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凛とした白い世界。高桐院。

Akio

Akio

京都特派員

更新日
2015年1月4日
公開日
2015年1月4日
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雪景色の大徳寺・高桐院。

前回寄せて頂いたのは、11月の紅葉が始まる頃でした。

今は白い世界です。

参道も白い世界。

真っ直ぐに延びる参道は、約50m。

直線の参道の左右には楓の木々と竹林。

参道の竹の手すりは、高桐院でとれた孟宗(もうそう)竹。

高桐院は、戦国時代を生きた細川忠興と、その妻ガラシャが眠る

細川家の菩提寺。

高桐院の書院は、千利休の邸宅を移築したもの。

千利休は(1522年~1591年)、織田信長と豊臣秀吉に仕えて信頼を得ますが、

最後は秀吉の逆鱗に触れ、切腹を命じられています。

無駄な虚飾を避け、わびさびの世界を追求した利休と、桃山文化に見られる

絢爛豪華な世界を好んだ秀吉とでは、相容れないものがあったのかも知れませんが、

改めて戦国の厳しさを思います。

書院に入りました。

赤もうせんの向こうには、雪景色の楓の庭。

楓の庭には石も築山も白砂も池もなく、石燈篭が一基。

楓と竹林の潔い景色が広がります。

高桐院にはもう一基、灯篭があります。もう一基の灯籠は西の庭の奥にひっそりと佇んでいます。

この墓標の下には、細川忠興とガラシャ夫人が眠っています。

灯籠は、茶道の師匠である千利休の形見。

元々この灯篭は、利休の所有物でありましたが、秀吉に目を付けられます。

秀吉に渡したくない利休は、自ら灯籠の裏を砕き、「欠陥品を渡す事は出来ません」と断ります。

利休は切腹する際に、この灯籠を細川忠興に譲り、忠興も一部を砕き「無双」と銘を付けて

参勤交代の時にさえ携えたと言われています。

利休に対する敬意と共に、ガラシャ夫人と共に、この下で眠りたいと願う忠興の思いが伝わって来ます。

書院の初春を彩る盆栽に、見入ってしまいました。

高桐院は、参道から書院、

楓の庭から建物の隅々まで見事な設計に基づいて

作られています。

茶人・千利休の、素晴らしい感性が伺える世界。

利休が説いた茶道の心得は、「一期一会」。

『あなたとこうして出会っているこの時間は、

二度と巡っては来ない、たった一度きりのものです。

だから、この一瞬を大切に思い、

今出来る 最高のおもてなしをしましょう。』

高桐院は京都観光の中でも人気の寺院で、

年間約6万人が訪れる参拝者の1/3が、

11月の1ヶ月間に集中します。

冬の高桐院。

凛と冷え込んだ大気が、静寂と歴史を伝えてくれています。

こちらの詩は、柴山全慶老師の詩。

《花語らず》

「花は黙って咲き

黙って散ってゆく

そして再び枝に帰らない

けれどもその一時一処に

この世の総てを託している

一輪の花の声であり

一枝の花の真(まこと)である

永遠にほろびぬ生命の歓びが

悔いなくそこに輝いている」

雪の高桐院。

凛と冷え込む気温の中、美しい景色を頂きました。

《高桐院》

◎ 所 京都市北区紫野大徳寺町73-1

◎ アクセス 地下鉄北大路駅2番出口→徒歩15分。

市バス1・205・206系統で5分、バス停:大徳寺前下車、徒歩5分。

◎拝観 9~16時 400円

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