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雄大な自然と洗練された都市が共存する“ネイチャー・シティ”、シアトル。コンパクトな町並みのなかに海、森、山のすべてが息づき、自然を身近に感じながら町歩きやアクティビティを思い切り楽しむことができます。また、全米トップクラスの“グルメ都市”でもあり、“食”を目的に訪れる人もいるほど。ワインやクラフトビールでも有名で、コーヒー文化の発信地としても知られています。
アメリカ西海岸の北西部に位置するワシントン州最大の都市、シアトル。高層ビルが立ち並ぶ都会でありながら、どこにいても自然を感じられる——。それが、この町の魅力です。約28%が樹木に覆われ、“エメラルド・シティ”と称されるほど緑豊かな環境。遠くには雪をいただくマウント・レーニアがそびえ、ダウンタウンのビル群の合間からもその雄姿を望めます。
西には200マイルにわたって海岸線が続き、その先にはフェリーやクルーズ船が行き交うピュージェット湾が広がっています。湾に面したディスカバリー・パークは森林や草原、ビーチなど擁する266ヘクタールもの広大な公園で、海風を感じながらハイキングやバードウオッチングを楽しむことも。トレイルを進んだ先、西端に立つ白い灯台ウエストポイントライトハウスは、フォトスポットとしても人気です。
町のほぼ中心に位置する湖、レイク・ユニオンの北に広がるガスワークスパークは、かつて石炭ガス化工場地だった場所を再生したユニークな公園。青々とした芝生の一角に、植物が絡みつく巨大なガスタンクがオブジェのようにたたずみ、産業遺産とデザインが融合した象徴的なスポットとなっています。ここから湖越しに見るダウンタウンの景観は絶景。特に、夕暮れ時の美しさはひと際です。
シアトル中心部は、自然に寄り添うようにコンパクトにまとまっており、徒歩移動にも最適。ホテルも数多くあり、中心部に滞在しながら観光名所を歩いて巡ることができます。さらにバスやリンクライトレール(電車)、モノレール、路面電車などの公共交通機関も充実しているので、市内のちょっとした移動や郊外へのアクセスもスムーズです。
シアトル随一の観光名所といえば、100年以上の歴史を誇るパイク・プレイス・マーケット。500を超える店舗が軒を連ね、新鮮な魚介や野菜、花、アート雑貨などが並びます。名物の“魚投げ”パフォーマンスで知られる魚市場や今や世界に知られるスターバックス1号店もここに。地元食材を巡るフードツアーも人気です。
ダウンタウンの北に広がるシアトル・センターは、1962年の万博博覧会を機に整備された文化・観光・レクリエーションが集まるカルチャーゾーン。ガラス作家デイル・チフーリによる色鮮やかな作品な並ぶギャラリー&庭園「チフーリ・ガーデン・アンド・ガラス」、ポップカルチャーをテーマにした体験型博物館「ミュージアム・オブ・ポップカルチャー(MoPop)」、劇場、公園、アリーナなどが点在し、年間を通じてさまざまなイベントが開催されています。
シアトル・センターの一角にそびえるスペースニードルは、町の象徴ともいうべき存在。独特の形状が印象的な高さ184mの塔で、展望台から市街はもちろん、天気がよければオリンピック山脈やピージェット湾、海に浮かぶ島々を見渡すことができます。展望台は2層になっていて、上層デッキには開放的なオープンエアの空間も。下層デッキは世界で唯一、床のほぼ全面がガラス張りになった回転式フロアになっていて、そこから見下ろす光景は圧巻です。下層デッキにはバーがあり、カクテルや軽食を楽しみながら360度のシアトルの景観を楽しむこともできます。
水族館や大観覧車などの観光名所が集まるウオーターフロントへの移動もスムーズ。パイク・プレイス・マーケットから続く遊歩道オーバールック・ウオークが誕生したことで、ダウンタウンとの行き来がとても楽になりました。2024年にはシアトル水族館の新館オーシャン・パビリオンもオープンし、その立体的展示が話題となっています。
