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「マティス 自由なフォルム」が、2月14日~5月27日まで東京・六本木の国立新美術館で開催中です。日本初公開となる切り紙絵の大作『花と果実』や、実寸大で内部を再現したヴァンスのロザリオ礼拝堂の展示など、見どころをご紹介します。
アンリ・マティス(Henri Matisse、1869-1954)はフランス出身の芸術家で、「色彩の魔術師」と呼ばれるほど鮮やかな絵画が魅力的ですが、晩年は「切り紙絵」という技法で作品を制作したことで知られています。切り紙絵とは、色が塗られた紙をハサミで切り抜く技法で、晩年大病を患ってからマティスが精力的に取り組んでいました。
実はこの展覧会、本来は2020年に開催予定でしたが、新型コロナの影響により延期されていました。その間に行われた『花と果実』の修復などを経て、ようやく開催に至りました。
今回の展覧会では、ニース市マティス美術館から150点以上の作品やオブジェが来日。切り紙絵に焦点を当てた展示となっていて、マティス作品の変遷をたどるように「色彩の道」、「アトリエ」、「舞台装置から大型装飾へ」、「自由なフォルム」、「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」という5つのセクションで構成されています。
セクション4に展示されている『花と果実』は4.1m×8.7mもある切り紙絵の大作。スケールの大きさや色彩の鮮やかさに圧倒されます。通常はフランスにあるニース市マティス美術館のメインホールに飾られています。実は、この作品がニース市を出るのは今回が2回目で、日本に出展されるのは初めてのこと。間近で見られるとても貴重な機会です。
最後のセクション、「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」は、マティスが室内の装飾をデザインしたヴァンスのロザリオ礼拝堂の内部を、原寸大のスケールで再現しています。なんといっても、実際に作品の中に入ることができるところが魅力。
1日の光の移り変わりが再現され、3分の間に礼拝堂内部の1日の変化を体験できます。朝の光が差し込むと、ステンドグラスが色鮮やかに照らされ、床までも彩られます。そこからだんだんと暗くなっていき、光の変化とともに違った表情を見せます。
「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」にたどり着くまでにもたくさんの作品が並んでいます。マティスが20世紀前半に活躍した芸術家ということをつい忘れてしまうほど、色彩の表現が豊かで現代的。また、絵画だけでなく、衣装や銅像、壁面へ投影など多様な表現方法の作品を見ることができ、マティスの芸術をあらゆる角度から堪能できる内容になっています。
出口付近にはグッズ販売コーナーがあり、クリアファイル、ポストカード、マグカップなど、マティスの作品が描かれたグッズが種類豊富に展開されています。マティスの作品は色彩がとても美しいので、グッズをインテリアとして飾っておくのもおすすめです。