを開催。北京の三つ星レストラン「潮上潮」の張一峰(チャン・イーフォン)シェフや、Netflixで話題の韓国人シェフ鄭智善(チョン・ジソン)氏らが登場しました。その他、香港の若手スターシェフ鄧家濠氏(「逸東軒」料理長)らとともに、3時間にわたる極上のディナーを提供しました。
香港のガス会社Towngasがスポンサーを務める「グルメストリート」では、有名格付け受賞店など12軒の人気レストランが出展。中華の名店「明閣」「富臨飯店」、フレンチの「クリスタル・ルーム・バイ・アンヌ=ソフィー・ピック」、ロブションやArborなどが並び、華やかな競演を繰り広げました。
ジョエル・ロブションのブースでも、シグネチャーの「冷製エンジェルヘアパスタ キャビア・トリュフ・塩昆布添え」が提供され、訪れる人々を魅了していました。キャビアとトリュフで彩った冷製パスタは、清涼感と贅沢さが共存する代表的なメニューです。
「富臨飯店」は南アフリカ産乾燥アワビを柔らかく煮込んだ逸品を提供。さらに薬膳デザート「養生糖水」をアイスクリームとして再構築するなど、伝統と革新が融合したメニューで人気を集めていました。
フレンチレストラン「Ami」のブースでは、“お酒に合う料理”として贅沢なビーフサンドイッチを提供していました。ジューシーな最高級牛肉に、とろけるフランス産チーズを合わせ、香ばしく焼き上げたトーストでサンド。塩気とうまみのバランスが絶妙です。さらに、オーストラリア産和牛のほほ肉を特製のブラックペッパーソースで味付けし、軽やかでサクサクの揚げパン生地に詰めた一品も登場。仕上げには、自家製の和牛ハムチップをトッピングして華やかに仕上げています。
ひときわ人だかりができていたのは、香港の有名ホテル11軒が集結した「ホテルグルメストリート」。食通たちの注目を集める人気エリアです。今年は例年以上に多くのホテルが出展し、各ホテルのシェフが看板メニューを実演しながら提供していました。グランドハイアット香港の海南チキンライスや、エンパイアホテル香港のチーズバタフライパイなど、名物料理を一度に味わえる贅沢なラインアップ。お得に食べ比べができるとあって、どのブースも大盛況で、シェフたちは次々と入る追加オーダーに忙しそうに対応していました。
「香港ディズニーランドテーマエリア」では、キャラクターをモチーフにした限定メニューや、クリスマス限定のグルメを初披露。マーベルテーマのカクテルや、ナパバレーの「フランク・ファミリー・ヴィンヤーズ」など、映画や物語にちなんだワインも登場しました。
今年は31の国と地域が参加。今回から新たにアメリカ、イタリア、チェコ、ベルギー、ノルウェー、オーストリア、メキシコ、ポーランドが加わり、より国際的なラインアップに。
また、中国・広東省からはライチのワインやブランデーを手掛ける「広東茘枝集団」が出展。1本のワインに10キロのライチを使うという贅沢な製法の新しい風味は、来場者から好評を得ていました。
フィンランドのブースでは、お酒やデザートが並び、クリスマスシーズンにぴったりのユニークなドリンクも登場。なかでも印象的だったのは、クリスマスツリーとしておなじみのモミの木を使ったワイン。各国のブースでは、出展者たちと直接会話を楽しめるのも魅力のひとつ。国際色豊かな雰囲気のなかで、世界中の人々とのおしゃべりが弾みます。
香港のブースにはクラフトビールのコーナーも登場。実は香港では、限られた都市空間を活かした小規模なブルワリー(醸造所)が街中に点在しており、近年その存在が急速に注目を集めています。地元の食材や香港らしいフレーバーを取り入れた個性的なビールも多く、独自のクラフトビール文化が育ちつつあります。会場でも、多くの香港人が地元の味を応援するように、楽しそうにビールを味わっていました。
日本パビリオンには在香港日本国総領事の三浦潤総領事も来場。栃木や山形などから酒蔵が参加し、蔵元自らがブースに立って試飲を行いました。香港限定ラベルを用意するなど、現地の嗜好に合わせた工夫も見られ、日本ブランドの人気を裏付けていました。
今年で15回目を迎えた「香港ワイン&ダイン・フェスティバル」。2008年にアルコール度数30%以下のお酒の物品税が撤廃されて以来、香港は“世界のワインハブ”を目指し、このイベントを育ててきました。
今年は例年以上に食とのペアリングが充実し、国際色も豊かに。深夜まで笑顔と音楽に包まれた会場は、「これぞ香港」と呼ぶにふさわしい活気にあふれていました。来年もまた、多くの人々が美酒と美食を求めてこの地を訪れることでしょう。
TEXT&PHOTO:Compass Communications