1CHF=150円時代の今、旅行に必要な予算はいくらかかるの?

公開日 : 2022年12月12日
最終更新 :

物価が高いと言われるスイスですが、実際のところ食料品の価格や宿泊費、交通費などはどのくらいの金額なのでしょうか。旅行に必要と思われる金額をまとめてみました。

※文中のCHFは通貨単位スイスフランで1フラン=150円で日本円に換算しています。

目次

スイスの物価はもともと高いけど

ジュネーヴ州は最低時給を23CHFと定めている
ジュネーヴ州は最低時給を23CHFと定めている

スイスの平均年収は1000万円を超えるというデータがあります。日本は400万円という数字が出ていますので、年収ベースで計算すると所得差は2.5倍におよびます。スイスの最低時給額は全国的には導入されていませんが、最低時給を決めた州では21~23CHF(3150~3450円)と定められています。

人件費が高ければ物価も自然に高くなりますが、スイスでは消費税に当たる税率は食品には2.5%、宿泊費は3.7%と低い税率が適用されています。日本円換算したときに非常に高く感じられる現在の物価は、1CHF=150円(90年代が80円だったことを考えると隔世の感があります)という極端な円安の影響が最も大きいといえます。

‘22年9月に入り急激に円安が進んだ

‘22年9月中旬にかけてスイスフランも急激に上がりました。その後少し値を下げて、上下動を繰り返しています。取材時のホテル予約は万が一の事態に備え、一定期間までキャンセル料がかからず、チェックインの1週間ほど前に支払い可能な決済方法を選んでいましたが、裏目に出てしまいました。

‘22年8月5日予約時の日本円換算金額と実際の支払い金額

ベルン:バスルーム共用アパート2泊 226.6CHF 日本円換算 3万1516円→3万4754円(9月9日決済)
サン・モリッツ:3つ星ホテル2泊 220CHF日本円換算 3万598円→3万3935円(9月16日決済)
チューリヒ:2つ星ホテル3泊 392.5CHF 日本円換算5万4589円→5万9644円(9月24日決済)

スイスフランの為替レートですが、‘13年から急激に上がり、その後少し落ち着いていたものの、‘15年に金融政策を変更し1ユーロ=1.2CHF上限の制限を撤廃したため、スイスフランが高騰し金融市場が大きく混乱しました。

‘22年のロシアによるウクライナ侵攻以降、スイスフランは急激に値を上げ、3月には125円程度だった対円レートが10月には150円を超えています。現在の状況では、円高にふれる可能性は低いので、1CHF=150円近い円安のレートが続くと考えておいたほうがいいでしょう。

宿泊費はどのくらい?

取材中最も安かった宿でも、朝食込み1泊の宿泊費は96CHF(1万4400円)だった
取材中最も安かった宿でも、朝食込み1泊の宿泊費は96CHF(1万4400円)だった

都市部と山岳リゾートで相場は異なります。シャワー・トイレ付きのひと部屋あたりの料金相場は以下のとおりです。都市部のホテルの場合、土・日の宿泊費は2~3割安くなります。お店が閉まってしまうので買い物は楽しめませんが、美術館や博物館は開館しています。

都市部のホテル代:シングル150CHF(2万2500円)から、ダブル200CHF(3万円)から、
山岳リゾートのホテル代:シングル100CHF(1万5000円)から、ダブル150CHF(2万2500円)から、

スイスのユースホステルは清潔で安心して利用できる
スイスのユースホステルは清潔で安心して利用できる

とにかく割安に 、ということであればドミトリーの利用が現実的です。相場としては4人または6人部屋利用でひとり40~60CHF(6000~9000円)です。相部屋でも現在の円安では格安料金にはなりません。

個室でもバス・トイレ共用なら安いのではないかと思われるかもしれませんが、物件が案外少なく、相場も100CHF(1万5000円)未満という程度ですので、それほど割安にはなりません。ユースホステルの1~2人で使える個室は部屋数が少ないので、ハイシーズンは予約困難です。ユースホステルの個室は1泊1部屋100CHFを超えますが、都市部ならかなりお得な料金ですので、都市に滞在する予定があるなら真っ先にユースホステルの個室を探してみてもいいかもしれません。

食費の相場は?

チューリヒの2つ星ホテルの朝食は別料金だが10CHF(1500円)と割安だった
チューリヒの2つ星ホテルの朝食は別料金だが10CHF(1500円)と割安だった

朝食は宿泊費込みにしているホテルが多いですが、別料金の場合は12~25CHF(1800~3750円)といったところです。4つ星以上のホテルになるとベーコンやソーセージ、スクランブルエッグなど温かい料理も提供されます。

どこにでもあり価格も安い料理のひとつ、レシュティ(スイス風ハッシュドポテト)を添えた白ソーセージ。スイスの名物料理のひとつだ
どこにでもあり価格も安い料理のひとつ、レシュティ(スイス風ハッシュドポテト)を添えた白ソーセージ。スイスの名物料理のひとつだ

昼食はレストランで定食を提供している場合、20~30CHF(3000~4500円)くらいです。お店によって異なりますが、この価格で前菜(スープかサラダ)とメインの料理、サービスがいい店ではさらにデザートと食後の飲み物(コーヒー、紅茶)が付きます。

チューリヒの老舗レストランで食べた豚肉のクリーム煮込みは27CHF(4050円)。肉料理の値段としては割安で、付け合わせのレシュティも絶品。満足のひと皿だった
チューリヒの老舗レストランで食べた豚肉のクリーム煮込みは27CHF(4050円)。肉料理の値段としては割安で、付け合わせのレシュティも絶品。満足のひと皿だった

