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【現地情報@シリコンバレー】ベイエリアのスターバックス大量閉店:なぜ、何が、どう変わるのか

かん

かん

特派員

更新日
2025年9月29日
公開日
2025年9月29日
Photo by Athar Khan on Unsplash(著作権フリー)
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ベイエリアでは43店舗が閉店に〜なぜ閉店が決断されるのか

©︎Photo by TR on Unsplash(著作権フリー)

「今日があそこの最終日なのよ。明日から、どこで朝コーヒーをすればいいのかしら?」

ジムで筆者が汗を流しているとき、ジムの後にジム近所のスターバックスで朝コーヒーの集いを楽しまれている会員のみなさんが相談し合う声が聞こえてきました。

この2025年9月、スターバックスは、利益が見込めない店舗や顧客サービス基準を満たしにくい店舗を見直し、閉店する事業計画を発表しました。

CNNによれば、閉店の判断要因として、以下のような点が挙げられています。

 

収益性・利益性:その店舗には十分な利益を上げられる見通しがない

契約・リース満了:その店舗の賃貸契約が終了するが、リースの更新をしない

顧客体験基準:その店舗の立地・施設・サービスが標準に達していない、もしくは到達困難か否か

経営資源の再配分:効率の良い店舗やあるいは成長可能性のある地域へ資源を注力したい


閉店と同時に、小売部門以外のオフィス部門約900名のレイオフも発表されています。

ベイエリアの閉店店舗リスト

KTVUによれば、ベイエリアでは 43店舗 が閉店対象となっています。(報道より一部抜粋):

地域  閉店予定のスターバックス店舗
バークレー 1799 Solano Ave
クパチーノ 22390 Homestead Rd
デールシティ 321 Gellert Blvd
ダンビル 11000 Crow Canyon Rd;398 Hartz Ave
エメリービル 3839 Emery St
フリーモント 38012 Mission Blvd;41093 Fremont Blvd
ハイウォード 799 A St
リバモア 223 S Vasco Rd;2550 Las Positas Rd;4521 Livermore Outlets Dr
ミルピタス 127 Ranch Drive
マウンテンビュー 1380 Pear Ave;2410 Charleston Ave
ナパ 1200 Lincoln Ave;1340 Trancas St;3350 California Blvd
オークランド 200 Broadway;3013 Broadway Ave;470 Lake Park Ave
ペタルーマ 125 Petaluma Blvd North
プレザントヒル 1900 Contra Costa Blvd
レドウッドシティ 2227 Broadway
サンフランシスコ 1501 Fillmore St;350 Rhode Island;4094 18th St;44 Montgomery St;462 Powell St;49 Jefferson St;689 Townsend
サンノゼ 125 Bernal Rd;1574 Bascom Ave;1600 Saratoga Ave;1847 E. Capital Expy.; 670 River Oaks Pkwy
サンマテオ 1391 Saratoga Dr.
サンラモン 6000 Bollinger Canyon Rd
サンタクララ 2401 Agnew Dr.
サンタローザ 2755 Yulupa Ave
セバストポル 801 Gravenstein Hwy
バレホ 4300 Sonoma Blvd
ウォルナットクリーク 1601 Mt. Diablo

出典:上記は報道されたリストの一部を抜粋  KTVU FOX 2 San Francisco

ちなみに、筆者がジムで耳にした店舗は、クパティーノの22390 Homestead Rdの店舗でした。

閉店によって何が変わるか〜旅行者に影響すること

スターバックスは、日本でもその店舗を日本各地で幅広く展開しています。そのため、ベイエリアの旅行中の日本人とって、スターバックスはちょっと親しみのある、観光の合間に立ち寄ったり、無料Wi-Fiを使って休憩をすることができる旅行拠点にもなっているのではないでしょうか?

では、今回の閉店ラッシュによって、旅行者にはどんな影響が出るでしょうか?

1.利便性の低下
 観光やショッピング途中に「すぐ近くにある」便利さが減少します。特に観光客が多い サンフランシスコのユニオンスクエア周辺 では、閉店後に店舗数が減り、混雑する可能性があります。

2.混雑の増加
 閉店した店舗の利用者が近隣に流れるため、朝や午後の時間帯は行列が長くなるかもしれません。

3.街並みの変化
 空き店舗が増えることで、ショッピング街やダウンタウンの雰囲気も少し変わるかもしれません。

スターバックス利用者へのアドバイス

以前に何回かベイエリアに来た方は、「あそこに行けばスタバがあるから」と行動されることもあるかと思います。しかし、今回の閉店ラッシュで、そのお店が存在しないこともありえます。

そのため、次のような対応がおすすめです。

1.事前に最寄りの店舗を検索
Googleマップで「Starbucks」と検索すると、最新の営業店舗がすぐ確認できます。閉店予定地も表示されている場合があるので要チェックです。 

2.ローカルのカフェを探す

サンノゼやサンフランシスコには、ローカル系の魅力的なカフェ(Voyager Coffee Roaster、Philz Coffee、Bearfoot Cofee、Blue Bottle Coffee など)が、多数存在します。無料Wifiも提供されています。そんなベイエリアや米国ならではのカフェを楽しんでみませんか? 

