キーワードで検索
ホイアンの南西約40kmに位置するミーソン遺跡は、チャンパ王国の聖地だった場所。遺跡群は四方を山に囲まれ、北に聖山、マハーパルヴァタがそびえる盆地の中央にある。ここは王と一体化したシヴァ神などを祀るために多くのれんが建造物が造られた。4世紀後半、チャンパの王がシヴァ神を祀った木造の祠堂を創建したことに始まり、7世紀にはれんがを使って再建されている。現在は8世紀から13世紀末までに建てられた、70棟を超える遺構が草木に埋もれて残っている。
この遺跡の醍醐味は、遺跡の壁面を飾るチャンパの女神像や、あちこちに置かれた石像の彫像の逸品を探索できること。接着剤を使わず、すり合わせて造られたれんが建築の技術や、アーチを用いないで屋根を架ける構造などのチャンパ文化を心ゆくまで堪能したい。また、グループC、Dの一部の建築物が彫刻展示室にもなっている。一見無造作に置かれているが、どれもチャンパ芸術の一級品で、それらが間近で見られるのは貴重な体験になるだろう。自然崩壊に加え、一部の建物はベトナム戦争時には解放軍が基地として使用し、それを目標にアメリカ軍が空爆したため、かなり崩壊が進んでいる。しかし、草に埋もれた遺跡の中で、900年間チャンパ王国の聖地であり続けたミーソンの雰囲気は十分に感じ取れるはずだ。
1999年、ミーソン遺跡はユネスコの世界遺産に登録された。