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夏のイベントSFマラソンが行われた週末のピア17付近にアメリカ沿岸警備隊の訓練帆船「USCGCイーグル」が寄港しました。3本マストの優美な船の寄港情報を聞きつけた”お船オタク?”がエクスポリウム脇の細い桟橋に集結。ウッディでクラシカルな船にうっとりしつつも実はエッ!という意外な歴史があることを知りました。
前日に一般公開の情報を知ったのですが、ピア17付近が接岸場所。いつものピア30/32ではないか?と念の為そちらに向かいましたが、影もなく…。当日エクスプロラトリアムに向かったら、果たして3本マストがビルの間から見えるではありませんか!数年前に寄港した、海の貴婦人・海王丸の優美な姿を思い出しながら最前列で見物。停泊中に掲げる旗を取り付け、食材搬入中で、まさに今さっき接岸した模様でした。
先ほどまでのグレーの雲は徐々に青空になりカラフルに旗めく様子は帆船フリークにはたまりません。
常勤乗組員約60名+今回の実習生(士官候補生)60名。コーストガード独自の海上での指揮、帆を操作し、天測航法を学び、大自然と向き合う経験は、GPSや自動操船システム”ハイテク慣れ”した彼らにとってかけがえのない体験ですよね。5月にサンフランシスコに寄稿した海上自衛隊の「いつくしま」と同じ目的の訓練船→あの時コーストガードさん達がお出迎えに来てくれていたのは仲間が日本から来てくれたという歓迎の意味でもあります。
訓練生達、実践訓練に明け暮れる日々の束の間の休息の日の一般公開。待ちかねた方達へ一所懸命説明をしてくれていました。一周30分ほどの見学時間でしたが、一つん十万円の滑車や手入れの行き届いた木製の手すりやアンティークなデッキは伝統の重みを静かに語っていて、船っていいなと素直に感じた瞬間でした。
イーグルは、1936年にドイツのハンブルクにあるブロム+ヴォス造船所( Blohm+Voss Shipyard)で建造され「ホルスト・ヴェッセル(Horst Wassel)」と命名されました。第二次世界大戦前のドイツ海軍が運航していた3隻の帆船訓練船の1隻でした。ドイツ海軍の若き士官たちは、この帆船で航海術と規律を学んだのです。
1945年第二次世界大戦が終結すると、連合国の戦勝国は戦争賠償として3隻のドイツ船をそれぞれ接収しました。
▪️ゴルヒ・フォック(GorchFock)は、トヴァリッシュ(Tovarish)に改名しソビエト連邦へ。
▪️アルバート・レオ・シュラーゲター(Albert Leo Schloger)はブラジルに渡り、後にポルトガルに売却され、サグレスII( SagresⅡ)と改名されました。
▪️ホルスト・ヴェッセルHorst Wasselはアメリカでイーグル(Eagle)と新しい名前が付けられ7番目のUSコーストガード艦艇となり、1946年にアメリカの船として再出発したのです。
どうですか。悪しき敵国の船が、いま自由の象徴として星条旗を掲げ、若き士官候補生たちを育てている。歴史の皮肉とはこうなのかと戦争と平和が交差するエピソードを知りました。品としていますが、20世紀の凄まじい激動をくぐり抜けたイーグルです。
次の寄港地はL.A.(8/1)。そしてサンディエゴ(8/8、8/15)です。機会があれば是非歴史あふれるイーグル見に行ってみてくださいね。
さて、子ども達にとっては楽しい夏休み!体験型の科学館がピア15にありますので、こちらもぜひぜひ。
■施設名:エクスプロラトリウム
住所: Pier 15 Embarcadero at, Green St, San Francisco, CA 94111
電話番号: 415-528-4444
オープン日時:毎日10:0017:00(日12:00〜、木は18:00〜もオープン)
入場料:$39.95