特集「今、こんな旅がしてみたい!」
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メキシコ・シティは、アステカ帝国の都「テノチティトラン」の跡に築かれた都市で、かつてはテスココ湖に浮かぶ美しい水上都市として栄えた場所。16世紀初頭にアステカ帝国が滅びると、スペイン人により湖は埋め立てられ、コロニアル様式の華麗な町並みが形成。そのためメキシコ・シティの地下には今も神殿や遺構が眠り、「大航海時代の光と影」がリアルに体感できます。2026年といえば、メキシコ・シティがFIFAワールドカップ開幕戦の舞台に! そんな記念すべき年に、メキシコ・シティの魅力を発見する旅へ出かけてみませんか?
メキシコ・シティは、首都圏人口が2300万人以上を超える世界有数の大都市。歴史地区、ルイス・バラガン邸、メキシコ自治大学などの世界遺産が点在し、歴史と文化が融合した魅力的なスポットがめじろ押しです。
中心部で訪問したいのがチャプルテペック公園(Bosque de Chapultepec)。アステカの王たちが別邸を構え、後にスペイン総督が城を築いた歴史的な聖地で、今は博物館やテーマパークが並ぶ市民の憩いの場となっています。特に、国立人類学博物館(Museo Nacional de Antropología)はアステカ文明やマヤ文明などの貴重な遺物を展示した世界屈指の巨大ミュージアム。直径3.6mの「太陽の石(アステカ・カレンダー)」を筆頭に、ジャガーや鷲の戦士の装束など帝国の栄華を俯瞰できます。
また、メキシコ・シティはグルメの都としても有名。フーディー注目の最新ダイニングから屋台のタコスまで、町なかに絶品料理があふれています。カンティーナ(Cantina)と呼ばれるメキシコの居酒屋で、テキーラやビールで地元の人々と陽気に過ごすのもおすすめです。
メキシコ・シティ歴史地区(Centro Histórico)の地下からアステカ帝国の神殿遺構が発見されたのは約50年前のこと。1978年の電力工事で巨大な円板が出土し、発掘プロジェクトにより現代へとよみがえったのがテンプロ・マヨール(大神殿)。雨の神や太陽の神を祀り、高さ45mを誇ったアステカの宗教中心地は、現在は基壇のみが残っています。
人間の心臓を捧げたとされるチャック・モールの石像やドクロが彫られた祭壇などを、通路からじっくり見学してみましょう。アステカの祭器や神像、女神トラルテクトリの石板など、考古学博物館の展示も大迫力です。
テンプロ・マヨールの詳細情報
かつてメキシコ・シティの大部分は湖に覆われていました。ソチミルコはアステカ時代の「チナンパ(浮畑)」農業が今も続く運河地区で、世界遺産にも登録されています。
メキシコ・シティの南部に位置しており、小舟での水路巡りはローカルに大人気のアトラクション。船着場の周辺にはレストランが並び、運河にはカラフルに装飾された小舟「トラヒネラ(Trajinera)」が係留されています。最大20人乗船可能ですが、料金は1隻あたりなので、人数が多いほど割安。時間や人数に応じての交渉にも応じてもらえます。小舟にはマリアッチやマリンバの生演奏隊を乗せることもでき、1曲あたり200メキシコ・ペソ程度でリクエストもOK。波のない穏やかな運河で聴く生演奏は、メキシコ情緒たっぷりです。
ソチミルコの詳細情報
メキシコ・シティから50km北東にある、紀元前2世紀から6世紀にかけて栄えた古代遺跡。すでに廃墟となっていた宗教都市を13世紀にアステカ人が見つけ、テオティワカン(神々の住む場所)と名付けました。都市は「死者の道」を軸に碁盤の目のように整然と広がり、高度な数学や天文学の知識に基づいて建設されています。そのため、アステカ人からも崇拝の対象となっていました。太陽のピラミッドや月のピラミッドを間近に眺めると、アステカ人が受け継いだ宇宙観を実感できます。
メキシコ・シティから、遺跡への現地発ツアーが多数催行されています。熱気球に乗って、早朝に遺跡を上空から一望するツアーに参加してみてはいかがでしょうか?
テオティワカンの詳細情報
タコスは、約6000年前にメキシコ先住民が畑作業の合間に食べていた食事がルーツ。肉や魚をトルティージャで包むだけの素朴な料理ですが、生地とサルサの絶妙なハーモニーで太古から愛されてきました。アステカ神話でもトルティージャの材料となるトウモロコシは生命の源とされています。
近年は「グルメタコス」と呼ばれる、こだわりの食材を使ったタコス料理が大人気。Taqueria(屋台)と名乗りながら、レストランのような店舗も増えています。なかでも注目は、2024年メキシコ版ミシュランガイドで、タコス屋台として唯一星を獲得した「エルカリファ・デ・レオン」。立ち食いスタイルの店ですが、星獲得以来いつも長蛇の行列ができているので、数時間は並ぶ覚悟で訪れましょう。
エルカリファ・デ・レオンの詳細情報
アステカ・スタジアムは、サッカー史における特別な存在。1968年に開催されたメキシコ・シティ五輪では、日本代表が地元のメキシコ代表と3位決定戦で対戦。釜本邦茂の2ゴールで勝利し、銅メダル獲得のニュースは世界を驚かせました。また、1970年にはペレ率いるブラジル代表がワールドカップで3度目の優勝を果たし、1986年にはマラドーナの「神の手ゴール」や「5人抜きドリブル」などの伝説的なプレーが生まれました。
そんな記録にも記憶にも残る夢舞台で、2026年FIFAワールドカップのオープニングマッチが開催されます。果たしてどんな名場面が繰り広げられるのか、サッカーファンなら今からワクワクしているでしょう。メキシコ代表の登場が確定している開幕戦チケットの確保は厳しそうですが、パブリックビューイングや現地のスポーツバーで盛り上がるのも楽しいはず。ワールドカップ期間中、開催地はどこもお祭りムードで特別な高揚感に包まれます。世界各国から集まるサポーターと一緒に、歴史的瞬間をライブ体験しましょう。
アステカ・スタジアムの詳細情報
アステカ・スタジアムは2025年3月から銀行がネーミングライツを取得し、「エスタディオ・バノルテ」へ改称されました。また、ワールドカップ開催期間中は「エスタディオ・シウダ・デ・メヒコ」と都市名で称されますが、いずれにせよ現地ではアステカの呼び名が通じやすいです。
サッカーのメキシコ代表はエルトリ(三色旗)の愛称で親しまれており、エンブレムはアステカの守護神である鷲がモチーフとなっています。
推薦者:小高雅彦(地球の歩き方メキシコ編 編集担当)