夕食をレストランで食べる場合は、サラダやスープが8~12CHF(1200~1800円)、メイン料理は20CHF(3000円)以上で、肉や魚の料理は30CHF(4500円)を超えます。デザートはアイスやシャーベットなどは10CHF(1500円)未満ですが、ケーキやチーズ盛り合わせなどは12CHF(1800円)以上が相場です。

ドリンク類はコーヒーや紅茶で4~6CHF(600~900円)。ビール330mlで5CHF(750円)以上、ワイン100mlで8CHF(1200円)以上とお酒はそれほど高くありません。ジュース類の値段はビールとほぼ同じ5CHF(750円)程度です。

スーパー活用で食費はどのくらい節約できる?

テイクアウト用食品を扱うコープ系列のお店。ドリンク類はスーパーで買うよりも少し高めの値付け
テイクアウト用食品を扱うコープ系列のお店。ドリンク類はスーパーで買うよりも少し高めの値付け

スーパーや駅のテイクアウトのサンドイッチは、三角パックのサンドイッチで3~5CHF(450~750円)、バゲットは6~9CHF(900~1350円)です。ドリンク類はスーパーでの価格は1.4CHF(約200円)からですが、KIOSKやテイクアウト店で購入すると3倍くらいの価格で売られています。

サラダパックはひとりで食べるには少し多めの量だ
サラダパックはひとりで食べるには少し多めの量だ

スーパーのお惣菜は肉料理で6CHF(900円)から、生野菜サラダのパックが4CHF(600円)から、マヨネーズ和えのパスタサラダなどは1パック2CHF(300円)からです。スーパーで売られているアルコール類は500mlのビールが1本2CHF(300円)前後、フルボトルのワインは10CHF(1500円)からで、イタリアやフランスのワインもこのくらいの価格で購入できます。

昼食はサンドイッチに、夕食はお惣菜とワインなどにすればレストランで食べる際の半額以下に抑えることができますが、景色のいいレストランで名物料理を食べてゆったり過ごす時間は、旅の大きな楽しみになります。スーパーの食品は金額では最安値に抑えることができますが、満足度との兼ね合いでは必ずしもおすすめできるものではありません。おいしいものを食べて幸せを感じる人は、レストランも利用しましょう。

交通費はどのくらい?

ベルンはトラムとバスの利用が便利。町に宿泊するゲストは無料パスを利用できる
ベルンはトラムとバスの利用が便利。町に宿泊するゲストは無料パスを利用できる

市内交通は中心部エリアの1回券が2.5CHF(約400円)前後。中心部エリアの1日券が10CHF(1500円)前後で、広域の切符はその倍くらいの料金です。

氷河とマッターホルンを見ることができるゴルナーグラート展望台に上る登山鉄道の7~8月料金は往復126CHF(1万8900円)
氷河とマッターホルンを見ることができるゴルナーグラート展望台に上る登山鉄道の7~8月料金は往復126CHF(1万8900円)

営業距離の割に高額なのは登山鉄道で、麓駅から頂上までの往復で(片道は30分程度)、100~200CHF(1万5000円~3万円)かかります。山岳交通は全般的に高額で、ロープウェイなども往復で30CHF(4500円)を超えますが、乗り放題になるパスも販売されています。ハイキングよりも展望台巡りをメインにするなら、パスを活用するといいでしょう。

ベルニナ・エクスプレスはイタリアに入ると路面電車のように町なかを走り抜ける区間がある
ベルニナ・エクスプレスはイタリアに入ると路面電車のように町なかを走り抜ける区間がある

人気のパノラマ列車は、サン・モリッツとツェルマットを結ぶグレッシャー・エクスプレスが片道で2等車201CHF(‘23年夏期料金、約3万円)、クールとティラーノを結ぶベルニナ・エクスプレスは片道2等車が99CHF(’23年夏期料金、約1万5000円)です。

スイスにはスイス・トラベルパスという乗り放題パスがあります。3日間から最大15日間まで使え、連続で使えるパスと1カ月の間に指定した日に使えるフレキシーパスとがあります。ツェルマットやサン・モリッツを訪れ、グレッシャー・エクスプレスに乗車するとすぐに元を取ることができますし、山岳交通の多くもこのパスを提示すれば半額で利用できます。移動距離が長い周遊旅で利用すればお得に利用できます。

SIMカードを現地で入手

SIMフリーの端末を持っている必要があり、自身でセッティングしなければならない可能性もありますが、現地でプリペイドSIMを入手すればデータ通信は1日あたり1.5~2CHF(225~300円)で利用できます。SIMカードの価格は20~25CHF(3000~3750円)程度で、20CHF(3000円)のクレジットが付与されていますので、データ通信だけであれば10~13日使えます。

必要なものは持っていきましょう

スイスでもさまざまなものが売られています。しかし単価は日本に比べ高いものが多く、ティッシュペーパー(100組で375円)や単三電池(4本で743円)なども日本に比べ高額です。スイスで現地調達を考えているものがあるなら、日本から持っていきましょう。現地の高価な物品を購入しなければ、現地費用を削る以上に節約できます。

筆者

地球の歩き方スイス記者

小山田 浩明

写真撮影の現場キャリアは30年以上で、リバーサルフィルムの時代から一眼レフで撮影しています。世界にはまだまだこんな場所がある、という感動をお伝えできればと思います。

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