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2025.9.11
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乗り物好きは必見! ロンドン交通博物館は、その名の通りロンドンの交通にまつわるあらゆるものが展示されている施設です。複数の地下鉄の駅やバス停からのアクセスが良い上に、展示は全て屋内で完結するので、雨天の日のアクティビティとしてもおすすめです。あっという間に1日が過ぎてしまうくらい見どころが豊富にありますが、特に印象的だった箇所をピックアップして紹介します。
こちらの施設は順路としてまず最上階にエレベーターで上がり、そこから1階ずつ降りながらまわるようデザインされています。
エレベーターに乗るとアナウンスが流れ、過去への旅へといざなわれます。その演出が遊園地でアトラクションに乗る前の仕掛けのようで、「楽しい時間の幕開けだ!」と親子共にワクワクした気持ちになりました。テンションが上がったところでエレベーターを降りてまず驚いたのがHorse Tram(馬に引かせる路面電車)の展示です。かつて実際に使用されていたものを修復したという迫力満点の車両と馬の模型がフロアの中央に設置されており、乗客や乗務員のマネキンも乗せてあるので当時の様子がありありと想像できました。
息子もその大きさに興奮気味で馬車の周りを歩き回り、私は追いかけるのに大忙し! お陰で当日は解説まで詳しく読むことができませんでしたが、アメリカ生まれの馬車鉄道が1870年からロンドンにも導入され、レール上を走る為にそれ以前に普及していた馬車バスと同じ馬力でより多くの乗客を乗せられるようになったこと、また、そのことで運賃が下がり、より多くの人に公共交通機関の扉が開かれたことを後日ミュージアムガイドブックから学びました。そのほかにもこのフロアには、技術の進歩とともに変わってきた交通手段の変遷が肌で感じられる模型の数々が展示されています(西洋版の籠の模型もあり興味深かったです)。
階下に降りていくにつれて時代が進んでいきます。
世界初の地下鉄(ロンドンの地下鉄は円筒形のトンネルの中を通るのでTubeとよばれています)がどのような工事を経て生まれたか、といった土木系の切り口の展示もあれば、鉄道運行のためにそれぞれの形で携わる従業員に焦点を当てた展示もあり、さまざまなことに思いを馳せながらていねいに修復された車両や展示の数々を眺めているとワクワクと感動が止まりません。当日全てをまわりながら読むには展示の情報量が多いので、博物館のウェブサイト等で予習をしてから訪れるのもおすすめです。ウェブサイトから申し込める事前予約制の館外特別ツアーが開催される日もあるので、よりディープに学びたい大人の方はぜひ!
一方、文字が読めない幼い息子も体験型の展示をたっぷり満喫。特に2階建てバスの運行前試験の模型に釘付けになっていました。背の高い乗り物は乗客が上部に偏ると重心が高くなり転倒のリスクが高まりますが、乗客の安全を担保するため全ての2階建てバスは完成後に2階に錘を乗せた状態で傾ける試験(Tilt test)を行うそうです。これはそのミニチュア版の試験台の操作をする展示ですが、息子がまるで仕事に熱いエンジニアのような真剣な表情でボタンを繰り返し押下する姿がとにかく愛らしく、本人だけでなく親にとっても最高の思い出になりました。乗り物好きのお子さまにぜひおすすめです。
昼食やおやつをどうするかはよく頭を悩ませるポイントですが、ここでは自由に使える飲食スペースがあり大変重宝しました。持参したお弁当を食べるもよし、館内のカフェで買ったものを食べるもよし。子供用のハイチェアもいくつか置いてありました!
屋内遊具もあります。水陸の乗り物をテーマにした可愛らしいデザインで、2階建の広々としたつくりです。どの時間帯も、未就学児〜小学生くらいの年頃の子どもたちで大賑わい。子供が体を思い切り動かしたくなったら遊ばせられる場所があるのは有難いですよね。
そして、どのフロアにも子供の目線くらいの高さに展示された小型模型があったり、ゲーム感覚で触れられる展示があったりと、随所に幅広い来館者が楽しめるような工夫が施されていました。幼児から大人まで、そして初心者からマニアまで、幅広い層の来館者をもてなし楽しませてくれる懐の深さがこの施設の大きな魅力だと感じました。
ミュージアムショップも大人でも欲しくなってしまうような可愛いものから、ひねりの効いた面白いグッズ、子供が大好きな鉄道玩具や絵本まで、あらゆる乗り物にまつわる商品で溢れています。個人的には地下鉄のモケット(車両内の座面を覆っている生地。路線によって柄が異なります)柄の靴下がヒットでした! 実用性がありつつ知る人ぞ知るロンドンらしさ満点の面白さが、お土産としても喜ばれるのではないでしょうか。アクセス抜群の立地ですし、1日限りのチケットの販売がされておらずどなたも年間パスという形で入場券を購入する必要があるので、1日でギフトショップまでまわりきれなかった場合は別日にお買い物だけしに行くこともできます。
いかがでしたか。元々大の乗り物好き! という訳ではない私ですが、美しい展示の数々と博物館のホスピタリティを体験し、すっかりこの博物館のファンになってしまいました。ロンドンへお越しの際は、ぜひ足を運んでみてください。旅行中に何気なく利用する公共交通機関の成り立ちに触れることで、旅の面白みがグッと増すかもしれません!
▪️ロンドン交通博物館(London Transport Museum)
住所:Covent Garden Piazza London WC2E 7BB
営業時間:月〜日曜日10:00~18:00(最終入館17:00)
予約:要予約
入館料:Unlimited Annual Pass 大人£25.00※
※入館には「年間パス」の購入が必須です。年間パスには3種類あります。17歳以下は無料。詳しくはウェブサイトをご確認ください。
URL:https://www.ltmuseum.co.uk