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南オーストラリア州の州都アデレード。ワインとアートの街として知られるこの地には、もうひとつの名物があります。
それが「パイフローター(Pie Floater)」——豆のスープに浮かぶミートパイという、ちょっと不思議で、でも心温まる一皿です。
観光地のグルメでは味わえない、アデレードならではの食文化に触れてみませんか。
• 1860年代:アデレードの街に「パイ・カート(Pie Cart)」と呼ばれる屋台が登場。
• 1930年代:豆スープとミートパイの組み合わせが庶民の夜食として定着。
• 2003年:南オーストラリア州ナショナルトラストにより文化遺産として認定。
• 2007年:最後のパイ・カートが営業終了。現在はカフェやベーカリーで提供される。
この料理は、ただのローカルフードではありません。アデレードの夜の風景、働く人々の暮らし、そして地域の誇りが詰まった「食の記憶」なのです。
旅行者でも気軽に立ち寄れる、おすすめの店舗をご紹介します:
Bakery on O’Connell
24時間営業。クラシックなパイフローターが人気。スープというより濃厚なソースみたいな感じです。
Café de Vilis
南オーストラリアの老舗パイメーカー直営。豆スープが濃厚
※営業時間や提供状況は季節やイベントによって異なるため、事前の確認がおすすめです。
アデレードに暮らしていたのに、パイフローターを食べたことがなかった
そんな思いから、ある日の早朝、静かな時間に「Bakery on O’Connell」へ向かいました。
パン屋さんがあるノースアデレードは、高級住宅地として知られています。
その町中にある24時間営業のこのベーカリーは、地元の人々の生活に溶け込んだ場所のようで、観光地の華やかさとは違う、日常の温もりがありました。
カウンターでパイフローターを注文すると、パイの種類を聞かれたので、今回はミートパイをチョイス。
運ばれてきたのは、濃厚なグリーンピーススープに隠れたミートパイ。
スプーンを入れると、サクッとしたパイ生地の下から、しっかり味付けされたミンチが現れ、豆の自然な甘みと絶妙に絡み合います。
ほんのり酸味のあるトマトソースがスープと混ざり、寒い朝の空気にぴったりのボリューミーな一品に。
食べながら、ふと「これは地元の人の記憶の味なんだ」と思いました。観光客としてではなく、街の一部になったような感覚がありました。
アデレードの街を歩きながら、ふと立ち寄ったベーカリーで出会う一皿。
オーストラリアでも他の州ではないアデレードの味。
ぜひお試しください!