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イビサからの風:春の散歩道1 セス・サリナスビーチ歴史の足跡

今岡 史江

今岡 史江

スペイン特派員

更新日
2017年3月19日
公開日
2017年3月19日
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イビサ島とその南に位置するフォーメンテラ島の間、16000ヘクタール(うち13000ha は海域)は自然保護地区に指定されています。イビサ島全海域に渡ってポシドニアという海洋性植物が生えているのですが、この地区の海底には特にその群生地があり、世界遺産に指定されています。そのポシドニアが光合成をしているお蔭でイビサの海水は綺麗に保たれ、様々な生物が住んでいるのだと言われています。

その保護地区の中に Ses Salines(セス・サリネス)というビーチがあります。遠浅の1.5㎞程続く大変美しい海岸です。白砂で水深浅く水が澄んでいるので、天気が良いとその色はターコイズブルーになります。

またこのビーチは俳優さんやサッカー選手など著名人がよく訪れるのでも有名で、私も横で遊んでいる女優さんに気付いて驚いたことがあります。夏場は4か所、質の良いビーチカフェレストランも開き大変賑わいますが、シーズンオフの間は散歩をしている人、ジョギングをする人をちらほら見かけるくらいで、とても気持ちの良い散歩コースです。

このビーチの端(写真手前)から、ビーチの一番奥に小さく見えるディフェンス塔(同真ん中右端)までの片道1.5㎞、往復3㎞ほどを歩きます。1㎞程行くと砂浜は岩場に代わります。復路は松の木林の間を通って帰るのも良いでしょう。

私が行った日は生憎曇っていたので、海の色があまり冴えないのですが・・途中からの岩場の様子です。(写真下)

海の反対側は・・

砂地に低木が茂っています。砂地で育つ植物。凄い生命力ですね。右側の植物はFonoll Mari(フォノル・マリ)と言い、マジョルカ島では酢漬けにして食します。

採石場跡があります。16世紀に城壁の増築をした際に使われたようです。

この石の彫刻の作者は不明です。

もう少し先に進むと、フォーメンテラ島とその間の海峡にある小島が見えます。

ここに来ると、フォーメンテラ島まで手が届きそうです。

フォーメンテラ島手前の小さな島 Espalmador(エスパルマドール)。こちらからその島中心までが5㎞、そこからフォーメンテラ島最北端までが2㎞。たった7㎞の距離です。近いですね。

因みに、イビサ港からフォーメンテラ島のサビナ港までが20.38㎞、フェリーで30分という距離です。

Torre de Ses Portes(扉の塔)16世紀

ここでディフェンス塔とフォーメンテラ島を眺めていると、オスマントルコや海賊に襲われ続けたイビサの歴史が思い出されました。

その昔フォーメンテラ島は海賊達の停泊地として使われ、海賊達はフォーメンテラ島側からイビサ島側へ押し寄せて来ました。フォーメンテラ島からイビサ港へ向かう船はこの海峡を通らなければならず、ここにあるディフェンス塔は、島中至る所にあるディフェンス塔の中でも一番大きく、唯一大砲を3基備えていた塔でした。

塔の下からイビサ側を見るとダル・ビラが見えます。薄っすらですが、写真中央です。

ダル・ビラはしっかり城壁に護られていたので、海賊はダル・ビラを狙わず、イビサ島の村を襲い、荒らし、住人を捕まえて連れて行ってしまったと言われています。それ故、島にある教会の幾つかは高台にあり、壁が分厚く窓が小さく、要塞の役目を果たしていたそうです。その顕著な例をお見せしましょう。

<サン・ミゲルの教会>

<サンタ・エウラリアの教会>

高台にありとても綺麗なこれらの教会は、海賊から身を護ってきたイビサの歴史を語っているのです。

イビサには「政府公認の海賊」がいました。日本の漫画の世界ではワンピースの七武海、歴史上有名なのはイギリスのドレーク船長。彼等と同じです。政府は公認の海賊に外から押し寄せてくる海賊と戦ってもらっていました。その政府公認の海賊のことを Corsario(コルサリオ)と呼びます。彼らを称える碑がイビサ港にあります。

この様に、歴史を少しかじるだけで、景観を楽しむ散歩がさらに興味深いものとなりました。

Ses Salines(セス・サリネス)/ Las Salinas(ラス・サリナス)ビーチへの行き方。

イビサ市内よりバスがあります。(11番と11B番)

バスはイビサ中心、Isidor Macabich(イシドロ・マカビッチ)通りから出ます。

・11番のバス(San Jordi経由)

1月~4月 1日に2本(往路10h・13h 復路10:20h・13:20h)

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