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秋が静かに進む嵯峨野・直指庵(じきしあん)。
前回、寄せて頂いた時は紫陽花咲く六月でした。
あれから夏が過ぎて、秋に入り・・
今は11月。
この日は平日でしたから、境内は僕一人でした。
耳には竹林を渡る風の音と、目には色付き始めたもみじが
迎えてくれました。
直指庵は、嵯峨野の中でも最も北の位置にあり、まさに
「庵」という名の通り静寂に包まれたお寺です。
直指庵を訪れる方は、一人旅の人が多いと聞きます。
人で賑わう嵐山から離れた北嵯峨の
大覚寺から更に奥に入った所に建つ直指庵。
書院の机にあるのは想い出草ノート。
ノートには、お参りに来られた方々の、様々な悩みが綴られています。
その数は、すでに5000冊以上。
今も日々、新しいぺージが更新されています。
人生は、振り返ると眩しくも感じますが、
悩みや難題に直面する事も多いです。
直指庵は、日常に埋没した自分自身と向き合う場所なのかも知れません。
直指庵の詩。
「直指庵に魅せられて」 藤 公之介
直指庵は 雨の日に訪れるのがいい
濡れそぼる竹林の緑が目にしみて 庭に降りそそぐ
雨音が心にしみるから・・
直指庵は、晴れた日に訪れるのがいい
緑先から見える嵯峨野の空が目にしみて
風にそよぐ葉ずれの音が心にしみるから・・
直指庵は もやの日に訪れるのがいい
直指庵は、雪の日に訪れるのがいい
直指庵は 耐え切れない悲しみをひきずって一人で訪れるのがいい
直指庵は かかえ切れない幸せを抱きしめて ふたりで訪れるのがいい
直指庵は いつの日も 心のふるさと・・・・
(詩を書かれた藤公之介さんは、歌手・大塚博堂さんの作詞を
数多く手がけられてきた方。
作品には「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」
「季節の中に埋もれて」)等など)
境内奥の「想い出草観音」様。
観音様は、書院のノートに綴られた悲しみや苦しみを読み、
そこから救い、その後の歩みを
見守って下さると言います。
竹林とお堂。
11月なのに紫陽花が、まだ咲いていました。
ここにしか聞けない音。
ここにしか見えないもの。
ここにしか見えない秋。
秋が静かに進む直指庵でした。
《直指庵》
〇所 〒616-8441 京都市右京区北嵯峨北ノ段町3
〇拝観時間 9.00~17.00
〇拝観料 500円
〇アクセス 京都駅から京都市営バス28号系統 大覚寺下車して徒歩約15分。
京福電鉄嵐山駅・JR嵯峨嵐山駅から徒歩30分位。
※直指庵の詩。お借りしています。