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4月17日に、丸の内TOEI(東京)にて行われた『オールド・フォックス 11歳の選択』舞台挨拶付き特別試写会。舞台挨拶には、シャオ・ヤーチュエン監督が、本作で台湾映画初出演となった門脇麦さんとともに登壇し、舞台裏のエピソードを聞かせてくれました。
まず気になったのは、シャオ監督が門脇さんを起用した理由。それには、彼が多くを学んだホウ・シャオシェン監督の影響があったようで、「以前、日本の俳優と仕事をした経験があるホウ監督から何度も『君も機会があったら日本の方と仕事したらいいよ』とすすめられたのがきっかけでした。それで、本作の出演者について考えているときに、Netflixで観た『浅草キッド』に出演していた(門脇)麦さんにお願いしたらどうだろうと。まなざしがすごい芝居をされているなと思ったので」と明かしました。
実際に門脇さんと仕事をしてみて、「麦さんは非常に正直な方なので好きでしたね。僕の作品でもすばらしいまなざしの演技をしていただいて。ファインダーを覗いていて、本当に美しいなと思いました」と絶賛。
シャオ監督に抜擢された門脇さんは、台湾での撮影を「幸せでした」と振り返ります。彼女が演じたのは、心に寂しさを抱える台湾マダムのヤン・ジュンメイ。門脇さんはこの役を演じるにあたって、「今回は80年代、90年代を生きた台湾の女性の役を演じたわけですが、役者というのはそういうもので、自分の想像だけでは越えられないけれど、その役の一番大切なエッセンスを自分なりに抽出して、自分とリンクさせれば何かが伝わる」と考えながら役に挑んだそう。
オール台湾人スタッフの中での撮影は言葉の面でも大変だったのかと思いきや、「不思議なことに、共通言語があるというか。目と目が合うだけで伝わるものがあって。言葉が伝わらないからこその、第五感、第六感でつながった感じがあるなと。監督やスタッフの皆さんに対しては勝手にそう思っていました」と門脇さん。
また、台湾と日本の撮影スタイルの違いについて、「1シーンにかけられる時間のかけ方が違いますね。食事にかける時間もしっかりとっていたし、ケータリングのごはんもあたたかかったので。そこが日本とまったく違っていて、驚きました」と話す門脇さん。対して、シャオ監督は「自分としては正直、いつも通りに撮っていたので、わざと遅く撮ったわけではないんです。ただ出演者の麦さんが気持ちよく出てもらえたならよかった」と安堵の表情を見せました。
舞台挨拶の最後には、門脇さんから「主演のバイ・ルンインくんとリウさんがとても魅力的であったかくて。この映画とストーリーを支えているまなざしと輝きが堪能できると思います。そして、監督の一人ひとりに対しての掘り下げ方やあったかくて広くて深いまなざしにわたしはすごく救われました。日本の映画館で観られるのは貴重な機会だと思うので、多くの方に観ていただけたらと思います」とメッセージが。
シャオ監督も、「人の気持ちを察することができる能力は本来、先天的に人間に備わっている能力だと思うので、どうかそれがなくならない世の中になればと思ってます。この映画は選択をテーマにしている映画ですから皆さんに気に入ってもらえたら」と呼びかけました。