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歴史と豊かな自然が息づく、パプアニューギニアの秘境 ―― ココポ・ラバウル

JICA都市・地域開発グループ

JICA都市・地域開発グループ

国際協力機構

更新日
2025年11月27日
公開日
2025年11月27日

南太平洋に浮かぶパプアニューギニア。皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。なかでも、ニューブリテン島東部、東ニューブリテン州に位置するココポ・ラバウル地域は、戦争や文化の記憶、火山と海が織りなす大自然を肌で感じられる貴重な場所です。今回はココポ・ラバウル地域の歴史や自然に触れながら、JICAの取り組みについて紹介いたします。

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第二次世界大戦の舞台、ラバウル

ラバウル、と聞くと第二次世界大戦を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。かつてラバウルは、ドイツ、オーストラリア、日本と植民地時代を経て、第二次世界大戦時には日本軍の南太平洋最大の拠点となりました。漫画家・水木しげる氏が自身の壮絶な戦争体験を綴った『ラバウル戦記』からは、従軍中や戦後に記した現地の暮らしや自然の描写も読み取ることができます。ラバウルには、日本政府とパプアニューギニア政府が共同で建立した慰霊碑があり、日本からも多くの参拝者を迎えています。今も残る地下壕や、戦争の遺品、戦闘機などが陳列される歴史博物館は、平和の尊さを静かに教えてくれます。

戦争博物館にある戦車
南太平洋戦没者の碑、ラバウル湾を見下ろす台地に設置されている

火山とともに生きる街、そして州都移転

東ニューブリテン州の州都として栄えたラバウルは、何度も火山噴火の被害に見舞われてきましたが、なかでも1994年に発生したタブルブル火山とヴルカン火山の大噴火では壊滅的な被害を受けました。街は火山灰に覆われ、インフラや建物の多くが失われたため、州都はココポへと移転されました。現在のラバウルは、かつての繁栄の面影を残しつつも、火山の脅威と共存する独特の雰囲気を持つ街です。火山観光では、噴火口や火山灰に埋もれた建物跡を訪れ、自然の力と人間の歴史を感じることができます。

1994年、2006年、2014年に噴火したダブルブル火山

新しい州都とその魅力

ラバウルから車で約30分の距離にあるココポは、1994年の噴火後に州都として整備され、現在では東ニューブリテン州の政治・経済の中心地となっています。穏やかな海と豊かな自然に囲まれたこの街では、シュノーケリングやダイビングを通じて、サンゴ礁やイルカやウミガメなどの海洋生物と触れ合うことができます。地元のマーケットには豊かな果実や海産物、工芸品が並び、観光客を温かく迎えてくれます。

ボートに乗ると、イルカに遭遇
©︎istock ダイビングではウミガメと泳げることも
マーケットの様子。商品が多く活気にあふれている

より強く、豊かな地域へ

JICAは、ココポ・ラバウル地域において「ココポ・ラバウルにおけるインフラ開発計画策定プロジェクト」を実施してきました。この地域は、ココアやパーム油などの一次産品の輸出に依存しており、物流拠点としてのラバウル港やトクア空港の機能強化が急務です。また、火山や地震、津波などの自然災害リスクにも対応するため、災害に強い地域づくりが求められています。そのような課題を踏まえて、ココポ・ラバウル地域のインフラ開発計画をパプアニューギニア政府とともに策定しました。今後はこちらの計画に基づき、港や道路、空港などのインフラが整備され、産業の発展や、物流拠点、さらには観光地としての発展が期待されます。

2019年2月の豪雨による沿岸道路の土砂崩れ
2024年3月に開催した、インフラ開発計画策定プロジェクトを紹介するナショナルセミナー

ココポ・ラバウル地域への観光客は、オーストラリアなど周辺国からが多く、日本人にとってはまだまだ”秘境の地”といえるでしょう。日本との歴史や、手つかずの豊かな自然に会いに、ぜひ一度訪れてみませんか。

パプアニューギニアのなかで、ココポ~ラバウル周辺は比較的落ち着いた地域ではありますが、夜間のひとり歩きや貴重品の管理には十分注意が必要です。外務省の危険情報を確認のうえ、信頼できる現地ガイドを利用するなど、より安心して訪れることができるよう事前準備を行いましょう。

※2025年11月現在、パプアニューギニア全土にレベル1~2の危険情報が発出されています。渡航の際は、必ず最新情報を確認してください。

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