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嵯峨野の奥には、二つの念仏寺があります。化野念仏寺と愛宕念仏寺。
建てられた時代も、歴史も違う二つの寺院ですが
どちらも美しい紅葉景色が広がっています。
まずは、化野(あだしの)念仏寺。
愛宕街道を鳥居本まで上って行く手前にあります。
「化野」は(あだしの)と読みます。あだしとは はかない、空しい・・と
言う無常の心が表されているそうです。
化野は平安京の時代、風葬の地でした。
惨状を見かねた空海が、ここに寺院として建てられて、平安時代以降の
墓地となっています。
苔の上の、散りもみじが美しいです。
紅葉の中、沢山の石仏が見えます。墓地中央は「西院の河原」。
夏の終わりの日の「千灯供養」では、蝋燭の灯りの中に
約八千体の石塔と石仏様が 浮かび上がっていました。
続いて嵯峨野の一番奥、清滝トンネル手前にある寺院、
愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)の紅葉風景。
千二百羅漢の寺とも言われています。
境内には、千二百の羅漢様。
嵯峨野の奥は山が近く、今の時期は四時過ぎたら
夕闇が迫って来ます。
紅葉の中の羅漢様。
泣いておられるのか。笑っておられるのか。
人は、泣きながら生まれる・・・そんな言葉も浮かんで来ます。
ここに流れる独特な時間。
冬から春・・春から夏・・そして秋。 今、木々は一年最後の彩りを見せています。
二つの念仏寺の石仏様と羅漢様は、静かに紅葉を眺めておられます。