内容紹介
著者は、パン・アメリカン航空の黄金期に、国際線の客室乗務員として16年間を過ごした高橋文子。世界中を自分の庭のように飛び続け、「空の上」で出会った世界的な著名人たちとの想い出や良き時代のアメリカを背景に繰り広げられた夢のような歳月をいま振り返る。
詳細
著者は、パン・アメリカン航空の黄金期に、国際線の客室乗務員として16年間を過ごした高橋文子。世界中を自分の庭のように飛び続け、「空の上」で出会った世界的な著名人たちとの想い出や良き時代のアメリカを背景に繰り広げられた夢のような歳月を振り返る
空の帝国と呼ばれたパンナムに身を置いた私は、その華麗な全盛期を体験し、きりもみ状態で落下した衰退を見てきました。
当時、マリンブルーのマークのついたパンナム機はあらゆる空に飛んでいました。九つの緯度線の入った社章は、国境を越えた世界への、夢と希望のシンボルマークでした。空から見る地球に国境線はありません。私が飛んでいた16年間は、何の懸念もなく自由に羽ばたき開放感を味わっていたからでしょうか、世界中が自分の庭のように思えました。
SF映画『2001年 宇宙の旅』を超えて、パンナムでは宇宙旅行のチケットの販売もしていました。創業者が抱いていた夢――宇宙旅行の事業化を考えていたのです。そんな会社だったのです。
このパンナムが劇的な環境変化に抗しきれず、その大きな翼が傷つき、太平洋路線を手放してから30年以上も経っているので、若い方にはパンナムを知る人は少なくなりました。そこで、私の実体験からパンナムのクルーたちの話や関わる文化や歴史も含めたお話をしたいと思います。
翼を失いイカロスは天に召されました。体は太陽に焼かれましたが、果たして、心も溶けてしまったのでしょうか。より高く、より遠く――あの青空を越えた向こうに何があるのか知りたい。この希求は、今でも、誰の胸にも、あると私は思います。わたしが初めて見上げた青い空、先人たちの野心が拓いた青い空、そしていまもなお果てなくつながる青い空の旅をご堪能ください。
飛行中、少し揺れるところもあるかもしれませんので、シートベルトをしっかりお締めください。
目次より
・序章 スペース・オデッセイ
・第1章 初めて見上げた青い空
最もハンサムな乗客 深夜、ファーストクラスで 「コーヒー、紅茶、それとも私?」 1インチ足りない 金の翼と巨額の給料 息子の嫁に、と言ってくれた映画スター 素敵な日本人男性がついに ヨーコとジャッキー 裁きのスプーン ファーストクラスに社員がいっぱい ほか
・第2章 野心が拓いた青い空
航空郵便パイロット、25歳の初夏 マリリン・モンローのハネムーン トリップと米英二大巨頭 世界の空の王者 結婚か大学院か ジャンボ・ジェット B-747 羽織、袴の似合うあの人 戦争とパンナム ほか
・第3章 果てなくつながる青い空
魔法が解けたら アメリカ忍者が仕掛けた恋の術 きりもみ降下を止められるか? ラスト・フライト 飛んだ向こうを見ていた瞳 ほか
・終章 次代に向かって
・パンナム年表