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鷹ヶ峰の常照寺。常照寺の開基は琳派の祖と呼ばれる「本阿弥光悦」。
「都をば 花なき里になしにけり 吉野を死出の山に移して」 紹益。
この言葉は、豪商・灰屋紹益の言葉です。
色付き始めた参道を進むと、美しい朱塗りの山門に迎えられます。
「吉野門」と呼ばれるその山門は、天下の名妓・二代目吉野太夫が巨財を投じて寄進したものです。
二代目吉野太夫、23歳の寄贈でした。吉野太夫こと松田徳子は京都に生まれ、7歳で遊里に預けられました。
14歳で二代目吉野太夫の名跡を継ぎ、天下の名妓と賞賛される様になります。
全盛期の吉野太夫は井原西鶴の「好色一代男」に前代希代の遊女と記される程に、その美しさは
遠く中国まで伝わったそうです。美しい容姿と共に、茶湯や華道、香道、書、俳句、和歌、三味線、囲碁の
諸芸に秀で、情に厚く、品性を備えていたという逸話が残されています。
その後、26歳の時に豪商・灰屋紹益(はいやじょうえき)に身受けされ、結婚。
しかし・・・38歳という若さでこの世を去り、遺言によって常照寺本堂裏の墓地に葬られました。
悲しみに明け暮れた灰屋紹益は、その悲しみを詠んでいます。
それが・・参道入り口の言葉、「都をば 花なき里になしにけり 吉野を死出の山に移して」紹益。
境内に入ると、常照寺色と例えられる、美しいもみじの世界が広がっています。
竹林ともみじの世界。
鷹ヶ峰は朝晩冷え込む所。紅葉は日一日と進んで来ます。
これからの紅葉が楽しみです。
常照寺の五千坪にわたる広大な境内には、さまざまな花が咲きます。
春には染井吉野、しだれ桜、八重桜に山桜、椿に霧島ツツジ、
梅雨には、ガクアジサイやサツキ、夏には桔梗、白蓮、
秋には萩、ホトトギス、楓、冬には南天など・・・・。
常照寺は、毎年4月の第2日曜に、吉野太夫を偲ぶ「花供養」が営まれます。
「花供養」は歌人・吉井勇さんや俳優・大河内伝次郎さん達が発起人となって、昭和28年から始められました。
(写真は、2013年・春の「花供養」)
桜が舞う中、源光庵から常照寺まで、艶やかな衣装に身を包んだ島原太夫が太夫道中を繰り広げます。
かむろ(太夫に仕える少女)や傘持ちの男衆らを従え、内八文字という独特の歩き方で
常照寺の本堂へと向かいます。太夫道中の後、吉野太夫の墓前で舞を捧げ、境内では野点も行なわれます。
(写真は、2013年・春の「花供養」)
寺院裏手の白鳥池の水面には、色付き始めた紅葉が映っていました。
常照寺の紅葉の見頃は11月半ばから12月初旬ごろ。
境内では常照寺色と例えられる、色付きの異なる数種類のモミジが境内を染めます。
そして深秋には、散りもみじが、絨毯のように美しく地上で彩りを見せてくれます。
いよいよ、常照寺のもみじが、色付き始めます。
《常照寺》
○所 京都市北区鷹峰北鷹峰町45
○参拝料 300円
○時間 8:30~17:00
○アクセス 市バス「源光庵前」下車、徒歩約2分
○駐車場 有り