3.混雑時間を避ける
会社勤めの方の出勤前や高校生の通学前の朝7〜9時、帰宅や下校時にあたる午後の3〜5時は特に混雑しやすいので、少し時間をずらすと利用をすると、快適に利用できます。

©︎Photo by Damiano Baschiera on Unsplash(著作権フリー)

スターバックスの構造改革とブライアン・ニッコーCEO

最後に、ビジネスに興味がある方向けに、CNN取材の今回のスターバックスの業績回復プランとブライアン・ニッコーCEOについて、ご紹介します。

【閉鎖・削減プランの概要】

1.店舗閉鎖: 北米の店舗の約1%(約400店舗)を閉鎖する。対象となるのは、「顧客と従業員が期待する環境を提供できない」、または「採算が取れていない」と判断された店舗。

2.人員削減: 900人の非小売部門(本社など)の従業員を削減する(2月の1,100人に続く措置)。

 

【業績悪化の背景】

1.消費者行動の変化: コロナ禍以降、消費者が都市中心部から離れたことで、対象エリアの来店客数が減少した。

2.競争の激化: 独立系カフェ(Blank Street Coffee、Blue Bottleなど)や、ドライブスルー形式のチェーン(Dutch Brosなど)との競争が激化している。

3.価格高騰への抵抗: 1,600人の消費者調査で70%以上が、高価格を理由に今後スターバックスの利用を減らすと回答しており、特に年収10万ドル未満の層で顕著である。

4.既存店売上の低迷: 既存店(1年以上営業している店舗)の売上高は6四半期連続で減少している。

 

【CEOによる改革〜Back to Starbucksプラン】

1.「サードプレイス」への回帰: ブライアン・ニッコー(Brian Niccol)CEOは、モバイルオーダーに偏りすぎた戦略を見直し、家庭と職場の間の「サードプレイス」としての居心地の良さを取り戻す。

2.具体的な施策:

・バリスタによるカップへの手書きメッセージ(Doodling)の復活。

・セルフサービスのミルク・砂糖ステーションの再導入。

・フード・ドリンクメニューの約30%削減。

・非顧客へのトイレ開放ポリシーの終了。

・店舗改修への投資: 顧客に座ってコーヒーを楽しんでもらうため、今後1年間で1,000店舗(米国直営店の10%)を椅子、ソファ、電源などを備えたデザインに改修する。

このブライアン・ニッコー氏は、業績不振のブランドを立て直す再生請負人(ターンアラウンド・スペシャリスト)として著名な方。
スターバックスCEOに就任する前は、アメリカのファストフードチェーンのチポトレ(Chipotle Mexican Grill)の収益と利益を倍増させて株価を高騰させたり、タコベル(Taco Bell)ブランドを若返らせて成長を牽引したり、と、大きな成功を収めたそう。
今回はその手腕を期待されて、2024年9月に、業績低迷と戦略的な迷走が続いていたスターバックスCEOに就任されたそうです。

世界を跨ぐスターバックス

©︎Photo by AK on Unsplash(著作権フリー)

イギリスの経済誌『エコノミスト』は、各国の購買力を測るための指数として、スターバックスのトールサイズのラテ価格を比較したトール・ラテ指数をビッグマック指数といっしょに発表しています。

それは、スターバックスのトール・ラテは世界各地で販売されているのて、その価格で各国の通貨の購買力の算出基準にしている、ということ。道理で、この夏、筆者が欧州を旅行したとき、イギリスやデンマーク、ドイツなどで、マクドナルド同様にスターバックスを見かけることが多かったわけです。

米国のスターバックスは日本のスターバックスと、ドリンクもフードもメニューが若干異なるのですが、イギリスやデンマーク、ドイツでも、やはり、地域性を反映したメニューになっていました。そして、スペースがゆったりとしていて、ソファや電源が充実している店舗もありました。

次回は、イギリスのスターバックスについて、ご紹介しますね☺

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