海沿いには人気シーフードレストランが点在し、新鮮なオイスターやカニを堪能することも! 観光クルーズ「Argosy Cruises」の拠点でもあり、フェリーで穏やかな時間が流れるベインブリッジ島や海軍の町として知られるブレマートンなどへ足を延ばすこともできます。また、FRSクリッパー号でホエールウオッチングツアーに繰り出すことも。地域の生態系について学びながら、クジラをはじめ、シャチやアザラシなどが生息するエリオット湾へと向かいます。
都会にいながらにして、大自然を舞台としたアクティビティの数々が楽しめるのもシアトルの魅力。レイク・ユニオンではボートやセーリング、パドルボードなどのほか、湖上に浮いたサウナやボートが湯船になったホット・タブ・ボートを楽しむことも! 西シアトルのアルカイ・ビーチから海原へと繰り出す、カヤックツアーなども人気です。
また、最近話題となっているのが、トロール・ハンティング。ピュージェット湾沿いに広がるリンカーン・パークやベインブリッジ島などに出現した、再生木材で作られた巨大トロールを見つけるという宝探しのような体験で、アートと自然の両方が楽しめます。
少し足を延ばせば、3つの国立公園へ日帰りで行くことも! 雄大なマウント・レーニアのふもとに広がるマウント・レーニア国立公園、海と原生林が共存するオリンピック国立公園、ドラマチックな山岳風景が広がるノースカスケード国立公園と、いずれも一度は訪れたい場所です。
シアトルは海の幸の宝庫。近海やピュージェット湾で獲れる新鮮なサーモンやオイスター、カニなどが名物です。「ファームトゥテーブル」と呼ばれる新鮮な地元の農産物を生かした料理も豊富で、自然の恵みを五感で楽しめます。毎年春にはアメリカ最大の単一地域ワイン&フードフェスティバル「テイスト・ワシントン」も開催され、多くの人々でにぎわいます。
シアトルを擁するワシントン州は、実はカリフォルニアに次ぎ、全米第2位のワイン生産地。町なかにワイナリーもあり、気軽にテイスティングが楽しめます。さらに中心部から車で30分ほど足を延ばせば、ワインカントリーとして知られるウッディンビルへ行くことも。130以上のワイナリーが集まっており、試飲をはじめ、ワインを片手にピクニックや野外コンサートなど、さまざまな体験が楽しめます。
シアトルから日帰りで訪れるのもいいですが、ゆったり過ごしたい場合はウッディンビルに滞在するのもおすすめ。2025年9月にはワインとウェルネスをコンセプトにしたブティックホテル、ザ・ソム・ホテル&スパもオープンし、話題を集めています。
さらにワシントン州は全米最大のホップの産地であり、シアトルにもクラフトビールのブルワリーが70以上点在しています。なかでもディスカバリー・パークの北に広がるバラード地区には徒歩圏内に10軒もの個性豊かな醸造所が集まっており、味比べが楽しめます。
また、シアトルは日本でも人気のスターバックスやタリーズ発祥の地として知られるように、コーヒー文化が深く根付いた町。地元発の名店が数多く、“ウェルネス×コーヒー”をテーマにした新しいスタイルのショップも生まれています。
「ネイチャー・シティ」と称されるように、あらゆる場面に自然が溶け込んだ美しい都市シアトル。町歩きも楽しく、グルメ、アクティビティに事欠きません。2026年のFIFAワールドカップ™では、アメリカ、カナダ、メキシコの15都市と共に開催地となっており、ダウンタウン南部のシアトル・スタジアム(ルーメン・フィールド)を舞台に全6試合が行われる予定。シアトル・センターに1万5000人~3万人のファンが集って開催されるファン・セレブレーションをはじめ、大会関連のイベントも目白押しでますます多くを魅了しそうです。