春日大社の凄いところ
春日大社では平成二十八年秋に第六十次式年造替(しきねんぞうたい)が行われ、回廊も本殿も鮮やかな色彩が蘇ったばかりなのでとても綺麗です。
式年造替というのはに簡単に解説しますと、神様のお住まいを修復することで、神様に気持ち良くお過ごしいただくという、常若(とこわか)の精神の表れです。そしてもう一つ神社の建築やご神宝などの工芸品を作る技術の伝承という大事な意味も持っています。
特別参拝をしていただくと、このように回廊の内側に入ることができます。おびただしい数の吊り燈籠がぶら下がっているこの回廊こそが春日大社の凄さを間近に見ることができる場所なのです。
一見すると朱が鮮やかな柱に目を奪われがちですが、よく見て頂くと連子窓が完全に平行四辺形になっています。つまりこの回廊が建てられている場所は、かなりの傾斜があることがお分かりいただけると思います。それでいてまったく段差を感じさせることない流れるような曲線を描く屋根が本当に美しいです。
本来ならば、まず平らに整地した場所へ建てそうなものですが、春日大社ではこの御蓋山(みかさやま)自体も御神体であるとされていることから、山を削ることなく社殿や回廊を建てられておられます。
創建は奈良時代に圧倒的な政治権力を持っていた藤原不比等(ふじわらのふひと)によるものですが、このような人物でさえ神様を敬うことを忘れないでいたことと同時に、当時の建築技術の水準の高さが分かる貴重な場所だと思います。
このように神様を敬い感謝することで国家安泰を願い、国造りをしてきた先人達の思いを今も受け継いでいるおかげで、鹿ちゃんたちも安心して暮らせる奈良があるのだと、つくづく感じさせられます。
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